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医中誌からのお知らせ

文献情報一覧:地震/TH and 災害対策/TH and AB=Y

2011年5月6日更新

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医中誌Webから抽出した、関連する国内医学文献の情報です。
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2011113586
医中誌Web
災害支援情報システムの構築
Source:日本医療情報学会看護学術大会論文集 11回巻 Page5-8(2010.06)
Author:竹本敬子(兵庫県立大学 大学院応用情報科学研究科ヘルスケア情報科学コース), 陳劼, 稲田紘
Abstract:災害時や緊急時に高齢者や幼児などの災害弱者を支援する避難支援システムを構築し、その概要と実証実験の結果、および被災者個人情報取得システムの設計方針の概要について報告した。

2011103154
医中誌Web
ハイチ大地震における被災民の健康問題と現地医療従事者との協働 NPOが実施した医療救援活動
Source:日本災害看護学会誌(1345-0204) 12巻2号 Page67-76(2010.12)
Author:小原真理子(日本赤十字看護大学), 山崎達枝, 黒田裕子, 酒井明子
Abstract:2010年4月初旬、ハイチ大地震の被災地である首都ポルトープランスの西方約30キロのマリアニに向かった。私達医療チームメンバー8名は、倒壊した学校の敷地内にある被災民テント村で、現地の医師1名と看護師ら3名、テント村リーダーと共に診療活動を行った。事前にリーダーから、テント村には601世帯、2703人が居住、年齢構成は不確定、1世帯1テント、2畳ほどのスペースに3~10名の家族が居住しているとの情報を得た。154名の診療活動を通して把握した健康問題は、消化器感染症、婦人科感染症、皮膚疾患、風邪症状、マラリアの疑い、高血圧、ストレス症状等であった。これ等の病気の発生は、被災者が居住するテント内の狭さ、トイレ、水の供給、ゴミ捨て場などの衛生環境、配給される食糧事情と密接に関連していることが考えられた。また現地医療職との協働の視点から、今後、私達NPO災害看護支援機構が取り組む国際救援活動上の課題が見出された。(著者抄録)

2011103152
医中誌Web
災害時の看護活動におけるコンピテンシーモデルの開発 認知的コンピテンシー分析手法の開発
Source:日本災害看護学会誌(1345-0204) 12巻2号 Page37-50(2010.12)
Author:菅野太郎(東京大学), 早野貴美子, 小原真理子, 佐藤和美, 黒田裕子, 石田千絵, 河原加代子
Abstract:本研究では、災害看護における認知的コンピテンシーを抽出する手法の開発を行う。提案手法は、実際の災害時においてリーダー的役割を担った看護師に対するインタビューの内容分析結果から、行動の背後にある認知的特徴(認知的コンピテンシー)を抽出する手法で、1)認知プロセスを「情報」「判断」「行動」の遷移として捉え、逐語録から看護師やタスクといった様々な対象別に特徴的な認知プロセスを分析、可視化するもの、および、2)自然言語処理の基本技術である形態素解析を行い、内容分析で「情報」カテゴリーに分類された切片から名詞を自動抽出し、災害時に注意や考慮の対象となった事項の推定と可視化を行うものである。提案手法を実際の内容分析結果に適用し、タスク実行時に特徴的な認知プロセスパターンや職位に関連した情報収集・問題意識の特徴等が観察され、本手法の認知的コンピテンシー分析への適用可能性が示された。(著者抄録)

2011103151
医中誌Web
災害時の看護活動におけるコンピテンシーモデルの開発 震災発生直後の看護活動におけるコンピテンシー要素の抽出と構造化
Source:日本災害看護学会誌(1345-0204) 12巻2号 Page18-36(2010.12)
Author:早野貴美子(首都大学東京 人間健康科学研究科), 河原加代子, 小原真理子, 佐藤和美, 黒田裕子, 石田千絵, 菅野太郎
Abstract:本研究プロジェクトの目的は、発災時の不確実性の高い医療活動において、状況に応じた判断のもと、適切な行動を選択できる能力を解明し、災害時にリーダーシップを発揮して行動した看護師のコンピテンシーモデルを開発することである。本稿では、震災直後の看護活動において、リーダーシップをとった看護師の行動および行動に至る思考プロセスを類型化することによって、コンピテンシーの構成要素を抽出して構造化することを目的とした。対象は、新潟県中越地震、新潟県中越沖地震、能登半島地震により被災した病院に所属し、発災から24時間の間にリーダーシップをとって活動した看護師とした。データ収集方法は、準備研究の成果より得られたデータ収集の枠組みを用いて半構成的面接法にて行った。分析方法は、Krippendorffの内容分析の手法を参考に、主要概念のコンピテンシー要素の抽出とその構造化を行った。結果として、1)コンピテンシー要素については、【情報】19カテゴリ、【判断】8カテゴリ、【行動】8カテゴリが抽出された。2)【情報】【判断】【行動】の思考プロセスに基づく行動には、3つのパターンが特定された。震災直後24時間以内にリーダーシップをとった看護師は、日頃から把握している患者情報を基本とし、これまでに蓄えられた知識と経験、さらに病院の施設設備機能や資源情報をもとに、人的資源や物的資源を運用し、問題解決に必要な看護活動を行っていた。このような看護師の行動特性から、災害時の看護活動においてリーダーシップをとった看護師のコンピテンシーモデルとして構造化の可能性が示唆された。(著者抄録)

2011089447
医中誌Web
脳神経外科医が災害時にできること、災害に対して準備すること
Source:Neurosurgical Emergency(1342-6214) 15巻2号 Page173-177(2011.01)
Author:山下晴央(兵庫県災害医療センター), 原淑恵, 森下暁二, 千葉義幸, 松下誠, 中山伸一, 甲村英二
Abstract:災害医療は災害の発生場所、程度、種類などに影響され、適切な迅速対応が困難なことも多い。阪神淡路大震災を契機に設立された当センターとして、大震災以後の経験を振り返り、兵庫県における阪神淡路大震災(1995年1月)、台風23号但馬地方洪水(2004年10月)、JR福知山線脱線事故(2005年4月)の大災害・事故に注目し、当施設の脳神経外科医が経験した被災時の状況、センター救急部の対応を調査して、脳神経外科医としてできたこと、救急部の脳神経外科への期待したことをまとめ、今後に災害医療を考える際の脳神経外科としての初期対応を考察した。大震災被災者2名のうち、1名は勤務していた被災地内病院の機能低下や軽症患者の処置を経験し、他の1名は数日後に出勤できた被災地外周辺病院(大阪市)では入院が必要な脳神経外科疾患は少なく、日常診療が正常に行われていることを経験した。ともに地震に起因した脳神経外科的重症患者を診ていない。但馬地方洪水では、被災した病院はライフラインの障害や病院機能の低下が生じた。病院冠水後に勤務した1名が、復旧状況、周辺開業医の援助を経験した。JR福知山線事故では、現場医療活動を行った当センター救急部の援助態勢となったが、脳神経外科疾患は事故近隣施設における加療が中心であった。救急部は脳神経外科にセンターと病院の全体的機能を維持する後方支援を期待していた。災害医療においては、脳神経外科医も脳神経外科に偏らない救急対応が求められることは当然で、災害時医療の特殊性を理解し、発災からの時間経過に対応した行動が重要である。被災地内では、初期診断や治療のためのトリアージなどの知識、理解が必要で、被災地周辺では、救急部を中心とした病院組織、DMAT(Disaster Medical Assistance Team)などと連携し、広域搬送を考慮した後方支援が必要である。これらの医療においては、被災地内、被災地外ともに、情報の交換が非常に重要であり、正確な情報の収集、伝達を含めた訓練など、日頃の備えが大切である。病院の準備状況を検討した上で、脳神経外科においても、患者の搬送、治療の面から、被災地内外の正確な情報が交換できる体制を脳神経外科施設間に整えておくことが重要と考えられた。(著者抄録)

2011085494
医中誌Web J-STAGE
建設業の災害復旧工事における労働災害の分析
Source:労働安全衛生研究(1882-6822) 3巻2号 Page137-142(2010.11)
Author:日野泰道(労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
Abstract:我が国では,台風や地震等の自然災害が毎年発生するため,それに伴う災害復旧工事も毎年行われる。災害復旧工事は,平時の工事と比較して,緊急性などの特別な工事条件が存在するため,十分な仮設設備を準備・設置することが困難となる場合がある。ゆえに安全な作業を行うためには,そのような工事環境を想定した安全対策を事前に準備しておく必要がある。ところが,災害復旧工事における労働災害の定量的な分析は,あまりなされていないため,その災害防止対策も,十分に整備されているとはいえないと考えられる。特に大規模災害の復旧工事の経験が乏しい地場中小建設業者では,そのような環境下での安全対策立案のための適切な情報・ノウハウが整っていない場合があり,安全対策の不備による労働災害の発生が懸念される。そこで本研究は,過去に発生した災害復旧工事における災害発生状況について定量的な検討を行い,安全対策の基礎資料を提供することを目的とした。検討の結果,災害復旧工事の災害種別には,建築工事と土木工事で大きな違いがあることがわかった。土木工事では,墜落災害に加えて建設機械に起因する災害や土砂崩壊災害など,典型的な災害は数種類あることが分かった。一方,建築工事では,典型的な災害としては墜落災害が挙げられ,特に死亡災害の約9割を占めている事が分かった。そこで本報では,建設工事において最も発生件数の多い墜落災害を取り上げ,土木工事と建築工事に分けて,その災害発生原因等の特徴について更に整理を行った。(著者抄録)

2011055724
医中誌Web
災害救助チームにおける帯同医療班の必要性 中国西部大地震派遣国際緊急援助隊(Japan Disaster Relief Team;JDR)救助チーム医療班活動事例報告
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 15巻1号 Page69-75(2010.06)
Author:畑倫明(奈良県立医科大学 救急科), 中島康, 川谷陽子, 谷暢子
Abstract:中国西部大地震に派遣されたわが国の国際緊急援助隊(以下、JDR)救助チームの事例をもとに、救助チームに帯同する医療班の必要性について報告する。2008年5月に発生した中国西部大地震に対して、わが国はJDR救助チーム61名(医師2名、看護師2名を含む)を派遣した。医療班の主たる業務は隊員の健康管理である。今回の派遣の特徴として、長時間の陸路移動、野営、そして遺体の大半が子どもであるという強いストレス下の活動であったことなどがあげられる。医療班としては、7日間の派遣期間全体を通して、活動環境・衛生環境の整備に加え、隊員の負傷や疾病の治療、情報収集等の活動を行った。国際的には、救助チームの医療班帯同は必須であるが、国内における認知度は低い。今後、災害に派遣された救助チームをサポートする医療班の存在が国内においても求められる。(著者抄録)

2011055722
医中誌Web
日本の主な災害被災地から見える医療面の課題と対策について(防災に向けた行政への聞き取り調査から)(On Issues with Medical Responses Observed in Major Disasters in Japan and the Countermeasures(An Interview Study with Officials aiming Better Readiness))
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 15巻1号 Page53-62(2010.06)
Author:古本尚樹(浜松医科大学 医学部医学科地域医療学講座), 山岡泰治, 松原全宏, 軍神正隆, 石井健, 田中行夫, 中島勧, 矢作直樹
Abstract:【目的】わが国で自然災害により被災したいくつかの自治体において、医療面等について聞き取り調査を行うことで、大規模自然災害時の各自治体における課題などを整理し、今後の提言としたい。【対象・方法】近年わが国で発生した自然災害すなわち地震、火山噴火等で被災した自治体の保健・医療・福祉あるいは防災担当課職員へ直接聞き取り調査(半構造化面接)を行った。調査対象地域は6自治体であり、調査対象者は延べ13名である。【結果】主な課題として(1)災害時の情報連携の難しさ(行政・警察・消防・自衛隊・医療機関等間)、(2)災害発生時からある程度期間が経ってからの慢性期治療体制の不備、(3)医療機関に従来から入院している患者へのいわゆる「病院食」が被災後、円滑に供給されないこと等があげられる。一方、災害被災時にうまく機能したこととしては(1)広域における医療ネットワークが効果を発揮したこと、(2)初期情報受給体制が円滑であったこと等があげられる。【結論】大災害を予想して、多くの関係機関や住民が参加する。しかも実効性のある訓練やシミュレーションが実施されなくてはならない。またそれに関連して情報共有と質の高い情報を適時必要な機関に提供できるツールの開発およびシステムの強化が求められる。災害被災後長期的視野で住民のケアにあたり、その際「災害弱者」と称される階層へ独自の配慮も望まれる。(著者抄録)

2011055721
医中誌Web
中国西部大地震被害に対する国際緊急援助隊医療チームの大規模病院支援活動 総論と本部機能
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 15巻1号 Page48-52(2010.06)
Author:小倉健一郎(相原第二病院), 石井美恵子
Abstract:2008年5月に起こった中国・四川省北部地域の地震に際し、国際緊急援助隊(JDR)医療チームは発災の1週間後、成都市に派遣され、被災地より多数の患者が搬送されていた四川大学附属・華西病院で活動することになった。華西病院は4,300床を擁する先進的な大病院で、救急外来、ICU、放射線科、透析科、産科などの部署に配置された隊員は言葉の壁やシステムの違いを乗り越えて、現地スタッフとの相互理解を進めながら10日間の活動に従事した。このような活動には調整役としての本部の役割が非常に重要であった。医療チームには、中国国民から多大なる感謝の言葉をいただいた。(著者抄録)

2011054161
医中誌Web CrossRef
地震に伴う胸部外傷 2008年中国四川大地震における外傷の分析(Chest Injuries Associated with Earthquakes: An Analysis of Injuries Sustained During the 2008 Wen-Chuan Earthquake in China)
Source:Surgery Today(0941-1291) 40巻8号 Page729-733(2010.08)
Author:HuJia(中華人民共和国), GuoYing-Qiang, ZhangEr-Yong, TanJin, ShiYing-Kang
Abstract:2008年5月12日に発生し、リヒタースケール8.0を記録したWen-Chuan地震(四川大地震)後において、胸部外傷を負った患者のパターン、治療モダリティ、短期的転帰を分析した。5月12日~27日に紹介された患者1522例のうち、169例は重度胸部外傷を負っていた。各症例について、外傷の種類、感染症の有無、簡易式外傷スコア(AIS 2005)、新外傷重症度スコア(NISS)、治療、短期的転帰を記録した。129例において胸部外傷が単独で診断され、40例において主要な胸部外傷を伴う複数の外傷が診断された。入院した患者における平均AISおよびNISS中央値は、それぞれ2.5および13であった。死亡率は3.0%であった。大半の胸部外傷は軽微から中等度の外傷に分類されたが、医学的対応策においては、複数の併存する外傷および続発性の感染症を慎重に考慮するべきであると思われた。効率的な救出および重篤な負傷者の治療には、地震多発地域における緊急医療サポートグループ間での調整の取れた取り組み、地震に備えた事前訓練が必要であることが示唆された。

2011049605
医中誌Web
緊急地震速報システムによる減災と病院機能の維持
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 15巻2号 Page225-230(2010.11)
Author:堀内義仁(国立病院機構災害医療センター)
Abstract:近年、災害時対応のためのBusiness Continuity Plan(BCP)という概念が提唱され、幅広い分野での具体的な活用の必要性が認識されつつある。また、災害時の病院、特に災害拠点病院等における対応については、それぞれの病院で災害対応マニュアルを作成して、日頃から教育・研修・訓練を行うなど、十分とはいえないまでもある程度の備えはなされるようになった。ただし、震災時の被災を前提とした対応については不十分である。一方、本邦では主に減災を目的として緊急地震速報システムの運用が開始されており、このシステムの活用の有用性を病院機能維持の観点から検討した。現時点において、機能維持の効果が高く比較的安価に導入できる機能として、スタッフや患者の閉じ込め防止のためのエレベータへの接続と、病院内の人々にいち早く地震の大きな揺れが来ることを伝える警報・放送システムの設置が推奨され、今後の震災時の対応に活用すべきである。(著者抄録)

2011049598
医中誌Web
国際緊急援助隊医療チームの四川大地震における大規模病院支援活動 放射線科
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 15巻2号 Page179-181(2010.11)
Author:金子万幾子(国立病院機構西埼玉中央病院), 藤本幸宏
Abstract:2008年5月12日に発生した四川大地震に対し、国際緊急援助隊(JDR)医療チームは華西病院で各専門分野に分かれ医療支援を行うこととなった。放射線科内での活動は、主に被災者の一般撮影に携わった。現地スタッフとの関係も良好に保て、活動終了時のX線写真撮影人数は728名、撮影枚数は2000枚程度であった。医療レベルとニーズに合った活動を通じて華西病院に貢献することができた。今回の活動経験が今後に生かされることで、放射線科における病院支援に対する可能性と活動形態の拡大化が示唆される。(著者抄録)

2011049596
医中誌Web
宮城県沖地震に備えた後方搬送の準備 Staging Care Unit(SCU)を設置し、自衛隊機を用いた広域医療搬送は実現性があるのか?(Preparation for medical transportation to be provided for the Miyagiken-oki Earthquake: Can we establish a Staging Care Unit(SCU), and can wide-area medical transportation be realized with the use of Self Defense Force aircraft?)
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 15巻2号 Page165-170(2010.11)
Author:山内聡(東北大学病院 高度救命救急センター), 小林道生, 阿部喜子, 後藤えり子, 佐藤大, 野村亮介, 篠澤洋太郎
Abstract:宮城県沖地震は、今後30年以内に99%発生し、重症者は468~658名と予測されている。本地震発災時に想定される重症者全員を県内の病院に収容することは不可能であり、後方搬送、広域医療搬送を考慮する必要がある。広域医療搬送とは、重症患者を、自衛隊機などを使って広域に搬送し、機能の整った医療機関で治療を行い、救命につなげることであるが、現在、本地震に対する広域医療搬送の具体的計画は示されておらず、実際に運用されるか否かは不確定である。一方、後方搬送とは、被災地外の医療機関に患者をヘリコプターなどで搬送することである。被災地内のヘリポートを所有している災害拠点病院から、被災地外の病院にヘリコプターで傷病者をピストン輸送したほうが、早期から搬送が開始でき、しかも現実的であると考えられる。後方搬送を現実的な計画とするためには、県庁が主導権を握って計画を立て、繰り返し訓練を行うことが必要である。(著者抄録)

