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理事長よりご挨拶

理事長

この度、医学中央雑誌刊行会は創立120周年を迎えます。私は理事長を13年にわたって務めておりますが、この間に学術著作権協会(JAC)の理事長、日本複製権センター(JRRC)の監事、日本医学会医学用語管理委員会の委員長を兼ねています。この4つの組織がお互いに重なり合う領域で仕事を行ってきたということが幸いして、我が国における医学情報に関わる全体像を眺め渡すことができました。例えば、日本医学会医学用語辞典の用語分類を行うシソーラスは医中誌Webのシソーラスに基づいておりますし、学術著作権協会が対象とする著作物は医中誌Webと重複しております。これら4つの団体がお互いに棲み分けをして相補的に活動をしていくことはこれからも大切なことであります。

医中誌Webには『OLD医中誌データ』が収録されております。これは医学中央雑誌の制作方法が電子化された1983年4月発行以前の創刊号からのバックナンバーをデジタル化したもので、2023年3月にこのデータ化のプロジェクト(「OLD医中誌プロジェクト」)が完了し、医中誌Webで創刊号から最新データまでを一貫して検索できるようになりました。OLD医中誌で書誌情報を検索した上で、リンク先の「国立国会図書館デジタルコレクション」に飛ぶことによって「医中誌アーカイブ」上の画像ファイルにて抄録を読むことができます。

文献データベースのクオリティーは掲載されている文献の内容によりますが、新しい文献が正しいとは限りません。この4年間の新型コロナウイルスの文献でも既に否定されてしまったものも数多くある半面、数十年も前の論文でもその後の科学の発展に大いに寄与したものもあります。120年前に始まった医中誌もOLD医中誌が組み込まれたことによって貴重な原著論文にたどり着けるようになったことは画期的なことと言えます。
個々の論文の良否を判断するのは医中誌Webの書誌情報を読まれた利用者の判断に委ねられますが、私共は論文の抄録が偏りのない品質を維持すべく、社員一同努力を続けております。

1903年に創刊され120年経った「医学中央雑誌」は冊子体からCD-ROM版を経てWeb版へと姿を変えて発展してきましたが、更なるデータベースの伝達方法の展開に対応していく所存です。

2023年3月2日 脊山洋右