2011049595
医中誌Web
阪神・淡路大震災での被災経験から学んだ透析医療現場の災害対策
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 15巻2号 Page157-164(2010.11)
Author:森上辰哉(五仁会元町HDクリニック 臨床工学部), 申曽洙
Abstract:阪神・淡路大震災で透析医療機関が受けた被害は甚大であった。これらのなかには、備えが十分でなかったために被害が拡大したと思われることが数多くあった。今回われわれは、阪神・淡路大震災での数々の経験を通して得られた教訓から、透析医療機関として必要な災害対策について検討した。発災時の緊急避難方法として、特に治療中の場合は迅速に対処しなければならないので、安全で確実な緊急離脱方法を確立し、避難経路・避難順序も事前に決めておく。設備面では、水処理装置・透析液供給装置などの固定方法や、配管の選択は重要であり、水・電気に関しても治療を継続するための準備は必要であるが、被災地内での治療にこだわらず、安全に治療を終了する方法も習熟しておく。情報伝達手段については、所属施設・患者間、および被災施設側・支援側間の情報伝達経路を確立しておかなければならない。前者では施設の中で有効な連絡手段を複数決めておく。後者は地域の透析関連ネットワーク、および日本透析医会災害時情報ネットワークを利用する。われわれ医療従事者は施設の保全のため、ひいては災害弱者である透析患者のために、災害に対する高い意識を持ち続け、またできる限り災害に対して有効な手段を考えておかなければならない。(著者抄録)

2011033334
医中誌Web
手術室の震災対策 震災マニュアル作成と手術室スタッフへの避難訓練実施
Source:日本手術看護学会誌(1880-4780) 6巻1号 Page49-53(2010.06)
Author:植田直美(東京都立清瀬小児病院 手術室), 徳平裕子
Abstract:震災マニュアルの作成と手術室スタッフへの避難訓練実施がスタッフの震災に対する意識と知識に与える影響を明らかにすることを目的に、手術室看護師13名、麻酔科医5名へアンケート調査を実施した。その結果、避難訓練により手術室スタッフの震災に対する意識の向上がみられ、避難訓練を通してマニュアルでの避難時の看護師と麻酔科医それぞれの役割への知識を習得することができていた。

2011023055
医中誌Web
介護保険施設の自然災害による被災と防災に関する研究
Source:老年社会科学(0388-2446) 32巻3号 Page328-337(2010.10)
Author:北川慶子(佐賀大学 文化教育学部), 宮本英揮, 橋本芳
Abstract:介護保険施設は、要介護高齢者にとっては生活の場である生活施設であり、災害時には地域の災害時要援護者の避難受け入れや被災後の生活復興、地域の要援護者への支援機能をもつ地域にとって強力な機能を有する施設となる。介護施設における被災時の避難には要介護高齢者の介助避難が必要であるため、避難の安全性を重視した安全確保態勢をとっておくべきである。本論では、介護保険施設を対象にした防災・減災に関する意識調査により、施設の被災経験がその後の防災にどのように生かされるかの分析を試みた。その結果、被災経験のある施設は被災の危惧が強い傾向がみられた。被災経験は避難や防災への意識を喚起し、それを災害への備えに反映させることが期待されるといえよう。施設の被災経験は1割程度であり、施設は安全であるといえるかもしれないが、利用者・家族に対しては、災害時の対処の方法を過半数の施設が説明していないという実態もまた明らかになった。(著者抄録)

2011021658
医中誌Web
震災時の一時避難可能性と累積生存からみた地域保健活動
Source:保健師ジャーナル(1348-8333) 66巻11号 Page988-994(2010.11)
Author:中山直子(首都大学東京 大学院都市環境科学研究科都市システム科学専攻), 櫻井尚子, 星旦二
Abstract:目的:都市に居住する在宅高齢者の震災時自己対応避難可能性の実態と,その実態別にみた3年後の累積生存率を明確にし,地域保健活動との関連を明らかにすることである。方法:調査対象者は2004(平成16)年9月1日現在A市に住む65歳以上の高齢者1万6562人を対象として自記式質問紙調査を実施し,1万3195人を分析対象とした。回収率は79.7%である。震災時の一時避難可能性に関する質問は,「震災が起きたら一時避難場所まで避難できますか」とし,選択肢は「自分でできる」「介助があればできる」「できない」の3つとした。3年間の累積生存分析では,Kaplan Meier生存分析とともに,Cox比例ハザードモデルを用いた。結果:在宅高齢者の累積生存率は,震災時一時避難可能能力に応じて低下した。また,生存を維持する要因として,男女とも震災時一時避難可能性を高め主観的健康感を維持するとともに,女性では日常的な預貯金の出し入れを行うこと,男性では地域活動を続けることが示された。結語:都市在宅高齢者に対する非日常の防災活動と日常の健康を維持させる介護予防活動を連動させる重要性が示唆され,それらを支える地域保健活動の重要性も示唆された。研究結果の外的妥当性を高めることが研究課題である。(著者抄録)

2011019871
医中誌Web
特定給食施設における地震等災害発生時の食料確保対策(A study on the provision for stockpiling emergency food for vulnerable people in the specified food service facilities)
Source:医学と生物学(0019-1604) 154巻10号 Page481-485(2010.10)
Author:黒川通典(大阪府立大学 総合リハビリテーション学部栄養療法学科), 三宅基子, 田村隆教, 吉田幸恵, 今木雅英
Abstract:本研究の目的は、特定給食施設における大規模災害発生時の備え、食品の備蓄状況等の実態をアンケート調査により明らかにすることである。回収率は67%(n=666)であった。災害時の食生活支援で最も重要なことは、災害時要援護者用食材の備蓄と回答した施設が60%以上を占めていた。しかしながらそれらの食材が確保されているのは約30%で、災害発生時への対応が不十分である実態が明らかとなった。さらに特定給食施設は保健所を中心とした他施設とのネットワーク構築を希望していた。本研究の結果から、災害発生時には特定給食施設において災害時要援護者のための特別食の確保の必要性が認識されているものの、実際に食料確保を行っている施設はわずかであることが明らかになった。(著者抄録)

2011011919
医中誌Web
都市部に住む運動機能障害者の近隣住民からのソーシャルサポートの実態 地震災害に対する平常時の活動に着目して
Source:日本在宅ケア学会誌(1346-9649) 14巻1号 Page70-77(2010.09)
Author:高橋亜由美(北海道大学病院), 水野杏美, 福川尚克, 薄井見和子, 上田泉, 佐伯和子
Abstract:A市に住む運動機能障害者で、地震発生時に自力での避難が困難な111名にアンケートを行い、近隣住民からのソーシャルサポートの度合いを『Jichi Medical Schoolソーシャルサポートスケール』(JMS-SSS)によって調査するとともに、「属性」「地震災害に関する意識」との関連について検討した。その結果、JMS-SSS総合点の平均値は20.7±6.8で、下位尺度別にみると[情報的サポート]4.9±1.6、[手段的サポート]6.9±2.8、[情諸的サポート]8.9±3.1であった。属性(年齢・性別・補助具使用の有無・身の回りの自立度・外出の自立度・世帯形態・居住形態)とJMS-SSS得点との間に有意な関連は認められなかった。「地震災害に関する意識」のうち<避難に対する備えへの自己評価><期待できる救助者の有無><近隣との関係>はJMS-SSS得点と有意な関連を示した。

2011002217
医中誌Web
災害時の小児医療「中越大地震・中越沖地震の経験から」 新潟県中越地震における障害児・者サポート
Source:日本小児科医会会報(0912-1781) 37号 Page77-80(2009.04)
Author:小西徹(重症心身障害児施設長岡療育園 小児科)
Abstract:新潟県中越大地震の急性期サポートとして、入所140例の保護と対応、在宅重症児者の安否・避難状況の確認および短期入所・緊急一時保護の利用状況について調査した。また、その後の亜急性~慢性期サポートとして、震災1~2ヵ月の時点で、激震・強震地域の障害児者216例に対して、地震に伴う身体の変化10、心の変化15項目のアンケート調査を実施した。地震直後は、全員無事で比較的安定していた。数日後より発熱等の上気道症状、嘔吐等の消化器症状筋緊張亢進、てんかん発作の増加がみられた。これらの身体の変化は薬物投与等で1週程度までに鎮静化し、早期に通常活動に復帰できた。安否確認の完了まで1週間余りを要した。重症例では保護の遅れが増悪因子に繋がる可能性が強く示唆された。障害児者では極めて高頻度に身体の変化や心の変化があり、健常者に比して明らかに二次的障害が高頻度であることが示唆された。

2010341168
医中誌Web
ハイチ大地震医療救援活動 「メディカル・ロジスティシャン」として
Source:東京都病院薬剤師会雑誌(1345-7624) 59巻4号 Page288-294(2010.08)
Author:小林映子(日本赤十字社医療センター 薬剤部)
Abstract:2010年1月12日にハイチの首都とその周辺都市をマグニチュード7.0の地震が襲った。家が密集する都市部は瓦礫の街と化し、死者20万人、被災者は総人口の1/3にあたる約300万人という大被害を与えたが、政府による復興は殆ど始まっていない。震災後のハイチの現状を紹介した後、薬剤師・メディカルロジスティシャンとして国際赤十字・赤新月社連盟傘下で行った医療物資とそのロジスティックスに関連した活動について述べた。

2010337391
医中誌Web
在宅療養者の被災にいかに備えるか 災害時要援護者の地震に対する「自助」「共助」「公助」に関する面接調査
Source:訪問看護と介護(1341-7045) 15巻9号 Page718-723(2010.09)
Author:木下由美子(茨城県立医療大学 保健医療学部看護学科), 浅野祐子, 上岡裕美子, 伊藤文香
Abstract:目的 災害時要援護者と家族の,地震に対する「自助」「共助」「公助」に関する考え方を明らかにする。方法 茨城県A保健所管内の訪問看護ステーション利用者で,慢性疾患や身体障害のある成人・高齢者と家族を対象に,訪問看護ステーションの紹介を受け,同意を得た23名に面接を行なった。面接者が内容を分析し,共同研究者間で協議して「自助」「共助」「公助」に分類した。結果・考察 「自助」について,近隣の援助と避難方法の準備教育の要望があり,自らできることは,周囲に物を置かない,落下危険物の除去等であった。「共助」については,近隣と相互支援がある場合は,自ら病状を説明し情報提供の努力をしていた。また,地域の班の単位は,お互いの顔と家の状況がわかり合える関係であった。「公助」については,要援護者登録や事前契約ができる福祉避難所の指定,そこの環境整備や医療職者配置の希望だった。その他,耐震建物への助成等の要望があった。(著者抄録)

2010320593
医中誌Web
岩手・宮城内陸地震での福島県ドクターヘリ活動報告 フライトナースとして活動を振り返って
Source:日本航空医療学会雑誌(1346-129X) 10巻3号 Page20-25(2010.01)
Author:佐藤めぐみ(福島県立医科大学 救命救急センター), 島田二郎, 斎藤由実, 武藤博子, 小賀坂奈美, 伊藤恵美子, 田勢長一郎
Abstract:平成20年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震に、福島県ドクターヘリが出動し活動を行った。フライトナースとして活動内容を振り返り、問題点を検討したので報告する。震災現場へはフライトドクター1名、フライトナース1名で出動し、通常出動時よりも多くの資器材を持参した。現地到着は参集DMATの中で最も早く、統括DMATとして活動した。その後、建物崩壊現場への現場出動、およびバス転落事故による胸部外傷患者の搬送を行った。患者搬送は安全に行えたが、統括DMATとしての活動や災害現場での活動は十分行えなかった。また、持参した資機材はほとんど使用しなかった。ドクターヘリによる大規模災害現場の初期活動では、資機材の厳選と、災害医療を熟知した人材の投入が必要であると痛感した。今後、さらに災害医療の理解を深め、災害現場でもドクターヘリの機動性を生かした活動を行っていくことが課題である。(著者抄録)

2010304541
医中誌Web
【平常時・災害時の衛生対策】 震災時の避難所等のトイレ・衛生対策
Source:保健医療科学(1347-6459) 59巻2号 Page116-124(2010.06)
Author:加藤篤(日本トイレ研究所), 永原龍典
Abstract:震災が起きると、水洗トイレは給排水管の損壊により使用できなくなる可能性が高い。水洗トイレが機能しなくなった場合、排泄物をどのように処理し、衛生的な環境を保つ策を講じるべきだろうか。人間の排泄物、とりわけ排便には、さまざまな病気を引き起こす細菌がたくさん存在するため、周辺に埋設したり、放置すれば、二次災害を起こすことになってしまう。そうかといって、私たちは、排泄を長時間ガマンできない。水分や栄養摂取を控えることは、体力低下や免疫力低下につながり、死に至ることもある。本稿では、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、新潟中越沖地震におけるトイレの問題・課題を整理する。また、災害時に適応可能なトイレ技術を条件ごとに分類する。時間経過に伴い、避難所ではインフラ復旧状況や被災者のトイレニーズが変化する。よって、そのようなニーズの変化に対して段階的に対応できるような情報を整理する。ただし、時間軸による段階的なトイレ対策の必要性が理解されたとしても、それを具体化するためには、自治体や企業が単独で実施するにはコストや備蓄スペースの確保などの面で限界がある。そこで、今後の課題として、「地域を超えた市民・行政・企業・団体の連携」「非日常を日常化する仕掛け」「水洗トイレの使用継続を保証するシステムの整備」の3つを挙げた。震災時におけるトイレ・衛生問題は、健康・衛生環境に影響を及ぼす深刻なテーマである。(著者抄録)

2010293638
医中誌Web
富山大学附属病院の災害対応 DMAT5年間のあゆみ
Source:富山大学医学会誌(1883-2067) 20巻1号 Page11-15(2009.12)
Author:若杉雅浩(富山大学 大学院医学薬学研究部危機管理医学), 濱田浄司, 旭雄士, 有嶋拓郎, 奥寺敬
Abstract:富山大学附属病院では災害医療に貢献するべく医師、看護師、事務調整員からなる災害医療派遣チーム(以下:富山大学DMAT)を編成している。平成17年から日本DMAT隊員としての講習を修了した19名4チームが現在活動中である。富山大学DMATはこれまでに県内外の災害訓練に参加するとともに、能登半島地震、新潟県中越沖地震では被災地域内の災害拠点病院支援活動に従事してきた。日本DMAT発足後5年間の富山大学DMATの活動を総括する。(著者抄録)

2010291542
医中誌Web J-STAGE
ドクターヘリの過去、現在、未来
Source:日本救急医学会雑誌(0915-924X) 21巻6号 Page271-281(2010.06)
Author:小濱啓次(川崎医療福祉大学 医療福祉学部保健看護学科)
Abstract:医師の搭乗したヘリコプター(ドクターヘリ)の歴史は古いが、国の救急医療体制の一翼として活動が開始されたのは、1968年ドイツが最初で、その歴史は新しい。わが国では1982(昭和57)年、川崎医科大学で1日だけの試験飛行が行われたのが最初で、ドクターヘリが国の救急医療体制の一環として正式に運航を開始したのは2001(平成13)年4月1日からである。現在、19道府県23ヶ所で救命救急センターを基地としてドクターヘリが運航されており、多くの傷病者の救命に活躍している。2007(平成19)年6月27日「救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法」ができたこともあり、全国の道府県がドクターヘリの導入を検討しており、今後4~5年以内に、都道府県の救命救急センターに1ヶ所はドクターへリが配備される時代が来るであろう。今後は都市部にドクターカーを配備し、傷病者発生時、必要に応じてドクターカーにするのか、ドクターヘリにするのかを決め、一人でも多くの傷病者が救命される時代が来ることを期待している。(著者抄録)

2010256594
医中誌Web
事前学習がもたらす影響について 災害シミュレーション時の手術室看護師の対処行動の違い
Source:日本手術看護学会誌(1880-4780) 5巻1号 Page43-45(2009.06)
Author:一ノ宮喜美栄(愛媛県立中央病院 中央手術部), 松永佳余子, 渡部早人
Abstract:手術室看護師(24名)が災害シミュレーションを通して事前に講義を受けることにより、その後の対処行動に与える影響について、シミュレーション前後のアンケート調査を通して検討した。その結果、以下のような示唆が得られた。1)事前講義はその後の行動に多大な影響を及ぼす。2)講義・防災訓練の内容は少しでも誤りや偏りがあれば臨機応変さを失わせ、不適切な行動へと誘導しかねない。3)講義・防災訓練の内容は、必要な量・情報でなければならない。4)対処行動には個人的なリスク認知や想定危機の認識差も関係する傾向があり、教育には個人の認知面に対する働きかけも必要である。5)シミュレーション実施時には、実際の災害に近い状況下におくことで、スタッフの災害への意識が高まる。

2010219600
医中誌Web
能登半島地震被災者の災害サイクルからみたオーラルヘルスの現状と課題
Source:日本災害看護学会誌(1345-0204) 11巻3号 Page47-57(2010.05)
Author:松原みゆき(日本赤十字広島看護大学), 岡田淳子, 迫田綾子
Abstract:本研究は、能登半島地震被災者の災害サイクルからみたオーラルヘルスの現状を明らかにし、課題を検討することを目的とした。対象者は、地震発生後4ヵ月経過した仮設住宅居住の被災者80人である。調査内容は、被災前、初期、中期の口腔状態、口腔ケア、健康状態、食事関連に関する項目を構成的面接法にて実施した。結果は、健康状態、食事関連、口腔ケアは、初期に悪化したが、中期には有意に回復していたものの、口腔状態は改善を認めなかった。口腔状態は高齢になるほど悪化し、中期まで持続していた。口腔状態は、被災前に比べて初期には疼痛、摂食・嚥下機能の低下、症状の悪化、歯肉炎、義歯トラブル、う蝕が有意に増加し、中期は疼痛のみ回復した。健康状態は、初期に全ての因子で有意に悪化し、中期には体調不良と睡眠不足のみ回復した。初期、中期の口腔状態と健康状態は、被災前と強い相関を認めており、被災前の口腔状態と健康状態が悪いほど、被災後の状態が悪化していた。また、悪化の要因は食事入手手段とも関連していた。全ての災害サイクルにおいて適切なオーラルヘルスケアを提供する必要性が示唆された。(著者抄録)

2010219599
医中誌Web
スマトラ沖地震・インド洋津波後の被災者の生活および保健医療機関の状態と機能の経時的変化 インドネシアBanda Ache市における3年間の現地定点調査を通して
Source:日本災害看護学会誌(1345-0204) 11巻3号 Page36-46(2010.05)
Author:黒瀧安紀子(被災地NGO協働センター), 森口育子, 南裕子, 山本あい子, 神崎初美, 高村理絵子, 岡崎敦子, 増野園恵
Abstract:2004年12月に発生したスマトラ沖地震・インド洋津波の後、3年間の継続的な現地調査を行い、特定の地域、医療施設の現状を調査した。その3年間の調査結果を経時的にまとめ、復旧・復興過程を明らかにした。調査結果から、早い段階からソフト面を充実させることによる効果、応急期から中長期的視点を持って対応をしていくことの重要性、地域の社会資源を尊重した外部支援を行う必要性、ソフト面を充実させるためには、個々人のハード面の整備を同時に行うことが必要であること、が明らかとなった。支援方法のあり方としては、復旧・復興過程を見据えるという中長期的な視点を応急期から持つことにより、時期に適した適切な支援を行うことが可能となることが示唆された。加えて、本活動は平常時からあるネットワークにより可能となったことから、平常時からの国際的なネットワーク構築の実効性を示した。(著者抄録)

2010210882
医中誌Web
能登半島地震における対策マニュアル活用の実態と課題 地震発生時の勤務者へのインタビュー調査から
Source:日本看護学会論文集: 地域看護(1347-8257) 40号 Page116-118(2010.04)
Author:小島礼奈(公立能登総合病院), 松本香, 森川直子, 市川照美, 山峰繕, 井田尚美, 平前君恵, 船山真理子, 平前政武, 中山栄純
Abstract:平成19年3月25日の地震発生時に能登地区の病院10施設で病棟勤務していた看護師28名を対象に、半構成的面接法を用いて「災害対策マニュアルの有用性についての思い」をインタビューし、語られた内容を質的帰納的に分析した。その結果、以下の6カテゴリーが抽出された。1)マニュアル自体の有用性。2)患者の安全の確保。3)指示系統の明確化。4)情報発信への対応。5)連絡網の不備。6)勤務体制や場の違いによる対応。

2010206965
医中誌Web
静岡市における難病患者の災害準備について
Source:静岡県立大学短期大学部研究紀要(0914-7810) 23号 Page1-9(2010.03)
Author:今福恵子(静岡県立大学 短期大学部看護学科), 深江久代, 村上隼夫, 加藤夕子, 菊池智子
Abstract:静岡市における難病患者の災害準備の実際を把握することを目的に、市内在住の平成19年度特定疾患更新申請者を対象にアンケート調査を行い、807名(パーキンソン病関連疾患348名、脊髄小脳変性症120名など)より回答を得た。その結果、約68%が自力で外出できず、医療的ケアを必要とする者の約30%が災害時のための薬や自己注射のセットが準備できていないことが分かった。

2010196428
医中誌Web
大規模災害・身元不明者のDNAプロファイリング
Source:法医学の実際と研究(0289-0755) 52号 Page1-10(2009.11)
Author:福島弘文(科学警察研究所)
Abstract:大規模災害には地震、火山、台風、津波、雪崩などの自然災害と、交通関係の事故、テロ、戦争などの非自然災害がある。これらの大規模な各種の自然災害と非自然災害の概要を例示し、それによって大規模に発生した犠牲者の身元確認のためのDNAプロファイリングについて概説した。多数の犠牲者の身元確認に用いるDNA検査以外の手法についても言及した。更に、実際のDNA検査の具体的な進め方についても述べた。

2010191962
医中誌Web
都市部に住む運動機能障害者の地震や避難に関する認識と近隣住民への働きかけの実態
Source:北海道公衆衛生学雑誌(0914-2630) 23巻2号 Page175-181(2010.03)
Author:水野杏美(杏林大学医学部附属病院), 高橋亜由美, 福川尚克, 薄井見和子, 上田泉, 佐伯和子
Abstract:都市部に在住する自力避難が困難な運動機能障害者に注目して平常時の地震や避難に関する認識と近隣住民への働きかけについての実態に関する聞き取り調査と郵送法での質問紙調査を行い、有効回答111名(男性48名、女性63名、21~97歳・平均67.3歳)について解析した。その結果、車椅子使用者が72名、同居者がいる者が76名であり、地震や避難に関する認識では44名(39.6%)は大地震は起こると考えており、自力避難できないと思う者は94名(84.7%)であった。備えをしている者は49名(44.1%)で、うち44名は近隣住民への働きかけをしていた。期待できる救助者(複数回答)としては家族が75名(67.6%)と多く、近隣住民は37名(33.3%)と少なかった。近隣住民へ働きかけている者には、ソーシャルサポートを測定するJMS-SSSの合計点が高い者と近隣住民救助を期待できる者が有意に多かった。以上より、平時から災害を意識して近隣住民に働きかけるなど救助が期待できる存在を増やしておくことが重要と考えられた。

2010171914
医中誌Web
日本の災害看護教育の現状と課題 阪神・淡路大震災以降の文献レビューからの考察
Source:神奈川県立保健福祉大学実践教育センター看護教育研究集録(1349-5259) 35号 Page220-227(2010.03)
Author:高橋みどり(神奈川県立保健福祉大学実践教育センター)
Abstract:医学中央雑誌Web版とJDream IIで災害看護教育に関する1995年以降の文献を検索し、ヒットした343件のうち、「災害看護教育に対する提言のあるもの」という選択基準を満たしている98件について分析を行った。その結果、文献の内容は、看護基礎教育に関するものと、現任教育に関するものとに大別され、それぞれが全体に占める割合は、看護基礎教育が41%、現任教育59%であった。看護基礎教育に関する文献の研究内容をカテゴリー化すると【カリキュラム】【人材の育成】【教育評価】【実態評価】【体験型学習】に分けられた。現任教育に関する文献の研究内容は【意識調査】【教育評価】【比較調査】【マニュアル】【院外】【活動報告】【訓練】【教育】【現状調査】というカテゴリーに分けられた。現任教育における課題について述べられた内容をカテゴリー化すると【マニュアル】【動機づけ】【避難訓練】【勉強会】【多職種連携】【保健師活動】【海外派遣に関すること】【組織の問題】に分けられた。

2010168935
医中誌Web
災害・緊急時対策訓練結果報告
Source:石巻赤十字病院誌(1346-0730) 13号 Page27-30(2010.03)
Author:三澤有紀(石巻赤十字病院 医療技術部臨床工学技術課), 佐久田敬, 高橋良子, 魚住拓也, 佐藤和人
Abstract:大規模災害(地震)を想定して実施した患者参加型の災害・緊急時対策訓練について報告した。参加者は透析センタースタッフ24名および透析患者11名で、想定勤務者はメンバー内で決定したリーダーを中心に災害対策マニュアルに基づき行動し、参加患者は想定勤務者の指示に従って行動した。設定被災状況は、火災発生により停電となり、建物2階から1ヶ所の非常口を通って非難するものとした。透析中の患者には動脈・静脈回路を2本の鉗子でクランプし、その間をはさみで離断して緊急離脱した。訓練後のアンケート調査で、地震発生時、火災発生時、緊急離脱時、非難時における対応はスタッフの76~88%が「よくできた」「できた」、患者の91~100%が「大変安心」「安心」と回答した。スタッフ・患者から寄せられた意見からは、マニュアルへの補足・追加事項、患者への災害時指導のための資料や勉強会の必要性が明らかとなった。

2010165591
医中誌Web
『チーム栗原』 岩手・宮城内陸地震における静脈血栓塞栓症予防活動
Source:心臓(0586-4488) 42巻4号 Page473-480(2010.04)
Author:柴田宗一(宮城県立循環器呼吸器病センター 循環器科), 菊田寿, 住吉剛忠, 渡邉誠, 三引義明, 大沢上, 小泉勝, 榛沢和彦
Abstract:岩手・宮城内陸地震発生後、新潟大学を主体とする「エコノミークラス症候群予防検査支援会」を中心に、周辺医療機関からのボランティアと栗原市職員から構成される『チーム栗原』として、静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism;VTE)予防検査活動を行った。地震発生後6ヵ月目までに、被災者113名に対し下肢静脈エコーを行い、17名(15%)に深部静脈血栓(deep vein thrombosis;DVT)を認めた。DVT陽性群とDVT陰性群とで、リスク要因について多変量解析を用いて分析した結果、年齢:高齢(オッズ比1.090、95% Cl 1.029-1.155、p=0.004)、性別:男性(odds ratios(OR)0.150、95% confidence interval(Cl)0.027-0.818、p=0.028)、症状の有無:有り(OR3.326、95% Cl 1.024-10.805、p=0.046)、喫煙習慣:有り(OR 16.020、95% Cl 2.067-124.163、p=0.008)が統計学的に有意であった。血栓陽性者に対しては、弾性ストッキングを配布し、かかりつけ医に対し診療情報提供書を作成し、基礎疾患治療の継続とともに、血栓治療を依頼した。さらに検診データをもとに栗原市とともに、避難所および仮設住宅の環境改善にも取り組んだ。保健師を中心に、避難所生活内での指導と管理を継続して行った。その結果、避難所および仮設住宅内で1人も肺塞栓症へ進展することなく現在まで経過している。震災後のVTE予防検査活動を行ううえでは、病院の枠組みを越え、行政を巻き込んだ活動が必要である。またこのような活動を支援することは、災害時における循環器科医師の重要な役割の1つと考える。(著者抄録)

2010153865
医中誌Web
地震によるトラウマとPTSDに関する疫学 能登半島地震におけるコホート研究の導入
Source:北陸神経精神医学雑誌(0913-7378) 23巻1-2号 Page8-17(2009.12)
Author:中村裕之(金沢大学 大学院医学系研究科), 神林康弘
Abstract:地震は、わが国の代表的な自然災害である。直接的な健康被害は、倒壊した建物により、圧死や生き埋めとなる場合であり、最も悲惨であるが、間接的な健康被害としての精神的健康被害も長期化する後遺症として無視できない。それには、家が倒壊した時などの精神的な衝撃がもたらす心的外傷後ストレス障害(Post-traumatic stress disorder:PTSD)と、避難所で過ごした後、仮設住宅など、自宅と異なる場所で生活することを余儀なくされた時の様々なストレスによる精神障害がある。著者らは、2007年の3月に起きた能登半島地震後に、被災地に住む高齢者の健康調査を開始した。やや落ち着きを取り戻した時期(約半年後)の仮設住宅調査の結果では、PTSDスコアやGHQ-28スコアの高得点者が認められた。このPTSDスコアやGHQ-28スコアの高い人には、地震時に負傷の経験だけではなくて、「足腰が弱った」、「地震後に友人の家を訪ねていない」、「地震後に友人や家族の相談にのっていない」人が多かった。このように高齢者の地震後のPTSDや精神障害に与える影響は地震直後の体験よりも、仮設住宅の生活によるストレスの影響が大きいことが推測された。仮設住宅以外に住む高齢者あるいは通所サービスに通う高齢者との比較を通しても、高齢者における地震による劇的な生活の変化や、災害後のケアの不足、仮設住宅での近隣者との希薄な関係が精神的な影響をもたらすことが窺い知れた。したがって地震災害後の精神的な影響を最小限にするためには、常日頃から、様々な状況をシミュレートしておき、コミュニティにおけるネットワークづくりを急ぐ必要があろう。住民自身による救援・救助活動だけではなく精神的なケアも必要であるため、医療・保健従事者だけでなく、住民対象の教育の場を設けることが、地震による健康被害に対して重要な課題となると考えられる。(著者抄録)

2010147987
医中誌Web
四川大地震JICAこころのケア支援プロジェクト事前調査
Source:トラウマティック・ストレス(1348-0944) 8巻1号 Page55-63(2010.02)
Author:冨永良喜(兵庫教育大学), 藤本正也, 渡邊智恵, 吉げん洪, 大澤智子, 高橋哲, 瀧ノ内秀都, 明石加代, 中村覚, 坂元芳匡, 周妍, 土居健市, 細川幸成, 加藤寛
Abstract:災害多発国であるわが国は、災害後の人命救助・医療支援・心理的支援に至るまで、その知識と技術を蓄積してきた。2008年5月に発生した中国・四川大地震後の心理的支援として、JICA(国際協力機構)四川大地震こころのケア人材育成プロジェクトが2009年6月に正式にはじまった。本論文では、プロジェクト発足までの被災地での訪問調査(2008年11月と2009年2月)の結果を報告し、海外での心理的支援のあり方と、今後どのような貢献ができるかを考察する。(著者抄録)

2010145618
医中誌Web
中央手術室における災害訓練活動報告(NO.2) 災害訓練用DVD教育でイメージ化を図る
Source:日本手術医学会誌(1340-8593) 31巻1号 Page60-62(2010.02)
Author:阪口貴之(大阪警察病院), 亀井初美, 池邊美佳, 濱田弥生, 寺田りさ
Abstract:手術室において突如の事態に対応できる1つとして、イメージを強化した臨場感がある災害訓練用のシミュレーション撮影をDVDに収録しものをトレーニング教材として活用し、その結果を報告した。アンケートの結果から、臨場感が伝わる内容の回答が100%であった。具体的な臨場感の場面に関しては「地震の揺れで物と人が倒れる」が48%、「地震の揺れた後のリアクション」が26%「非日常的な崩れた環境」が15%、「想像しなかった避難方法」が7%、「リアリティなセッティング」が4%であった。「DVD教材は訓練時にイメージできた」内容に関して96%であった。訓練時に役に立った場面は「地震発生後の流れがイメージできた」が48%、「避難時の移送方法がイメージできた」が26%、「被害状況の確認方法がイメージできた」が22%、「シナリオを読むだけでも映像が残っていた」4%であった。

2010135584
医中誌Web
災害時支援における支援者の意識変容過程 社会福祉実践領域および関連領域で専門的役割を担った支援者へのインタビューの分析から
Source:コミュニティソーシャルワーク 4号 Page67-73(2009.12)
Author:大島隆代(法政大学 現代福祉学部)
Abstract:2004年10月23日に発生した新潟中越地震災害後に被災住民および被災地域への支援に関わった人にインタビューし、調査から導き出された結果から災害時支援における支援者の意識変容過程に特化して、いくつかの実践仮説を記述的に明らかにした。調査対象者のデータから分析テーマに則し分析作業を行った結果、得られた概念数は39個で、テーマから外れる4個を廃止し、35個の概念の関係性と相互作用性を考察し、五つの主要カテゴリーが生成された。災害時支援においては段階的に変容する被災者の生活課題や被災地域の社会的構造の変化などが影響し、いくつかの特徴的な支援形態や支援方法による支援者の機能構造が形成されることが明らかになった。また、支援構造の大きな特徴は支援者自身が被災者に成り得るということで、支援者は対象者と向き合う中で意識が変容し、それが実践にも影響を及ぼしていた。

2010097384
医中誌Web CrossRef
能登半島地震と母親の産後鬱および育児との関係(Relationship between the Noto-Peninsula earthquake and maternal postnatal depression and child-rearing)
Source:Environmental Health and Preventive Medicine(1342-078X) 14巻5号 Page255-260(2009.09)
Author:HibinoYuri(金沢大学 医学系研究科環境生態医学・公衆衛生学), TakakiJiro, KambayashiYasuhiro, HitomiYoshiaki, SakaiAkemi, SekizukaNaomi, OginoKeiki, NakamuraHiroyuki
Abstract:能登半島地震の3ヵ月後に最も被害がひどかった地域の主要病院で周産期看護を受けている女性に質問紙を配り、産後鬱と育児の状態を調べた。回収された155名のデータを分析し、産後鬱をEdinburgh Postnatal Depression Scale(EPDS)を用いて評価した。その結果、EPDSスコアは多分散分析で分娩の満足度低下、粉ミルクの増加および育児トラブルの増加と有意な関係があった。また、地震に対する不安の増加とも関係があり、地震に対する不安は地震の恐怖増加と有意に関係していた。地震に対する不安や地震の恐怖といった地震関連因子は育児因子に直接の影響を及ぼさなかったが、EPDSの増加と有意な関係があった。

2010092474
医中誌Web J-STAGE
大規模災害時における被災高齢者に対する歯科保健医療支援活動
Source:老年歯科医学(0914-3866) 24巻3号 Page284-292(2009.12)
Author:田中彰(日本歯科大学新潟病院 口腔外科)
Abstract:大規模災害時の医療支援は生命予後に直結する緊急医療が重視される傾向にあるが、長期化する避難生活では中長期的な健康対策、保健医療が重要となり、歯科保健医療支援活動も必要となる。大規模災害時における被災高齢者に対する歯科保健医療支援活動について概説した。各地の自治体や歯科医師会を中心に災害マニュアルが作成され、高齢者対策を重視した支援に関わる事項も策定されているが、災害発生後被害状況を分析し、フレキシブルに支援活動を構築しなければならない。

2010086099
医中誌Web
大地震における脳神経外科医のあり方
Source:Neurosurgical Emergency(1342-6214) 14巻1号 Page26-29(2009.07)
Author:柳川洋一(防衛医科大学校附属病院 救急部), 本間正人, 有本裕彦
Abstract:目的:大地震における脳神経外科医のあり方を検討すること。方法:大地震の際の脳神経外科医の現状を把握するために、医中誌(1983~2008年)並びにPubMed(1974~2008)を用い、地震(earthquake)、頭部外傷(headinjury)の二つの検索単語を用い、文献収集を行い、分析した。結果:頭部外傷の記載があったのは3件であった。また、実際の治療に関する記載があったのはパキスタン大地震の際に自己完結型の軍病院による報告例のみであった。地震による死因に関する記載は台湾大地震とノースリッジ地震に関する2報告で存在したが、両報告とも倒壊建物による頭部外傷が主因としていた。以上の結果より、大地震では多数の頭部外傷が治療を受けずに死亡していることが推察された。結語:大地震で脳神経外科医が手術で重症頭部外傷患者を救うためには、災害現場での負傷者発見、救出、トリアージ、手術できる病院までの搬送手段の一連のシステムの確立が必要である。これは一脳神経外科医には不可能であり、消防・Disaster Medical Assistance Team連合や自衛隊の能力が不可欠となる。従って、大地震の際のこれらの組織の役割や能力を理解し、協調した行動をとることが脳神経外科医のあり方と考えられた。(著者抄録)

2010082379
医中誌Web
災害拠点病院における災害の備えに対する実態と課題
Source:日本災害看護学会誌(1345-0204) 11巻2号 Page16-30(2009.12)
Author:西上あゆみ(梅花女子大学), 山本あい子
Abstract:災害拠点病院は増加の傾向にあり、どのように備えを行っているかの調査は重要であると考え、その実態を明らかにする目的で研究を行った。先行研究・資料に基づき作成した質問紙を全国災害拠点病院572施設に郵送し、222施設から回答を得た。187施設が災害への対策組織を有し、想定している災害は多いものから「地震」「大火事」であり、少ないものは「病院倒壊」、「放射線」、「航空機」、「テロ」、「化学兵器」と人為災害に関するものが見られた。災害時マニュアルを211施設が有し、その周知は125施設ができていると回答した。災害計画で多く取り組まれているものから「院内対策本部の設置」「トリアージ訓練」があり、少ないものは「看護ボランティアの受け入れ」、「一般ボランティアの受け入れ」であった。今後の課題は人為災害を想定した対策の充実や、作成したマニュアルを周知させること、ボランティアの受け入れなどの計画を充実させることであった。(著者抄録)

2010080885
医中誌Web
阪神淡路大震災10年後の高度被災地区精神科診療所初診患者における被災の心理的影響
Source:心的トラウマ研究(1880-2109) 5号 Page71-78(2009.11)
Author:藤井千太(兵庫県こころのケアセンター), 二見友紀子, 福井愛, 古谷千秋, 加藤寛, 宮崎隆吉
Abstract:阪神淡路大震災の高度被災地区に位置する精神科診療所で、被災10年後の1年間、初診患者についての被災の心理的影響を調査した。その結果、初診患者全体の少なくとも15.2%(調査対象の29.9%)が、被災による心身への影響の有無を問う初診時の質問に対し、何らかの影響があると回答していた。簡易な問診形式によるスクリーニングでは、調査対象の19.0%がPTSDのハイリスク者であった。またうつ病ハイリスク者中のPTSDハイリスクである比率(30.0%)は、うつ病非ハイリスク者中のPTSDハイリスクである比率(9.1%)よりも統計学的に有意に高かった。時間の経過に伴い、他の様々な要因も複雑に関与する中で、被災体験に基づく心理的な苦悩が自発的に表現されることはますます少なくなっていると思われる。本調査の結果からは、大規模自然災害の高度被災地域においては、10年という期間が経過してもなお、少なくない初診患者について、被災による心理的影響が色濃く残っている可能性が示唆された。(著者抄録)

2010080882
医中誌Web
日本とアジア諸国における災害後精神保健活動の発展と課題
Source:心的トラウマ研究(1880-2109) 5号 Page51-56(2009.11)
Author:加藤寛(兵庫県こころのケアセンター)
Abstract:阪神・淡路大震災によって、日本社会は災害被災者の心理的問題について、正当な関心を寄せるようになった。その災害が、災害後の精神保健活動を展開する上での、出発点になったといえる。同様に、災害が多発するアジア諸国では、1990年代以降に発生した大災害がそれぞれの社会で、被災者への心理的支援の必要性を認識する大きなきっかけとなっている。それらは、ピナツボ火山噴火(フィリピン・1991)、集集大地震(台湾・1999)、スマトラ島沖地震・津波災害(インドネシア、タイなど・2004)、そして四川大地震(中国・2008)などである。津波災害後のタイ、およびサイクロン被害後のミャンマーの状況について紹介した。日本では、阪神・淡路大震災以降のほとんどの災害で、早期から精神保健活動が行われている。本稿では、最近の2つの災害について、活動の概要を紹介した。また、災害によって喚起された社会的関心の高まりから、犯罪被害者や暴力や虐待の被害者などへの支援を劇的に変化させることにつながっていることを指摘した。一方で、残された問題として、大規模交通災害後の被害者支援が不十分であることを、JR福知山線脱線事故をとおして考察した。(著者抄録)

2010080877
医中誌Web
四川大地震後の中国心理専門家への研修プログラムの効果 心のケア知識尺度の作成と検討から
Source:心的トラウマ研究(1880-2109) 5号 Page1-7(2009.11)
Author:冨永良喜(兵庫教育大学), 吉げん洪, 小林朋子, 湯永隆, 高橋哲
Abstract:本論文の目的は、心理専門家を対象とした四川大地震から2週間後の災害後の心のケア研修会の効果を検討することである。日本心理臨床学会は、2008年5月、中国にチームを派遣し、西南大学(重慶)にて、3日間の研修会を実施した。この研修会の効果を検討するため心のケアの知識のアンケートが349名の参加者を対象に実施された。その結果、全ての項目において心のケア知識の増加が認められた。アジアにおける災害後の望ましい心のケアのあり方が、研修プログラムの構成や世界的動向である心理的応急法(Psychological First Aid)の観点から考察された。(著者抄録)

2010057480
医中誌Web
能登半島地震被災後の自宅生活者における1年間の健康状態の推移と影響要因の検討(第3報)
Source:金沢大学つるま保健学会誌(1346-8502) 33巻1号 Page33-39(2009.07)
Author:表志津子(金沢大学 医薬保健研究域保健学系看護科学領域), 鈴木寛之, 藤田美保, 城戸照彦
Abstract:能登半島地震被災後の自宅生活者における1年間の健康状態の推移と影響要因について検討した。輪島市A地区の高齢住民で、継続受診者30例を対象とした。対象者のGHQ28は、震災直後と比較してそれ以降の時期には有意に低下した。GHQ28の1年間の推移と有意な関係があったのは、4ヵ月後の生活状況、症状で「眠れない」、「相談できる人がいない」、「しびれがある」であった。GHQ28合計の推移は「眠れない」の有無と有意な関係があり、下位尺度の社会的活動障害の推移では、「相談できる人がいない」、「眠れない」の有無において有意な関係があった。うつ傾向の推移では、「しびれ」の有無において有意な関係があった。また、最低血圧の推移では、「相談できる人」の有無において有意な関係があった。睡眠、しびれ、相談できる人の存在は、1年後までの精神面の推移と関係しており、これらの状況を手掛かりとした支援の可能性が示唆された。

2010040673
医中誌Web
【小児をめぐる心身医学】 小児心身医療に必要な連携システム
Source:心身医学(0385-0307) 49巻12号 Page1283-1288(2009.12)
Author:高宮靜男(西神戸医療センター 神経科), 磯部昌憲, 加地啓子, 唐木美喜子, 植本雅治
Abstract:小児心身医療における連携システム作りの実践を述べた。院内における連携システム、地域医療機関との連携システム、教育、行政、福祉との連携システムの経験を通して、意義、問題点に触れた。連携システム作りには、人と人との関係作りが基盤となった。(著者抄録)

2010039884
医中誌Web
中越沖地震を体験した筋ジストロフィー患者のこころのケア
Source:Expert Nurse(0911-0194) 25巻15号 Page88-91(2009.12)
Author:白井良子(国立病院機構新潟病院), 西尾こゆる, 渡邉誠章, 中島孝
Abstract:2007年7月16日に発生した中越沖地震を体験した筋ジストロフィー患者のこころの状態を把握することを目的に、2007年9月~12月に筋ジストロフィー病棟の入院患者72名へ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の評価尺度であるIES-Rを簡略化したSQD(スクリーニング質問票)を用いたアンケート調査を行うとともに、追跡調査として2008年11月に再度、同様のアンケート調査を行った。その結果、罹災後にPTSDが疑われた患者が3名、うつ症状が3名おり、全体的には、PTSDの3大症状のうち「過覚醒症状」の症状が最も多く29.6%にみられた。また、追跡調査では、上記の6名のいずれにもPTSD、うつ症状はみられなかった。

2010038653
医中誌Web
能登半島地震による妊産婦への健康影響
Source:日本予防医学会雑誌(1881-4271) 4巻1号 Page25-30(2009.02)
Author:黒田かおり(金沢大学 医学部), 日比野由利, 関塚真美, 坂井明美, 中村裕之
Abstract:平成19年3月25日午前9時42分ごろ能登半島沖を震源とするマグニチュード6.9、最大震度6強の強い揺れが能登地域を襲った。被災者の被災状況に関する基礎資料を作成するとともに、災害の健康影響を評価し、将来の保健支援対策へとつなげるため、妊産婦に対する自記式質問紙調査を実施した(n=179)。地震後の妊産婦の抑うつ状態をEPDS(Edinburgh Postnatal Depression Scale)を用いて評価した。妊産婦の属性では、初産の女性でうつ傾向が有意に高かった。また、妊産婦には、余震への不安など、地震発生に起因する不安が少なからず生じており、地震への不安は抑うつに有意な影響を及ぼしていた。緊急時に高まるこうした妊産婦の不安や心配に対する心のケアが必要であると考えられた。(著者抄録)

2010037477
医中誌Web
新潟県中越沖地震災害救護における看護師の保健活動
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 14巻2号 Page233-236(2009.10)
Author:野村純子(長野赤十字病院), 瀧澤寿美子, 小林由加
Abstract:平成19年7月16日新潟県中越沖地震が発生した。長野赤十字病院の救護班7名(医師1名、薬剤師1名、看護師3名、主事2名)は、地震発生当日から3日間、500名の被災者が避難している柏崎小学校にて救護活動を行った。3日間で診療した被災者数は86名で、外傷性疾患が56名、内科的疾患が22名、精神的疾患・その他が8名であり、病院に搬送した患者は2名であった。避難所における主な活動内容は、(1)外傷や急性疾患の診療介助、(2)慢性疾患患者への内服薬の手配、(3)手指消毒薬の手配と使用方法の指導、(4)ラジオ体操の実行、(5)睡眠時間の確保、(6)清潔面の援助、(7)子供たちへの遊び場の提供、(8)心のケア、(9)他職種との連携など広範囲に及んだ。そして、専門的知識を持った我々が積極的に保健活動を行ったことで、慢性疾患の悪化や二次的疾患発生の予防につなげられた。(著者抄録)

2010037476
医中誌Web
新潟県中越沖地震における避難所看護活動 夏期の避難所の課題と看護の役割
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 14巻2号 Page227-232(2009.10)
Author:西上あゆみ(梅花女子大学), 渡邊智恵, 神崎初美
Abstract:平成19年7月16日発生の新潟県中越沖地震で、我々は避難所で避難者と一緒に生活をしながら、初動期に看護支援活動を行った。避難者は炎天下の中作業を行い、扇風機のない避難所での生活を強いられていた。看護活動支援の健康指導の場面では平時よりさらに血圧が高くなった高血圧患者がおり、膀胱炎症状や眩暈の訴えもみられた。脱水・熱中症に対する支援・知識提供が必要であり、具体的な水分摂取量の指導を行った。屋外の仮設トイレでは臭気もあり、この環境を整えることも必要であった。夏期は食品の腐敗が進みやすく、食中毒や手指洗浄など衛生面に関する配慮、指導も必要であった。この避難所での活動をとおして夏期に発生した災害に対する看護活動の課題と役割について季節を考慮に入れた視点で検討した。夏期に発生した災害では気温の上昇に伴う熱中症や脱水への予防、不快への対策に伴う環境整備、食中毒等への感染予防が必要であった。(著者抄録)

2010037473
医中誌Web
病院における「緊急地震速報システム」導入にむけた課題
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 14巻2号 Page205-210(2009.10)
Author:堀内義仁(国立病院機構災害医療センター)
Abstract:本邦で開発され、平成19(2007)年秋から全国的に本格的な導入が開始された緊急地震速報については、さまざまな分野での有効活用について、まだ多くの改良の余地が残されている。病院における利活用については、平成15(2003)年から国立病院機構災害医療センターにおいて、実証実験を含めたさまざまな取り組みがなされ、行動マニュアルを含めた一応の導入形態を示すことができる段階となった。導入のための基本的な決定事項は、緊急地震速報をどこからどのような方法で受信するのか、院内設備の何と連動させるのか、院内の人にどのように知らせるのか、それを知った人のとるべき行動は何であるのか、などである。病院への具体的な導入方法については、公的に推奨・サポートされる標準的なものはなく、個々の病院で関連機器の購入、設備工事費、情報提供料・回線使用料やメインテナンスを含めて決定してゆかねばならないのが現状である。病院が最低限導入すべき機能と導入方法の標準化と、その上で病院の構造や機能の多様性に合わせた個別対応が必要である。そしてそのための公的なサポート体制が望まれる。(著者抄録)

2010037472
医中誌Web
病院災害時対応組織構築への準備 マニュアルとアクションカード作成によるとり組み
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 14巻2号 Page198-204(2009.10)
Author:中島康(東京都立広尾病院), 城川雅光, 光定誠, 小林ゆり, 佐々木勝, 古賀信憲
Abstract:病院災害時対応組織構築の手段であるマニュアルの改訂と携行用アクションカード作成を行った。新マニュアルは、「消防計画・災害対応策」を整理し、部門間の協力体制や情報伝達経路の複線化および役割ごとの具体的な初期対応を視覚化した。共用の「災害対策本部」用1部と「災害」(火災、地震、NBC災害を含む集団災害)用3部の全4部で構成し、さらに本マニュアルより活動時に携行が必要な頁を縮小しアクションカードを作成した。初期対応に必要な役割を整理、役割ごとの行動を優先順位と時系列で分類、行動内容を簡潔明瞭に記載、時間外勤務帯の職員数に応じた最少枚数等の特性を持たせた。これらを使用した2006年総合訓練では前年より被害把握時間短縮等の災害対策本部の情報収集能力が改善した。新マニュアルとアクションカードは、迅速な病院災害時対応組織と情報伝達経路の構築および適切な災害対応に有用であり、臨機応変な災害対応を可能にする手段である。(著者抄録)

2010037470
医中誌Web
災害対策マニュアルの周知方法に関するE-learningの効果と可能性
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 14巻2号 Page181-190(2009.10)
Author:橘田要一(東京大学医学部附属病院 救急部・集中治療部), 矢作直樹, 原田賢治, 塚田博明, 赤塚健一, 大原美保, 目黒公郎
Abstract:【目的】災害訓練に先立ちアクションカード形式のマニュアルを作成し、e-learningで事前学習を行い、その有用性を検討した。【方法】ALSG提唱のCSCATTTと折りたたみ式階層の要素を取り入れたマニュアルを作成し、地震発生から応急処置までのシミュレーション形式の設問に診療用端末からアクセスし答える方式でこれを学習した。【結果】41日間で災害訓練参加者の約10倍の看護師836名、医師264名が学習した。医師・看護師とも80%が災害状況をイメージできたが、対応に自信を持てたのは医師30%・看護師17%、対応に不安を感じたのは医師50%・看護師70%だった。医師・看護師とも70%が実際の訓練・研修参加を希望した。【考察・結論】e-learningはイメージ具体化と訓練・講習受講の動機付けには有用であった。また、実際の訓練参加を促すことで、マニュアル周知の効率的な手段になると考えられた。(著者抄録)

2010037469
医中誌Web
災害時の医療機関の機能維持に関する調査 水の供給途絶を防ぐ
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 14巻2号 Page174-180(2009.10)
Author:武井英理子(防衛医科大学校 防衛医学講座), 池内淳子, 徳野慎一, 山田憲彦, 鵜飼卓
Abstract:目的:災害時患者救命率向上には、医療施設における給水を含むライフライン機能維持が大きく依存する。本研究は病院の給水状況および水道局の地震対策を調査し、病院における災害時給水維持の重要性を検討する目的で行った。方法:災害拠点病院を中心に9病院の給水状況および、神戸市水道局の阪神・淡路大震災時の対応とその後の災害対策に関し、アンケートおよび聞き取り調査を実施した。結果:病院において(1)給水方法:公共水道のみが7病院、井戸併用が2病院、(2)独自水源の保有状況:井戸保有が4病院、雨水利用システム保有が2病院、(3)配管系統システム:1系統が6病院、2系統が3病院であった。神戸市水道局は、阪神・淡路大震災時に応急給水等の対応を行い、震災後は配水管の耐震化を推進している。結論:災害時の病院における給水維持には、水道局のみでは限界があり、病院独自の給水システムの整備が重要と考えられる。(著者抄録)

2010037467
医中誌Web
2004年新潟県中越地震の被災看護師のストレス反応 新潟県中越地震を体験した看護職のアンケート結果から
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 14巻2号 Page157-163(2009.10)
Author:山崎達枝(災害看護支援機構), 丹野宏昭
Abstract:本研究の目的は、災害による看護職の外傷後ストレス障害の有無や強弱に影響を及ぼす要因(年代、職位、急性ストレス反応)を検討することである。2004(平成16)年に発災した新潟県中越地震発生後約1年10ヵ月後にあたる2006(平成18)年7月に、被災地内の15病院施設842名の看護職に、質問紙調査を行った。分析の結果、年齢が高いほど、さらに急性ストレス反応が強いほど、外傷後ストレス反応(以下PTSDとする)の「再体験・侵入的想起」「回避」の傾向が強かった。さらに、年齢が低いほど、急性ストレス反応が強いほど、PTSD反応の「再体験・侵入的想起」が強いほど、被災後の退職の検討が多かった。自由記述回答の分析の結果、「出勤できなかったことを厳しく追及・批判された」ことに対して辛く感じている看護職が多かった。その一方で、被災時に周囲からの励ましや労いの言葉を受けたことで、楽になったり、頑張れるという気持ちになった看護職も多かった。(著者抄録)

2010001795
医中誌WebJ-STAGE
大規模地震災害が血液透析患者の栄養状態に与える影響 各種血液生化学的マーカーおよび臨床症状の変動
Source:日本農村医学会雑誌(0468-2513) 58巻2号 Page54-62(2009.07)
Author:土田恵美子(JA新潟厚生連刈羽郡総合病院 透析室), 佐藤舞子, 倉持元
Abstract:我々は平成19年7月16日に新潟県中越沖地震(マグニチュード6.8)による大規模地震災害を経験した。そこで大規模地震災害が血液透析患者の栄養学的変化を含む血液生化学的マーカーに及ぼす影響と災害による精神的ストレスおよび臨床的合併症の発生を調査するために,経時的に各種血液生化学的マーカーを測定しその変動および合併症の発生状況を検討した。新潟県中越沖地震では一般生活に必要なライフライン(電気,都市ガス,水道)が完全に復旧するまでに1ヵ月を要した。多くの各種血液生化学的マーカーの変動および新たな合併症の発症は,被災後1ヵ月までに集中しており,これはライフラインが完全に復旧するのに要した期間とほぼ一致した。これらの変化も被災3ヵ月後になると回復および減少してくるのが認められた。しかし血清アルブミンのように被災後6ヵ月を経ても回復しないものも存在した。また精神的ストレスの影響は被災3ヵ月後より現れてくることも認められ,各種血液生化学的マーカーの変動および合併症の発症のピーク(被災1ヵ月後)と精神的ストレスの影響を認める時期(被災3ヵ月後)には時間差が存在した。これらの点は今後の大規模地震災害後の血液透析患者の身体的および精神的状態に対しての総合医療的ケアを考えていくうえで非常に参考になると考えられた。(著者抄録)

2009346623
医中誌Web
日本が地震災害時の歯科保健医療対応事例で学んだことは、世界に情報発信されているか?
Source:ヘルスサイエンス・ヘルスケア(1881-1892) 8巻2号 Page69-74(2008.12)
Author:星佳芳(北里大学 医学部衛生学公衆衛生学), 中久木康一, 鶴田潤, 小城明子, 戸原玄, 村井真介, 小室貴子, 池内龍太郎, 安藤雄一, 寺岡加代, 佐藤敏彦
Abstract:日本で起こった大規模地震災害時の歯科保健医療活動に関する報告が英語情報で公開されいるかを調査するため、PubMedを用いて文献検索を行った。その結果、検索できた文献は155件で、そのうち検索式1による歯科・口腔保健医療領域の論文は1件のみであった。検索式2による検索では、歯科・口腔保健医療領域の論文は41件がヒットしたが、そのうち明らかに歯科・口腔顔面領域のテーマを扱っている論文は16件であった。なお、新潟中越地震に関するものは5件、阪神淡路大震災のものが2件、宮城県沖地震のものが1件であったが、この8件中、歯科に関するテーマは1件のみであった。

2009336619
医中誌Web
医療安全対策 災害時の医薬品・医療器材の流通確保
Source:日本透析医会雑誌(0914-7136) 24巻2号 Page237-243(2009.08)
Author:高野淳一(中外製薬新潟営業所)
Abstract:災害時の医薬品および医療器材の供給体制は、各関係者・関連諸団体間の「大規模災害時の医薬品等供給マニュアル」によってその対応策は作られており、有事に備えられている。透析医療においては相互連携が他領域に比べ格段にとれており、ある一定の地震災害には対応できる体制が整っているが、都市部で発生しうる需要増大には対応しきれないことも想定できる。それら供給体制整備に不可欠となる緊急要請の仕組みと備蓄、またネットワークやエリア連携による情報共有は供給体制に重要な意味をもつものである。(著者抄録)

2009330395
医中誌Web
新潟県中越地震後の地域メンタルヘルス活動 地域特性を活かしたメンタルヘルス活動の試み
Source:日本社会精神医学会雑誌(0919-1372) 18巻1号 Page63-73(2009.07)
Author:直井孝二(立川メディカルセンター柏崎厚生病院 精神科)
Abstract:我々は新潟県中越地震の直後から関係機関と連携し、旧小国町(現長岡市小国町)においてメンタルヘルスケア活動を行っている。震災3ヵ月半後の健康調査ではThe Impact of Event Scale-Revised(IES-R)等を用い、その結果を住民に還元し、PTSDやうつ病のリスクが高い者に対する個別訪問、IES-R高得点者が多い集落に対する講話と相談会、保健師訪問を行った。13ヵ月後に再度調査を行ったところ、IES-R高得点者の割合が減少していないことが判明して、現在も支援活動を続けている。その一つであるこころの健康相談会来談者の供述から、家族全体(時には支援者)のストレス状況に配慮した精神的支援が重要な予防活動の一つであることと、精神医学的影響が長期に及んでいることを示した。また、中山間地の災害では連携や助け合いが防御・回復因子として働いてPosttraumatic Stress Disorder(PTSD)の発症を予防している可能性があり、その特徴を活かす支援が重要と結論される。(著者抄録)

2009330394
医中誌Web
新潟県中越地震後の地域メンタルヘルス活動 震災3ヵ月半後及び13ヵ月後調査結果とPTSDリスク要因の分析
Source:日本社会精神医学会雑誌(0919-1372) 18巻1号 Page52-62(2009.07)
Author:直井孝二(立川メディカルセンター柏崎厚生病院 精神科)
Abstract:我々は新潟県中越地震の直後から関係機関と連携し、旧小国町(現長岡市小国町)において全住民に精神的健康に関する調査を行い、その結果に基いた予防とケア活動を試みている。本報では活動の根拠となったこれらの調査結果について、考察を交えて報告する。震災3ヵ月半後と13ヵ月後の中学生以上を対象としたThe Impact of Event Scale-Revised(IES-R)では「家屋の被害が大きい、仮設住宅、女性、高齢、同居家族が少ない、治療中の病気がある、体調が悪い、酒量やたばこの量が変化した、外出の頻度が少ない、抑うつ症状がある、健康について相談したいことがある」と回答した者の平均得点が有意に高く、これらがPosttraumatic Stress Disorder(PTSD)のリスク要因であることがわかり、その後の活動の基礎となった。13ヵ月後では「10代と30~50代の女性、3人以上の家族、病気がない、健康について相談したいことがない」と回答した者の得点は有意に下がったが、全体ではIES-R高得点者の割合は減少しておらず、長期的ケアが必要と判断された。(著者抄録)

2009321679
医中誌Web
手話緊急通報の作成に関する基礎検討
Source:聴覚言語障害(0300-0338) 36巻2号 Page57-68(2007.12)
Author:鎌田一雄(宇都宮大学 大学院工学研究科), 米村俊一, 永徳真一郎
Abstract:地震、あるいは天候、交通機関の運用などにかかわる速報、注意報などの緊急的な通報は、できる限り迅速かつ正確に、その情報を必要とする人たちへ伝達できるシステムが必要である。また、受信者側も情報に基づいた適切な行動が要請される。緊急通報を必要な人たちへ伝達するという観点からは、日常生活で手話を使用している聴覚に障害のある人たち(ろう者)へ、手話を用いた通報伝達サービスも必要である。これらの中で、日本語テキスト(日本語通報文)から手話通信文をどのように作成するかという課題は、基本的、かつ重要である。本稿では、ろう者と手話通訳者(聴者)とを対象とした実験とインタビューから、日本語通報文から手話通報文を作成する課題を手話ということばの視点から議論する。(著者抄録)

2009305303
医中誌Web
情報提供による行動変化 災害シミュレーションを実施して
Source:公立南丹病院医学雑誌(1881-4530) 11巻1号 Page83-87(2009.03)
Author:前田真亜沙(公立南丹病院 手術部), 川畑亜由美, 浅田いづみ, 前林佳子, 松岡美代子, 渡邊しのぶ, 川勝智子
Abstract:災害マニュアルの作成を行うにあたり,災害マニュアルだけで行動するのは不十分で,シナリオ・シミュレーションモデルの作成,それに基づいた訓練施行がなされることが必要であるという情報を得た.当手術部でも役に立つ災害マニュアルを作成するために,災害シミュレーションを通した行動変化を検討する必要性があると考えた.(方法)手術部看護師12名を手術部経験年数で均等になるよう2群(A・B)に分けた.そして,B群のみに情報を提供し,A・B共に同じ災害時シミュレーションを実施し,10個の行動項目を独自の行動評価表を用いて結果を点数化し評価した.(結果)行動評価表は50点を最高点とし評価したが,A群は平均点27点,B群は31点と2群の著明な点数差はみられなかった.しかしB群の方が点数結果が高かったのは,情報提供したことで起こりうる状況を予測して行動できていたからだと考える.今回の研究で,シミュレーションを行い,実際の動きを経験することで,災害に対する意識改革を図ることができた.今後,新たな手術部の災害マニュアルの作成,それを使用しての定期的な防災訓練に取り組んでいきたい.(著者抄録)

2009305123
医中誌Web
新潟県中越地震における震災直後の子供の食生活について
Source:日本公衆衛生雑誌(0546-1766) 56巻7号 Page463-467(2009.07)
Author:川野直子(聖徳大学 人文学部人間栄養学科), 伊藤輝子, 高橋東生
Abstract:目的 本調査は、ライフラインが使用不可能な災害時において、どのような食事が営まれていたのか、新潟県中越地震における子供たちの食生活を事例に、実態把握することを目的とした。方法 新潟県中越地震(2004年10月23日マグニチュード6.8)の中心被災地の一つである小千谷市おいて震災当時の子供たちの食生活の実情に関するアンケート調査を実施した。またこれらの結果についてKJ法を用いてまとめ、気づいた点について考察した。結果 アンケート回収率は80.4%、うち有効回答率は72.7%であった。震災発生翌日の子供の避難場所について調べたところ、自宅58人(6.5%)、自宅周囲(車、テントなど)524人(59.0%)、住居地域の避難所231人(26.0%)、市外に避難させた38人(4.3%)であった。自宅に避難した者のうち67.2%が、自宅周囲に避難した者のうち53.8%は「自宅の保存食を食べた」と回答した。また自宅や自宅周囲に避難した582人のうち27.7%は、「救援物資」を利用していたが、それ以外は自分たちで用意した料理や食べ物を利用していた。さらに有効回答者のうち約4割強の者からは、震災翌日の食事内容についての具体的な回答を得ることができた。結論 本震災被災者らは、ライフラインが使用できなかった震災当日や翌日において、地域住民と共に元々自宅にあった食品や料理を活用し、非常事態に対応していた者が多く存在していたことが明らかになった。(著者抄録)

2009305122
医中誌Web
新潟県中越地震による地域コミュニティと子供の食環境に関する実態調査
Source:日本公衆衛生雑誌(0546-1766) 56巻7号 Page456-462(2009.07)
Author:川野直子(聖徳大学 人文学部人間栄養学科), 伊藤輝子, 高橋東生
Abstract:目的 本研究は、新潟県中越地震(2004年10月23日マグニチュード6.8)の中心被災地の一つである小千谷市において、災害時における子供と小規模地域コミュニティにおける食環境の実態調査することを目的にアンケート調査を実施した。方法 2007年11月~12月の間、市内の小中学校の児童・生徒の保護者1221人を対象に、災害時における食生活に関するアンケート調査を行った。また同年8月に市内基幹避難所において震災当時を知る関係者らへの聞き取り調査を行った。結果 有効回答率は、72.7%であった。地震発生から1週間の食生活に関する質問に対し「地域住民で集まり、共同で料理を作り食べていた」と回答した者と自家発電機の利用を回答した者との間に有意な関連がみられた。また7割近い回答者が、被災生活における生鮮食品の不足を回答した。結論 自家発電機を利用した者は、地域コミュニティに参加し食事を共にしている傾向だったことが示唆された。また被災者は生鮮食品を中心とした品目の不足を感じながらも、ライフラインが完全に使用できない被災生活において、救援物資のみに依存した食生活ではなく、備蓄食料や地域コミュニティを同時に活用し、子供たちの食生活を維持していたことが示唆された。(著者抄録)

2009290608
医中誌Web
トラウマの心理的影響に関する実態調査から 新潟中越地震3年後の地域高齢者における精神障害の有病率調査
Source:精神神経学雑誌(0033-2658) 111巻4号 Page405-410(2009.04)
Author:鈴木友理子(国立精神・神経センター精神保健研究所), 本間寛子, 堤敦朗, 金吉晴
Abstract:新潟中越地震3年後の地域在住高齢者の精神障害の有病率調査を実施した。また、主観的生活の質(QOL)を測定し、関連要因を検討した。対象は65歳以上の認知機能低下のない地域住民で、全戸訪問による聞き取り、面接調査を実施して、496名から回答を得た。その結果、地震3年後有病率は大うつ病が男性0.5%、女性0.8%で、PTSDの該当者はなかった。地震以来3年間の有病率は、大うつ病が男性1.5%、女性5.8%であった。男性では地震3年後のアルコール関連問題が6.0%、女性では過去3年間の大うつ病および小うつ病が10.0%、自殺の危険があったとされる者が8.1%あった。QOLの低下に関しては、同居者数の少ないこと、何らかの身体疾患の現症をもっていることが関連要因としてあげられた。

2009283373
医中誌Web
阪神淡路大震災における聴覚障害災害時要援護者の調査研究
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 14巻1号 Page75-81(2009.06)
Author:矢部多加夫(東京都立広尾病院 耳鼻咽喉科), 原口義座, 友保洋三, 邊見弘, 伊藤篤
Abstract:聴覚障害身体障害者認定者は現在約36万人であるが、社会の高齢化とともに増加傾向にあり、65歳以上の高齢者の40%にあたる約1,000万人が老人性難聴によるコミュニケーション障害を有し、補聴器装用が必要な人口は400万人以上といわれている。聴覚障害災害時要援護者への災害情報伝達支援機器の開発を目的として、今回平成7年1月17日発災の阪神淡路大震災を事例にとり調査研究を行った。回答状況は、神戸市とその近隣地域で185例(発送350)回答率52.9%であった。回答者は4級以上の高度難聴ないし聾難聴者が29.2%、6級以下の中等度難聴者の回答が70.8%と、後者の割合が多かった。高齢中等度難聴の被災体験者では、88.3%が日常補聴器を使用しているにもかかわらず、紛失・故障・ハウリング・補聴器装用下では情報収集が不十分などの理由で被災時には必ずしも有効ではなかったとの回答が目立った。むしろ実際には、手話通訳や文字放送付きTV、手話通訳、筆談、Fax等の視覚情報を活用していた側面が明らかになった。聴覚障害災害時要援護者支援機器開発では、補聴器が利用可能な中等度-高度難聴者においても聴覚情報に併せて視覚情報で援用する機器が被災時には有効であると考えられた。(著者抄録)

2009283372
医中誌Web
DMAT派遣元病院における後方支援の経験
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 14巻1号 Page69-74(2009.06)
Author:峯田雅寛(山形県立救命救急センター 看護部), 萬年琢也, 高村将志, 辻本雄太, 森野一真
Abstract:2007年7月中越沖地震におけるDMAT派遣を経験し、派遣元病院に残るDMAT隊員の後方支援活動の重要性が明らかになった。後方支援活動は、第一相:出動までの支援、第二相:目的地到着までの支援、第三相:活動中の支援、第四相:DMAT解散までの支援と、4つに分けることができた。今回の支援活動の課題7つを以下に示す。1)出動までに約1時間30分という長い時間を要した。2)勤務調整を行ったとしても、看護師3名のうち2名が深夜勤務明けとなった。3)車両は2台要したが、1台は非緊急指定車両ゆえ緊急走行ができずに遅れが生じた。4)派遣元病院との連絡方法や定時報告に関する調整が不十分であった。5)携行医薬品・医療資器材を管理するリストがなかった。6)広域医療情報システムへのDMAT活動の入力などにはDMAT隊員が望ましい。7)後方支援隊と院内災害対策本部員との連携が不十分であった。以上の経験をふまえ、出動までの時間の短縮と支援活動の標準化のためにはDMATの初動と派遣元病院が行う後方支援に関するアクションシートが有用であると考えられた。また震災時の渋滞等の道路事情を考慮すると移動車両はすべて緊急車両が望ましいと考えられた。(著者抄録)

2009283366
医中誌Web
集団災害における健康教育 国際緊急援助隊医療チーム活動の報告
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 14巻1号 Page38-42(2009.06)
Author:横堀將司(日本医科大学附属病院 高度救命救急センター), 平尾智広, 近藤久禎, 島田靖, 布施明, 横田裕行, 山本保博
Abstract:被災地では急性期疾病のみならず、経時的に衛生状態の悪化に伴う疾患の増加も見られる。したがって急性期医療支援を行う一方で被災地での公衆衛生の啓蒙が重要となってくる。災害医療における健康教育について国際緊急援助隊(Japan Disaster Relief)医療チームの事例を紹介し、問題点につき検討した。【事例1】2003年のアルジェリア地震災害では衛生施設が需要を満たしていなかった。また乾燥した気候、砂埃の多い環境から呼吸器疾患の蔓延が危惧された。衛生啓蒙のため現地語のフランス語、アラビア語にて、うがいや手洗いを勧めるポスターやパンフレットを作成し掲示し、配布した。【事例2】2004年インド洋津波災害におけるタイの被災地では、下痢等の蔓延が予測された。タイ語にてポスターを作成し、手を洗うことに重点を置いた衛生啓蒙活動を行った。また小児対象に寸劇を行い公衆衛生の啓蒙を行った。【考察および結語】以上の公衆衛生啓蒙活動は、災害が急性期から亜急性期に移行していく中で偶発的に行われたものであったが、その地域における気候、言語、文化を考慮したうえで計画、実行することの有効性を経験した事例であった。今後はいかに客観的に有効性の評価を行うか検討が必要である。また事前の準備として体系的な衛生啓蒙、健康教育の方法についてもさらなる検討が必要である。(著者抄録)

2009283365
医中誌Web
DMAT支援隊静岡
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 14巻1号 Page33-37(2009.06)
Author:安田清(静岡県立総合病院), 笠原英男
Abstract:DMAT隊として出動するに当たって、いくつかの問題に直面する。大きく分けて一つは現地の情報に関することであり、もう一つは持参荷物に関することである。東海地震が起きれば多くのDMAT隊が静岡に入ってくると思われる。しかし想定されている被災地は範囲が広く、DMAT隊が有効に機能するためには、正確な情報を早く獲得する必要がある。また自己完結型の活動を達成するためには荷物をどれだけ持っていけばよいのか、多くの隊が悩むことになると思われる。約1年前から、東海地震で入ってくるDMAT隊を支援する組織を作ろうという動きが静岡であり、平成20年1月「DMAT支援隊静岡」が結成された。支援隊の活動目的、組織、結成後の活動、問題点などについて述べる。(著者抄録)

2009283363
医中誌Web
災害派遣医療チーム(DMAT)はどうやって災害拠点に参集するべきか 中越沖地震参集DMATへのアンケート集計結果の検討
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 14巻1号 Page20-27(2009.06)
Author:小川理(新潟県立中央病院 循環器科), 尾矢博子, 武田一久, 田中浩之, 丸山正則, 林達彦, 熊谷謙
Abstract:2007年7月16日に発災した新潟県中越沖地震に参集したDMATの、出動時の交通手段、通行状況、時間や経費などをアンケートにて調査し、その問題点や解決法について検討した。発災急性期に所属機関の専属救急車両を1時間以内に利用できたチームは約半数に過ぎず、新潟県からの正式出動要請があるまで待機したため参集が遅れたチームも存在し、道路の安全性や渋滞規制回避の点でも問題がみられた。これらを解決する方法としては、出動の際の消防機関との連携、各DMATおよびその所属機関と所属都道府県庁との間の出動に関する事前の協定契約、他機関との情報共有およびDMAT間の情報共有システムの構築が必要と思われた。(著者抄録)

2009266164
医中誌Web CrossRef
壊滅的災害後2年間の自殺率への影響 1995年阪神-淡路大地震からの報告(Influence on the suicide rate two years after a devastating disaster: A report from the 1995 Great Hanshin-Awaji Earthquake)
Source:Psychiatry and Clinical Neurosciences(1323-1316) 63巻2号 Page247-250(2009.04)
Author:NishioAkihiro(岐阜大学 医学系研究科精神病理学), AkazawaKouhei, ShibuyaFutoshi, AbeRyo, NushidaHideyuki, UenoYasuhiro, NishimuraAkiyoshi, ShioiriToshiki
Abstract:「国民衛生の動向」及び神戸市総務企画局刊行の統計データを基に、全国及び神戸市における1988~1999年迄の月毎、年毎の自殺率を調査し、1995年の阪神-淡路大地震(大震災)発生前の7年間とその後の5年間の自殺率を比較して、自殺率と大地震との関連についてプロスペクティブに検討した。1995年1年間の神戸市の自殺率は第二次世界大戦後最低で、大震災後2年間は神戸市の自殺率は全国のそれより有意に低かった。しかし、大震災後2年経過以降は自殺率は上昇に転じた。大震災後の2年間、中年・高齢男性への影響は深刻であったが自殺率が低下したのには、中年男性が仕事を求めて神戸を去り病死したことも関係している可能性がある。女性では自殺率に有意な変化は認められなかった。

2009257897
医中誌Web
地震による透析装置への影響
Source:日本臨床工学技士会会誌(1341-3171) 34号 Page175-178(2008.09)
Author:菅谷吉高(東海医療科学専門学校 臨床工学科), 小木曽崇, 田添裕章, 野々山智之, 重野高儀, 杉浦良太, 浅野美子, 中村新一, 廣浦学, 阿部稔雄
Abstract:起震装置を用いて阪神・淡路大震災相当の地震を再現し、透析装置への影響を調べた。結果、透析装置の配置位置や固定方法の違いにより影響も異なった。壁際に配置すると壁に衝突した反動で転倒し、転倒した場合には外装の破損だけでなく透析装置内部の基盤にも影響が及んだ。外装の破損部位としては血液ポンプカバー、カプラーフォルダ、血液ポンプ電池運転用スイッチなど装置から突出している箇所の破損が多かった。装置内部への影響では、事前に行った動作テストと比較して、除水テスト、静脈圧テスト、気泡センサー、シリンジの結果はすべて正常範囲内であったが、血液ポンプは転倒後に動作不良があり、ポンプが回転しなかった。地震の影響を最小限にするためには透析装置を壁から適度に離して配置し、固定方法はキャスターの一箇所固定がよいと考えられた。

2009252252
医中誌Web
母子の安全を守るための地震災対策について 神奈川県における産科医療施設の管理者からのインタビュー調査より
Source:神奈川県立保健福祉大学実践教育センター看護教育研究集録(1349-5259) 34号 Page286-293(2009.03)
Author:川合淑子(神奈川県立保健福祉大学実践教育センター)
Abstract:神奈川県内で分娩を取り扱う医療施設における地震災害に対する対策の現状や工夫点、教育の現状について調査した。神奈川県内の400件/年以上分娩を取り扱う11病院、40件/年以上の分娩を取り扱う8助産所における管理者及び責任者を対象として半構成面接を実施した。災害時の備蓄や日常物品の準備、災害訓練は全病院が実施していた。助産所では災害訓練が実施されていなかった。病院では産科独自のマニュアルや訓練・教育、災害時の「母子の安全」に関する教育が実施されていなかった。助産所管理者は災害時、病院・助産所協同で支援に当たる必要があると考え、助産所の解放、地域支援など病院と地域の両方を視野に入れた連携を考えていた。病院では地域への視点はなかった。病院・助産所共に管理者の災害に関する認識が、対策や訓練、教育の実施状況に影響を与えていた。管理者の災害に対するさらなる意識の向上が望まれる。

2009242334
医中誌Web
2007年能登半島地震における深部静脈血栓症の発生状況
Source:臨床病理(0047-1860) 57巻5号 Page411-416(2009.05)
Author:寺上貴子(金沢大学附属病院 検査部), 大場教子, 森下英理子, 吉田知孝, 朝倉英策, 木村圭一, 大竹裕志, 渡邊剛, 藤田信一, 和田隆志
Abstract:能登半島地震の避難所生活者における深部静脈血栓症(DVT)の発生状況を報告した。検査を希望した212例に対し、問診およびフィブリン分解産物(FDP)、Dダイマーの測定、下肢静脈エコー検査を行った結果、下肢静脈エコーでのDVT陽性率は10.6%、急性期DVTは4.0%で、検出部位はヒラメ静脈が71%と最も多かった。血中FDP、血中DダイマーはDVT陽性群で有意に高値を示し、DVT陽性者の有訴率は90.5%と高かったが、無症状の症例が2例あり、FDP・Dダイマーが正常値の急性DVTが5例存在した。今回の震災のDVT陽性率は新潟県中越地震よりも明らかに低く、静脈血栓塞栓症(VTE)による死亡例や重症例は報告されておらず、DVT陽性者の早期発見・早期治療、陰性者へのDVT予防の指導が迅速かつ効率的に行われたことが、VTE発症予防につながったと思われた。

2009241996
医中誌Web
能登半島地震被災後の自宅生活者の暮らしと健康の実態(第2報) 震災後8ヵ月間の推移
Source:北陸公衆衛生学会誌(0386-3530) 35巻1号 Page12-16(2008.10)
Author:表志津子(金沢大学 医薬保健研究域保健学系看護科学領域), 城戸照彦, 大倉美佳
Abstract:能登半島地震被災後4ヵ月後、8ヵ月に実施した健康調査への継続参加者を対象として、震災後8ヵ月間の暮らしと健康状態の推移を検討した。4ヵ月後、8ヵ月後の調査に継続参加した高齢住民42例を分析対象者とした。震災直後から8ヵ月後までの精神健康度の推移では、GHQ28は時間経過とともに改善がみられ、4ヵ月後の合計は問題ありと判定するカットオフポイントまで低下した。4ヵ月後と8ヵ月後のGHQ28の有症状者の変化との関係では、継続者全員においてうつ傾向の有無の変化に関連がみられ、背景要因との間においてもうつ傾向の有無の変化に関連や関連する傾向がみられた。ソーシャルサポートでは、家族との同居がうつ傾向の改善に影響した。GHQ28得点の推移では、4ヵ月後までが点数も高くストレスが多い状態であるが、その後も被災に関するストレスはなくならない。

2009204168
医中誌Web
ICUスタッフにおける震災に対する意識・知識の定義に向けて
Source:葦 39号 Page84-87(2008.12)
Author:中川紗織(奈良県立医科大学附属病院 中央内視鏡・超音波部), 永田明恵, 森田美里, 長瀬純枝, 大川美加, 錦三恵子
Abstract:奈良県立医科大学付属病院ICUでは震災時の事前対応を行うため、ICUスタッフを対象に震災時の対応、患者の安全確保の意識向上を目的とした勉強会を平成17年に実施した。1年後、勉強内容の評価及び今後の勉強会の方法を検討するため、平成17年度と同一のアンケートを行った。対象はICU看護師23名と医師10名である。その結果、看護師、医師共に震災に対する意識は継続していたが、知識(コンセントの色、中央配管、医療機器)については持続性を認めなかった。スタッフの知識の継続には定期的な介入と、視覚的表示を常時するなどのすぐに情報を取り入れられる環境作りが必要である。

2009200694
医中誌Web
能登半島地震被災住民における身体的健康影響 血圧およびBMIに焦点をあてて(Impact on the Physical Health-Status of Victims of the Noto Peninsula Earthquake: Focusing on Blood Pressure and Body-Mass Index (BMI))
Source:金沢大学つるま保健学会誌(1346-8502) 32巻2号 Page13-23(2008.12)
Author:松本浩子(金沢大学 医学系研究科保健学), 藤田美保, 表志津子, 城戸照彦
Abstract:能登半島地震に被災した輪島市住民で、平成18年度、平成19年度の基本健康診査を継続して受診した5693名を対象として、被災による身体的健康影響について検討した。その結果、収縮期血圧では、非高血圧群の女性75歳以上の全壊とそれ以下の被害で有意な上昇があり、男性75歳以上の全壊で有意な低下があった。BMIでは、高血圧群の男性65歳未満の全壊、65~74歳の半壊、75歳以上の全壊、それ以下の被害、女性では、65~74歳の全壊、75歳以上のそれ以下の被害において、震災前後でのBMIに有意な減少があった。非高血圧群の男性65歳未満と65~74歳の全壊、75歳以上のそれ以下の被害、女性65~74歳の全壊、半壊、75歳以上のそれ以下の被害で有意な減少を認めた。また、多重ロジスティックを用いて検討した結果、収縮期血圧に影響する要因はなかったが、拡張期血圧で、女性で年齢と罹災程度のそれ以下に対する全壊で有意な上昇を認めた。BMIへ影響する要因として、男女とも年齢で有意なBMIの減少があった。また、男性では、罹災程度がそれ以下に対して、全壊で有意な減少があった。

2009199699
医中誌Web
大規模地震災害時の透析看護師の役割と業務体制 新潟県中越沖地震を被災して
Source:日本透析医会雑誌(0914-7136) 24巻1号 Page53-60(2009.04)
Author:坂井恵子(JA新潟厚生連刈羽郡総合病院 透析室), 倉持元
Abstract:筆者らは平成16年、19年と2度にわたり震度6強の大規模地震を、しかも透析施行中に被災した。平成16年は支援施設側として、平成19年は被災施設側として両方を経験した。いままで大規模地震災害時の透析看護師の役割と業務体制についての報告もなく、したがって明確な地震災害時の透析看護師のマニュアル作りはされてこなかったのが現状である。そこで今回、地震災害時において両者を経験したことを基に、災害の記憶を風化させないためにもこのマニュアル作りを試みたので報告する。(著者抄録)

2009199698
医中誌Web
透析機器の大規模地震防災対策とその検証 新潟県中越沖地震を被災して
Source:日本透析医会雑誌(0914-7136) 24巻1号 Page48-52(2009.04)
Author:山田勝身(JA新潟厚生連刈羽郡総合病院 透析室), 倉持元, 長谷川伸, 小林勲
Abstract:平成16年から19年とわずか3年間に新潟県中越地方は最大震度6強の大規模地震災害を2度も受け、当院では2度とも透析施行中に地震災害を経験した。いままでに透析機器の大規模地震防災対策としていろいろと報告されており、当院でもそれを基にして地震対策をいろいろと講じてきたが、実際に透析施行中に被災したことから、いままでに報告されている対策で十分かどうかを検証してみた。その結果、さらに災害対策の改善、機器については改良すべき点が浮かび上がってきたのでここに報告する。(著者抄録)

2009199115
医中誌Web
平成20年(2008年)岩手宮城内陸地震仙台赤十字病院救護班派遣記録
Source:仙台赤十字病院医学雑誌(0917-8724) 18巻1号 Page105-113(2009.05)
Author:遠藤尚文(仙台赤十字病院), 遠藤公人, 薮内伸一, 鈴木由美, 武田智子, 松本亜矢, 太田やよい, 岩崎愛, 吉田健, 福地祐司, 大棒雄大, 磯村将, 広瀬和之, 上妻功治, 岩手宮城内陸地震派遣救護班(dERU)
Abstract:2008年6月14日8時に発生した岩手宮城内陸地震では、仙台赤十字病院救護班は日本赤十字社宮城県支部国内型緊急対応ユニット(dERU)の構成員として石巻赤十字病院救護班と共に発災5時間で被災地に到達し、はじめてDMATと協調して災害超急性期の医療救護活動を行った。dERUは傷病者救出直後の広域搬送拠点として機能し、さらに死亡確認や遺族の精神的ケアの場、メディカルチェックの場として活動した。さらにDMAT撤収後は地元診療所医師と共同して7日間、一時避難所で救護活動を行った。しかし、複数組織との協働活動は指揮系統が並列化し、一時的な混乱がみられた。今後、円滑に活動を行うには、日本DMAT統括と日本赤十字社県支部との間で指揮系統、活動方針や分担に関する詳細な調整が必要とされる。(著者抄録)

2009185257
医中誌Web J-STAGE
「災害医学」からみた「救急医学」
Source:日本救急医学会雑誌(0915-924X) 20巻3号 Page101-115(2009.03)
Author:太田宗夫(東洋医療専門学校)
Abstract:歴史的に自然災害の多発国である日本は人的被災を存分に経験してきた。しかし、関東大震災で数万人の人命を失ったことは遠い歴史となり、医療世界も災害医療の重要性を忘れかけていた時代があった。1995年に起こった阪神淡路大震災では6千名が死亡し、続いて東京地下鉄サリンテロ災害が発生した。それらに対する医療対応が日本の医療レベルと大きく乖離したことが厳しく指摘された。この経緯が災害の取り組みを刺激し、現代的な路線をデザインする契機となった。医学世界も救急医学の視点をモディファイし研究をスタートさせた。本稿では、第36回日本救急医学会で災害医療と災害医学の現況を述べる機会を得たので、その概要を記述する。その論点は、災害医学と救急医学との関係に関する私見、災害医学研究組織の構築、日本集団災害医学会JADM(Japanese Association for Disaster Medicine)の活動、今後の課題の4点で、これらを通して災害医学の動静を説明する。両医学の関係は一部で論議されていたが、災害医学に心入れをもつ者としては独立のカテゴリーとて研究を深めたいと希望するのが当然で、設置した研究組織が発展に寄与した。組織つくりの経緯は、1988年のアジア太平洋大災害医療会議APCDM(Asian-Pacific Conference on Disaster Medicine)から、1996年のJADMの設立で、世界災害救急医学会WADEM(World Association for Disaster and Emergency Medicine)を併せて3階層の研究組織が存在する。JADMは国際的にも認知され、日本の災害医学は世界の三極と評されるに至った。国内でも医学組織として承認され、会員数の増加に平行して多くの成果が認められる。課題は広汎かつ多彩で、災害医療の評価、時系列的展開、教育、啓発などがある。いずれも「減災」が目標で、非医学分野との協働によって達せられるものである。即ち、狭義の減災と広義の減災の両側面から攻めるべきである。最後に私の持論、「ひとつの社会が、まさかのときのためにどこまで投資するかが、その社会の成熟度を決める尺度である。」を以って結語とする。(著者抄録)

2009151101
医中誌Web
平成19年中越沖地震後の保健学科災害支援システム構築と早期支援活動
Source:新潟大学医学部保健学科紀要(1345-2576) 9巻2号 Page161-168(2009.01)
Author:齋藤君枝(新潟大学 医歯学系保健学系列), 青木萩子, 尾崎フサ子, 内山美枝子, 加藤真由美, 神崎由紀, 坂井さゆり, 坂上百重, 佐藤悦, 清水詩子, 関井愛紀子, 関島香代子, 竹村真理, 成澤幸子, 山本澄子, 吉井初美, 平野茂樹
Abstract:平成19年7月16日新潟県中越沖地震後,3日目に保健学科災害支援システムが構築された。本報告の目的は,支援システムによる被災地での支援活動を評価し,組織的対応による支援課題を検討することである。支援システムは電子メールによる登録制で,支援活動は公務扱い,労災適応で,公用車の優先使用が認められた。結果,登録期間22日間で登録は19日間,登録者は37名,延べ60名で,健康福祉ニーズ調査に派遣された支援者は34名,延べ49名であった。支援者の活動報告書32部の分析から,4つのカテゴリー【被災地の危険な状況と生活の困難】,【被災と生活変化の影響による多彩な心身症状】,【訪問調査の課題】,【訪問調査支援に必要な知識と心身の準備】が得られた。支援システムは登録者の把握が迅速かつ容易であり,組織的対応が効果的に行われたと考えられ,支援活動に必要な知識や技術と災害準備期の重要性が認識された。(著者抄録)

2009146182
医中誌Web J-STAGE
ICUの災害対策 自施設被害を想定した災害時対策・立案が必要である
Source:日本集中治療医学会雑誌(1340-7988) 16巻1号 Page91-93(2009.01)
Author:大谷典生(聖路加国際病院 救急部), 望月俊明, 石松伸一
Abstract:聖路加国際病院では、2005年10月、自施設の地震被災を前提とした災害対策訓練を実施した。訓練に先立ち、病院被災の際に起こり得る問題点を全病院的に各部署で想起し、その各々に対して責任部署に正式回答を求めた結果、病院被災時には容易にライフラインの枯渇・停止が生じることが判明した。

2009140847
医中誌Web J-STAGE
能登半島地震による糖尿病患者への影響
Source:糖尿病(0021-437X) 52巻2号 Page103-110(2009.02)
Author:竹越忠美(安土病院), 北義人, 松本洋, 土田真之, 品川誠
Abstract:能登半島地震前後での糖尿病患者の血糖管理の変化を検証した.(1)当院通院糖尿病患者373名につき地震前後6ヵ月間のHbA1cの変動をみると,地震直前の7.32±1.41%に比して2ヵ月後7.35±1.46%と上昇傾向を示したが,6ヵ月後(7.19±1.33)有意に低下した.(2)地震直前と地震後のHbA1cの変化量を比べた.地震2ヵ月後の悪化群(+0.5%以上)は12.1%であり,4,6ヵ月後にはその割合はやや増加,また改善群(-0.5%以下)は16.4%であり,4,6ヵ月後には若干増加した.(3)HbA1cの変化量(改善・不変・悪化)の3項を従属変数とした多項ロジスティック回帰分析を行った結果,食事量の減少,コレステロールの低下,HDL-Cの上昇は改善要因であり,体重増加や薬剤中断は悪化要因であった.(4)以上の結果から,平時より食事療法の重要性と血糖管理,薬剤管理を徹底することが必要である.(著者抄録)

2009125500
医中誌Web
オストメイトの災害対策の現状把握
Source:STOMA: Wound & Continence(0289-5404) 16巻1号 Page1-6(2009.01)
Author:村川真理(神鋼会神鋼病院 看護部), 黒木亜希子, 馬場智美, 藤井由佳, 佐藤文
Abstract:オストメイトの災害対策の検討に資することを目的に、医学中央雑誌を用いた検索により得られた文献、日本オストミー協会兵庫県支部の阪神・淡路大震災の記録やパンフレットなどを分析した。その結果、行政の対応は全ての被災者が使用できる物資の保管が優先されるため、オストメイトへの支援は十分ではなく、実際の支援は日本オストミー協会や日本ストーマ用品協会などの民間団体によりなされていることが分かった。災害時にはストーマ装具がオストメイトの手元に届くまで早くても数日から1週間かかることから、オストメイト自らがストーマ装具を備蓄していることが一番確実であると考えた。

2009092096
医中誌Web CrossRef
2004年の日本の新潟中越地震後の心理的苦痛と回復において影響を与えた要因 地域密着型研究(Factors impacting on psychological distress and recovery after the 2004 Niigata-Chuetsu earthquake, Japan: Community-based study)
Source:Psychiatry and Clinical Neurosciences(1323-1316) 62巻5号 Page503-507(2008.10)
Author:KuwabaraHideki(水明会佐潟荘), ShioiriToshiki, ToyabeShin-ichi, KawamuraTsuyoshi, KoizumiMasataka, Ito-SawamuraMiki, AkazawaKouhei, SomeyaToshiyuki
Abstract:2004年の新潟中越地震の5ヵ月後に被災者の心理的苦痛とその回復において影響を与えた要因について検討した。一時収容施設および深刻な被害を受けた地域に居住した成人被災者3026名に対し、質問票調査を行った。質問票では、被験者のプロフィール、家屋損傷程度、健康状態、心理的苦痛について、地震前、直後および5ヵ月後に5ポイント尺度を用いて質問した。地震直後には被験者の59.3%が心理的苦痛を有していた。しかし地震の5ヵ月後には、その割合は21.8%に低下していた。地震直後の心理的苦痛は、1)女性である、2)地震と余震への強い恐怖を感じる、3)地震後に家または事務所に居住している、4)地震によって負傷した、または5)地震後に病気に罹患した被災者で、有意に深刻であった。これに対して、地震から5ヵ月後の心理的回復を妨げている要因は、1)地震後、夜間によく知らない人たちと生活すること、2)深刻な家屋の破損、3)地震後の一時収容施設または親戚の家での生活、4)地震後の身体的疾患であった。これらの結果は長期の精神的ケア支援にとって有用であると思われた。

2009089838
医中誌Web
2型糖尿病患者の血糖コントロールにおける2004年中部新潟地震の影響(Effect of the 2004 Mid Niigata Prefecture Earthquake on Glycemic Control in Type 2 Diabetic Patients)
Source:長岡赤十字病院医学雑誌(0914-5788) 21巻1号 Page45-54(2008.09)
Author:KamoiKyuzi(長岡赤十字病院 糖尿病内分泌代謝センター), TanakaMidori, IkarashiTomoo, MiyakoshiMasashi
Abstract:2型糖尿病患者322名を対象に地震前から地震後6ヵ月迄のHbA1c値について分析を行った。地震前、患者の血糖コントロールは安定していた。平均HbA1c値は2ヵ月目に有意に上昇し、3ヵ月でピークとなり、その後6ヵ月迄に低下が見られた。患者は、血糖コントロールに基づき、糖尿病改善(A)群(16%)、悪化(B)群(26%)、変化なし(C)群(58%)の3群に分けることができた。地震前の平均HbA1c値には3群間で有意差が見られ、A群が最も高く、C群が最も低かった。C群の3ヵ月後の腎症発症率は2倍にまで上昇したが、その後は地震前のレベルに戻った。A、B群では6ヵ月後まで腎症発生率が増加し続けた。家の損壊程度はA群で有意に高かった。統計的解析の結果、薬剤療法の必要性は地震後の血糖コントロール悪化の予後因子であり、年齢や地震前のHbA1c値や家の損壊程度は、地震後に血糖コントロールを改善させる予後因子であることが示された。

2009086258
医中誌Web
医療安全対策 第9回災害情報ネットワーク会議および情報伝達訓練実施報告
Source:日本透析医会雑誌(0914-7136) 23巻3号 Page387-396(2008.12)
Author:武田稔男(日本透析医学会 災害時透析医療対策部会災害情報ネット本部), 吉田豊彦, 森上辰哉, 申曽洙, 山川智之, 杉崎弘章
Abstract:平成20年6月21日、クオリティホテル神戸において、第9回災害情報ネットワーク会議が54名の出席を得て開催された。会議では、「平成19年能登半島地震時の対応と情報伝達について」と題して、石川勲先生より特別講演をいただいた。また、各支部からの年次報告、情報ネットワーク本部からの平成19年度活動報告、日本財団助成「災害支援船事業」3年間の成果、岩手・宮城内陸地震に関する緊急報告が行われた。9月2日には、第9回災害時情報伝達訓練が実施され、過去最高となる41都道府県、902施設の参加となった。(著者抄録)

2009059398
医中誌WebJ-STAGE
災害時における学校薬剤師の役割とその必要性 阪神淡路大震災からの教訓を踏まえて
Source:薬学雑誌(0031-6903) 128巻9号 Page1285-1291(2008.09)
Author:中川尚美(神戸学院大学 薬学部臨床薬学研究室), 濱邊和歌子, 徳山尚吾
Abstract:兵庫県内の基準薬局160店舗の薬剤師及び小・中・高等学校から無作為に抽出した80校の養護教諭を対象として、災害時における学校薬剤師の必要性に注目したアンケート調査を行った。その結果、阪神淡路大震災時に学校薬剤師であった「当時の経験者」18人のうち、実際に活動したのは6人と少なかった。災害発生後の避難所における環境衛生管理等は極めて重要であり、学校薬剤師が活動の中心となる必要があるが、十分に機能していないことが明らかになった。学校薬剤師としての活動に対する認知度は大震災時には低かったが、今後日常の学校薬剤師活動を活性化させることでその認知度を増す努力を継続させる必要がある。

2009059397
医中誌WebJ-STAGE
能登半島震災を教訓とした高齢地域における災害時の慢性疾患治療薬供給のあり方
Source:薬学雑誌(0031-6903) 128巻9号 Page1275-1283(2008.09)
Author:奥村順子(金沢大学 薬学部), 西田祥啓, 木村和子
Abstract:薬事法第49条第1項における例外事項として「大規模災害時において医師等の受診が困難な場合、又は医師からの処方箋の交付が困難な場合、薬剤師が患者に対し必要な医薬品を販売すること」が認められている。2007年3月25日に発生した能登半島地震被災地において、高齢者を中心とした慢性疾患治療の実態を調べた。更に、この例外規定を実行するために不可欠なかかりつけ薬局とお薬手帳の普及実態を調査した。対象は、被災地区で開業又は勤務する薬剤師5名と保健所勤務の薬剤師1名、保健師2名である。その結果、能登半島地震被災地では医薬分業やお薬手帳の普及が進んでいないこと、薬剤師、かかりつけ薬局、お薬手帳等の意義について住民の認識が低いことが明らかになった。

2009053265
医中誌Web
中越地震被災地域における地震前後の小・中学校歯科健康診断結果の比較
Source:口腔衛生学会雑誌(0023-2831) 58巻5号 Page498-506(2008.10)
Author:小松崎明(日本歯科大学新潟生命歯学部 衛生学講座), 末高武彦, 田中彰
Abstract:2004年10月に発生した中越地震が、被災地域の児童・生徒の口腔保健状況に与えた影響について検討するため、震源地域に相当する4地域(N,O,T,U地域)の小・中学校における学校歯科健康診断結果を、地震前後で比較検討した。DMF者率、処置歯率、DMFTの比較から、次のような結果を得た。1.被災地域では処置歯率の減少が観察され、T地域を除く小学校6年生(p<0.01)、U地域を除く中学校3年生(p<0.01)など、、全28学年単位中10学年単位で地震前後の間に有意差が認められ、4被災地合計でみても小学校4年生(p<0.01)など全7学年単位中5学年単位で地震前後の間に有意差が認められた。2.全県の処置歯増加数に占める4被災地の割合は、地震後に小学校の3学年単位で減少が認められ、小学校3年生(p<0.05)など3学年単位で地震前後の間に有意差が認められた。3.全県のDMF歯数の増加にとめる4被災地の割合は、地震後に中学校の2学年推移で増加が認められ、地震前後間で有意差(p<0.01)が認められた。4.DMFT増加率は、地震後に中学校で増加傾向が観察できる以外、明確な変化は認められなかった。これらの点から、地震が被災地の処置歯率減少に影響している可能性が示唆され、今後の地震災害対策を歯科保健医療の面から検討する際に、学校歯科保健への影響についても留意する必要があると考えられた。(著者抄録)

2009043667
医中誌Web
重症心身障害児(者)施設における防災用「小児病棟用ケアパッケージ」導入の試みとその効果
Source:日本重症心身障害学会誌(1343-1439) 33巻3号 Page393-397(2008.12)
Author:秋山明美(中川の郷療育センター), 大須賀美智
Abstract:防災について意識を高めることを目的に、「小児病棟用ケアパッケージ」の導入を試みた。防災に対する意識について事前、導入前、導入1ヵ月後、3ヵ月後の各期に調査を実施した。その結果、個人の防災意識についてでは、災害発生時の避難搬送方法、施設のマニュアルを読んだ経験について、施設の防災意識についてでは、防災訓練の回数についての意識が高まっていた。他にケアパッケージの導入や勉強会の開催から防災についての知識を得ることができ、施設の防災対策の見直しにつながった。具体的には、管理日誌から安否確認表の作成や応援体制のとれる緊急連絡網の作成、災害伝言ダイヤルの活用などがあった。また、施設の避難訓練もケアパッケージのイメージトレーニングに伴って職員が災害時をイメージし、ロールプレイ形式で行うものへと変更した。(著者抄録)

2008369399
医中誌Web
1891(明治24)年濃尾地震における日本赤十字社の災害救護活動 岐阜県出張医員の記録史料から
Source:日本看護歴史学会誌(1340-5969) 21号 Page46-55(2008.03)
Author:川原由佳里(日本赤十字看護大学)
Abstract:1891(明治24)年10月の濃尾地震(死者7273名)における日本赤十字社の災害救護活動の実際を、日本赤十字社病院の医師で現地に出張して救護活動を行った小山善氏が残した記録などをもとに検討、報告した。小山は、警察官など現地の人々と良好な関係を築き、協力を得ながら活動し、復興に向け早期から町医者など現地の専門家をサポートしており、生活復興についても、高齢者、子ども、貧民など災害弱者と呼ばれる人たちへの特別な配慮が必要であることを書き留めていた。

2008366549
医中誌Web
阪神淡路大震災下の精神科医療を懐古する(県立光風病院での活動より)
Source:心的トラウマ研究(1880-2109) 4号 Page1-7(2008.06)
Author:山口直彦(兵庫県こころのケアセンター)
Abstract:阪神・淡路大震災の時、私は県立の精神科病院の管理者であった。震災4日目になって突如、精神科医療の需要が増大した。新規入院患者数は平時に約3倍となった。当時の入院患者は、平時のそれとは随分異なった症状を呈した。すなわち、1)緊急入院例のほとんどは、かつて病歴があった。2)躁状態、緊張病性昏迷あるいは興奮の病像が多かった。その多くが短期間で寛解した。3)統合失調症の入院例では、具体的な震災被害を受けた人に多かった。4)気分障害は当事者ではなく、マスコミ報道などに反応したと思われる例が多かった。5)平時では問題にならない行動が事例化することが多くあった。全国からの救援精神科医療チームが、入院を回避するのに大きな貢献をした。本稿では、上記の震災後状況における典型的な4症例の経過報告をした。(著者抄録)

2008316611
医中誌Web
非常時 病院と患者とあなたを守るために 備蓄とライフラインのバックアップ 新潟県中越地震と中越沖地震の経験から
Source:LiSA(1340-8836) 15巻8号 Page752-756(2008.08)
Author:佐藤和夫(()), 薄田浩幸, 中島晃, 内藤万砂文
Abstract:災害時の病院機能維持には堅牢な建物、設備であることが前提であることは言うまでもない。病院での電気や水、ガスなどライフラインの寸断は病院機能に大きな支障をもたらすこととなり、ライフラインの確保とバックアップは重要である。また、建物や設備などの破損の早期復旧、安全確認への人的バックアップ体制も災害時での病院機能維持には欠くことのできないことである。当院では、新潟県中越地震(図1)と中越沖地震という2度の大きな地震を経験し、備えが必要であることと、ある程度の対策がとれていれば大丈夫ということの両面が明らかになってきた。本稿では、基幹災害拠点病院としての当院の備蓄状況とライフラインのバックアップについて紹介する。(著者抄録)

2008316610
医中誌Web
非常時 病院と患者とあなたを守るために 強く・つぶれない構造、いざと言うときには
Source:LiSA(1340-8836) 15巻8号 Page748-751(2008.08)
Author:辻吉隆(厚生労働省大臣官房 会計課施設整備室)
Abstract:病院は患者を救う施設であることから、災害時においても患者を守れる"強く・つぶれない"建物構造設備が求められる。患者に危害を与えてはいけない。災害時に病院機能を維持し、診療機能を継続するための計画(BCP)が必要である。(著者抄録)

2008306739
医中誌Web
【救急医療UPDATE 現状と展望】 行政 地震対応 大地震時に効果的な救急医療を実施するために 首都直下地震時の予想重症患者数とマニュアルのあり方
Source:医学のあゆみ(0039-2359) 226巻9号 Page673-680(2008.08)
Author:目黒公郎(東京大学生産技術研究所 都市基盤安全工学国際研究センター), 大原美保
Abstract:大地震発生時に適切に救急医療を実施するには、想定される患者の数と重症度の程度、受け入れ医療機関の体制を理解しておく必要がある。一般に地震災害の様相は、マグニチュードや震源の位置・深さなどの物理現象としての地震の特徴に加え、その影響を受ける対象地域の自然環境特性と社会環境特性から構成される地域特性によって決定される。そこで本研究では、現在発生が危惧されている首都直下地震を対象に、救急医療の対象となる患者の発生と分布、受け入れ医療機関の体制の評価法に関して報告する。さらに、病院が準備すべき災害対応マニュアルのあり方に関しても紹介する。(著者抄録)

2008306736
医中誌Web
【救急医療UPDATE 現状と展望】 行政 災害医療 わが国の災害医療の新しい展開 災害派遣医療チーム(disaster medical assistance team:DMAT)
Source:医学のあゆみ(0039-2359) 226巻9号 Page651-658(2008.08)
Author:大友康裕(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科救急災害医学分野)
Abstract:災害派遣医療チーム(DMAT)とは、「大規模事故災害、広域地震災害などの際に、災害現場・被災地域内で迅速に救命治療を行えるための専門的な訓練を受けた、機動性を有する災害派遣医療チーム」で、1チーム5名で、医師を中心に看護師や調整員(事務員)などの医療従事者から編成される。厚生労働省は全国1,000チーム(常時200チーム出動可能体制を目標)を養成する計画である。想定されるおもな任務は、近隣大規模事故災害対応として災害現場でのトリアージ、治療、閉鎖空間の医療など、地震などの広域災害発生時には被災地内医療機関の支援、患者後方搬送、広域医療搬送などである。政府は東海地震、東南海・南海地震または首都直下地震が発生した場合、自衛隊航空機を使用した全国規模の患者搬送(広域医療搬送)を計画している。DMATはこの広域医療搬送計画においても活躍することが期待されている。(著者抄録)

2008302753
医中誌Web
インドネシア・ジャワ島中部地震における神戸大学の支援活動
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 13巻1号 Page50-55(2008.07)
Author:中尾博之(神戸大学都市安全研究センター DMAT・災害支援特別部門), 石井昇, 川島隆久, 吉田剛, 陵城成浩, 安藤維洋, 李俊容
Abstract:【はじめに】地震災害では医学的な援助だけではなく、工学、理学的な援助も必要となる。ジャワ島中部地震に対して神戸大学として多分野にわたる総合救援活動を行ったので紹介する。【活動】第1陣の医療チームと第2陣の工学系研究者とが合流し、多角的な調査を行った。以降、第9陣まで派遣を行っている。医療チームが工学系研究者と情報交換を行い、地質学的な地震発生の特徴と現地特有の建築様式を理解しながら、調査活動が行えた。この第1、2陣の調査結果から地元大学、JICAと協力してリハビリ支援、小児の心理的支援、建築再建支援を中心に援助を現在も行っている。【結論】海外広域災害においては医学的な支援だけでなく、多方面からの綿密な情報交換を行い、援助を行うことによって地元の要望に一層近い活動が可能となる。神戸大学では、災害直後の短期援助だけではなく、長期にわたって多方面と協調した活動を実施中である。(著者抄録)

2008302751
医中誌Web
多数傷病者受け入れ対策と災害カルテ改善の取り組み
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 13巻1号 Page37-42(2008.07)
Author:城川雅光(東京都立広尾病院 救命救急センター), 中島康, 小林ゆり, 光定誠, 古賀信憲
Abstract:地震災害が頻発し、病院では地震発生時の多数傷病者受入れ体制の整備が急務となっている。今回、我々は2年間で計8回の災害訓練を通じて、災害カルテの整備と多数傷病者受入れ対策の整備を行った。災害時用診療録を作成し従来の災害対応マニュアルに則り行った初めの訓練では情報が錯綜し大混乱に陥った。その結果を踏まえて自由記載欄を多くした新災害時用診療録および検査伝票などを含めた新災害カルテセットを作成した。また診療録記載のコンセプトを変更し現場ですべての記載を行わない方針とした。そして検査科、放射線科とも協力し患者受付および検査受付の運用方法を変更した。結果、当初大混乱に陥った訓練と同内容の訓練を行い情報伝達の点において大きな改善を得ることができたので報告する。(著者抄録)

2008302750
医中誌Web
東海地震に対する被災地内の医療のあり方 とくに病院前医療についての住民との連携
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 13巻1号 Page31-36(2008.07)
Author:安田清(静岡県立総合病院), 諏訪英行
Abstract:静岡県は東海地震に対する準備を30年行ってきた。しかし災害医療の目的であるPreventable Deathを防ぐという意味では決して万全とはいえず、被災地内の医療を機能させるためには市民の役割が不可欠と我々は考えた。静岡市(合併前の旧静岡市を指す。以下同)で、平成14年から毎年行われている医療者と市民との訓練の目的は、市民への災害医療の啓発と同時に、災害時の市民の自立を促すことであった。我々医療者の呼びかけに応える形で、平成18年度に一連合町内会による自立した体制を作る訓練が行われた。この町内会と病院が連携して訓練することにより、被災時に必要な医療の流れを我々は確認することができた。被災地内の医療のあり方に方向性を示唆する訓練だったと考えている。ここに至る過程と、今回の訓練について報告する。(著者抄録)

2008302748
医中誌Web
被災後の現地の人的資源に対する支援の重要性について パキスタン北部地震
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 13巻1号 Page15-21(2008.07)
Author:丁野美智(熊本赤十字病院), 槙島敏治, 松尾文美
Abstract:我々は、2005年のパキスタン地震後、国際赤十字委員会(:ICRC)の下、カシミール地方チナリでBasic Health Unit(:BHU)への支援を行った。現地では被災地震以前は政府機関の支援の下、Lady Health Worker(:LHW)が基礎保健を支えていたが、地震後は停止していた。ワークショップ等でのLHWとの情報交換や、村訪問で、ICRCの基礎保健計画の調査票と独自に作成した質問紙を使用、基礎保健調査を行った。その情報から3つのデータベースを作成し、後続班にLHWへの医薬品供給等を依頼する等、今後の継続的かつ効果的な援助のための基盤作りを行った。交通事情の悪い地域ではBHUの支援だけでは主に近隣の住民しかカバーできない。既存の人的資源を支援すれば、より多くの人々に受け入れられやすく、かつ効果的に支援を行う事が可能となる。国際救援の場でも、発災直後から地域独自の人的資源を探して支援する事が必要である。(著者抄録)

2008302746
医中誌Web
震災時における来院傷病者数予測モデルの構築
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 13巻1号 Page1-7(2008.07)
Author:小池則満(愛知工業大学 都市環境学科土木工学専攻)
Abstract:阪神・淡路大震災における西宮市の事例に基づいた来院傷病者数を予測モデルに、アンケート調査を加えることによって他都市でも同様の予測が可能となる新しいモデルを考案した。このモデルは、住民アンケート調査によって得られる医療機関選択の予想からロジスティック曲線による医療ポテンシャルの計算を行うことで、対象地域全体における来院傷病者数を予測するものである。愛知県豊田市に適用した結果、傷病者集中による混乱リスクを負う医療機関の存在を示すことができた。対策として応急救護所やヘリポートの展開方法について議論すべきことを述べた。(著者抄録)

2008301186
医中誌Web
新潟県中越地震後における子どものこころのケア活動
Source:児童青年精神医学とその近接領域(0289-0968) 49巻3号 Page354-366(2008.06)
Author:宇佐美政英(国立国際医療センター国府台病院 児童精神科), 齊藤万比古, 清田晃生, 小平雅基, 渡部京太, 藤田基, 田中篤, 棟居俊夫, 飯田順三, 黒川新二, 河合健彦, 田中究, 山崎透, 原田謙, 田中康雄, 桐山正成
Abstract:新潟県中越地震後に行われた「子どものこころのケア活動」について報告し、わが国の災害後の子どものケア活動について、問題点等の検討を行った。今回の支援活動において「相談所活動」や「巡回相談活動」で診察・相談の対象として児童の特徴として分離不安、不眠、不穏が高率に認められた。地元の援助ニードに即した「子どものこころのケア活動」を行うためには、地元の専門機関や多のケア・チームと余震の大きさ・頻度・期間、地域の復興状況、相談活動の必要性、乳幼児検診への相談活動の必要性、地元機関への引き継ぎが必要なケース、などについての情報交換や協議を定期的に行っていくことが必要であった。そして地元の専門機関や保護者への啓発活動を終結時まで活発に行うことが、ケア・チームが撤退した後の子どものメンタルヘルス活動を地元機関が担って行くためにも重要と考えられた。

2008300273
医中誌Web
過去5年間における徳島県下で発見された身元不明死体の身体特徴について 東南海・南海地震に備えて
Source:四国医学雑誌(0037-3699) 64巻1-2号 Page35-40(2008.04)
Author:石上安希子(徳島県警察本部 刑事部捜査第一課), 久保真一
Abstract:5年間に徳島県下で発生した、発見時身元不明死体259体について身元確認の決め手となった主要根拠について検討した。今回身元確認の決め手となった根拠は、指紋の照合による方が35%、歯牙鑑定による方が24%、DNA鑑定による方が17%、人相により確認された方が15%、身体特徴による方が9%であった。身元確認に必要な資料として、第三者機関としての医療機関等に保管されている生前資料の医療記録(診療記録)が重要であった。以上より、大震災のような大量災害を想定した場合には、身元確認に用いる対照情報の多くを保存している医療機関との連携により迅速に情報を入手できる体制を整えることが重要であると考えた。

2008247853
医中誌Web
重症心身障害児者における中越地震の影響
Source:長岡看護福祉専門学校紀要(1881-5588) 4号 Page48-51(2008.03)
Author:奈良場美奈子(長岡療育園 看護部), 山田義子, 熊倉直美, 宮沢潤一, 甲野登世子, 石田美枝子, 小西徹
Abstract:新潟県中越地震後に災害地域の重症心身障害児(者)(重症児者)214名を対象として、地震の影響と思われる身体や行動の変化を調査し、重症児者における災害後のストレスの特徴を検討した。その結果、59.3%に何らかの変化がみられ、身体の変化として45.8%に上気道症状、消化器症状や重症児者特有の症状を認めたが、その殆どは一過性であった。一方、行動の変化として29.9%に不眠、物音に敏感などの不安や恐怖反応を認め、その殆どは地震後早期から出現して長期化する傾向にあった。重症児者では地震の影響が高頻度に認められ、その主症状は身体の変化として表出されやすく、コミュニケーション能力、居住空間の変化、家族の心理状態によっても左右された。早期の保護および医療を含めた濃厚な介護が必要と考えられた。

2008246311
医中誌Web
地震災害後のフェーズにおける派遣保健師との協働体制を含めた地域保健活動
Source:保健の科学(0018-3342) 50巻4号 Page279-285(2008.04)
Author:奥田博子(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部)
Abstract:地震災害時の被災地自治体保健師と派遣保健師の役割分担や連携について検討することを目的に、医中誌による文献検索などで得られた36件を分析した。その結果、派遣保健師は主として直接的な支援活動を重点的に担い、被災地保健師は、直接的支援活動を派遣保健師と協働することに加え、被災者のニーズの集約や中長期的な支援計画の策定、関係機関等との連携や調整、さらには通常業務の再開などの役割を主体的に担うことが、より効果的・効率的な支援につながると考えた。

2008236564
医中誌Web
【患者・スタッフ100の知りたいに答える 血液透析はてながわかるなるほどブック】 透析と社会生活についてのはてながわかる 大きな地震が起こったら、透析はどうなりますか? 透析ができなくなったとき、どう対処すればよいのですか?
Source:透析ケア(1341-1489) 2008夏季増刊号 Page249-250(2008.06)
Author:赤塚東司雄(赤塚クリニック)
Abstract:<Point>(1)日本透析医会の災害時情報ネットワークは、支援の中核としての役割を担えるようになっている。(2)震度6強までは「4つの基本的対策」で被害を完封できることが実証済みだが、今後震度7にも対応できるように、災害対策を発展させる必要がある。(著者抄録)

2008236563
医中誌Web
【患者・スタッフ100の知りたいに答える 血液透析はてながわかるなるほどブック】 透析と社会生活についてのはてながわかる 透析中に地震が起きたらどうすればいいのですか? 起こる前にやっておけることはありますか?
Source:透析ケア(1341-1489) 2008夏季増刊号 Page246-248(2008.06)
Author:赤塚東司雄(赤塚クリニック)
Abstract:<Point>(1)震度5強までの揺れに襲われた場合は、透析室に大きな被害(透析不能になるような被害)が出ず、震度6弱以上の揺れであれば、一定の確率で一時的に透析不能となるような被害が出ることがわかっている。(2)震度6強までは「4つの基本的対策」で被害の大半を防げることが実証されている。(著者抄録)

2008235832
医中誌Web
防災マニュアルの作成と防災訓練の実施
Source:福島県農村医学会雑誌(0911-9426) 50巻1号 Page51-53(2008.03)
Author:芳賀弘子(白河厚生総合病院 手術室), 笠原里枝, 橋本美恵子, 古川智子
Abstract:災害発生時にも適切に対処できるよう手術室独自の防災マニュアルを作成し、防災訓練を実施した。手術室のスタッフは麻酔科医師2名、看護師18名、看護助手1名で、ベッド数は5台、年間手術件数は約1900件である。防災マニュアルには災害時の役割、停電時のマニュアル、避難時持ち出し物品、避難経路を記した。訓練は手術室が出火元で患者は手術中であり、緊急閉創して避難するという設定で行ったが、実際の閉創の時間は省かれており、行動レベルでのマニュアルの必要性や日常の避難訓練の重要性を認識した。患者の安全を確保して確実に非難させるためにも、的確な連絡・報告、看護師の熟練した対応や初期消火が必要であり、手術室の特殊性を生かしたマニュアルの見直しと定期的な防災訓練、スタッフの意識向上が重要である。

2008208233
医中誌Web
能登半島地震被災地における地域看護学実習で学生が捉えた住民の援助ニーズと保健師の役割
Source:石川看護雑誌(1349-0664) 5巻 Page119-128(2008.03)
Author:田村須賀子(石川県立看護大学), 曽根志穂, 金子紀子
Abstract:能登半島地震被災地における地域看護学実習において,学生が捉えた被災地住民の援助ニーズと保健師の役割を明確にする.被災地で実習し同意の得られた14名の学生の実習記録から,(1)被災地住民の生活状況と援助ニーズ,(2)保健師による個別支援,(3)保健指導技術,(4)保健師の地域保健活動,に関する事項を取り出し内容を分析した.学生は,被災地住民の生活状況の困難な側面を把握するとともに,「住民同士のネットワーク」「今後の生活に前向きな考え」という,地域住民の持つ力・可能性を捉えていた.被災地における地域保健活動として,「住民が必要時身近に相談できるサービスを創る」「必要な社会資源の利用を勧め,関連職種と連絡・調整する」「地域サポート体制をつくる」なども捉えられていた.地域看護学実習担当教員としては,被災地での健康課題と地域保健活動に身を置くという実習の意義に価値を見出し,実習指導方法を検討する必要があると考えられた.(著者抄録)

2008208229
医中誌Web
石川県立看護大学の災害時対応の備えに関する一考察 「健康管理チーム派遣」に関わった教職員への調査から
Source:石川看護雑誌(1349-0664) 5巻 Page85-89(2008.03)
Author:林一美(石川県立看護大学), 水島ゆかり
Abstract:本研究は,本学の能登半島地震への健康管理チーム派遣の経験を踏まえ,本学の災害時対応における備えについて考察することを目的とした.健康管理チーム派遣に関する準備については,大方の者が物資と身繕い・服装の準備をしており,派遣にあたり心がけていたことがあった.調整に当たった者は,健康管理チーム派遣がうまくいくように調整役割をとっていた.派遣に関する援助活動の上で困り事があった者が多かったが,参加してよかった・また参加したいと考えている者が多かった.健康管理チーム派遣への本学の備えについては,「不十分」・「わからない」の意見が多かった.しかし,備えの必要性の有無については,多くの者が必要ありと答えていた.(著者抄録)

2008208224
医中誌Web
訪問看護ステーションにおける災害対策の課題 能登半島地震における訪問看護ステーションの被害状況と初動に関する調査から
Source:石川看護雑誌(1349-0664) 5巻 Page39-46(2008.03)
Author:水島ゆかり(石川県立看護大学), 林一美
Abstract:能登半島地震における訪問看護ステーションの被害状況と初動を明らかにすることを目的として,能登半島地震において震度5以上であった石川県内の10市町にある訪問看護ステーションの管理者を対象者として調査を行った.その結果,回答が得られた7つの訪問看護ステーションの建物・設備・備品の被害状況は,一部損壊2ヶ所,設備・備品の転倒・落下1ヶ所で,4ヶ所には被害がなかった.地震発生時の管理者の所在は,4名が自宅であり,すぐに利用者の安否確認のための家庭訪問や電話連絡,職場への出勤,職員の安否確認,自宅の被害状況の確認を行っていた.そして,能登半島地震後に,管理者は【利用者・家族への対策】【災害時の行動の確認】【連絡網の作成・見直し】【マニュアルの作成・見直し】を行っていた.また,今後改善したい点としては,【地域の関係機関との連携】【訪問看護ステーションにおける対策】【利用者・家族への対策】があげられていた.(著者抄録)

2008207426
医中誌Web
透析センターにおける災害対策の検討
Source:榛原総合病院学術雑誌(1349-9211) 4巻1号 Page66-69(2008.03)
Author:尾川克樹(榛原総合病院 臨床工学室), 山本晴久, 増田和子, 佐々木徹, 鈴木香織, 西谷緑, 西川典子, 伊藤寿樹, 佐藤滋則
Abstract:榛原総合病院透析センターの災害対策を検討した。患者へは「血液回路からの離脱方法の指導」「防災パンフレットの作成」を行った。スタッフへは「患者情報のデータ化」「報告・指示系統の確認」「防災マニュアルの改正」「避難袋内容物の再点検」を行った。また、医療機器の地震への対策を強化した。災害対策の検討を行う中で、患者・スタッフ共に防災に対する意識の向上がみられた。防災意識を高く保つには、患者・スタッフ合同で定期的に防災訓練を行っていくことが必要だと考えられた。

2008196319
医中誌Web
【医学研究のUP-TO-DATE】 子どもの命の輝きのために 小児救急医療と災害医療の現場から
Source:順天堂医学(0022-6769) 54巻1号 Page29-36(2008.03)
Author:山田至康(順天堂大学 医学部附属浦安病院救急診療科)
Abstract:『子どもの命の輝きのために』とのタイトルで平時の救急医療の現況と災害時の医療の特殊性について報告します。大都市の小児救急医療の現場では救急医療体制の整備のために病院小児科の集約化・重点化が進みつつあるように見えますが、過疎地域では医師不足から病院小児科の縮小・閉鎖が相次いでいます。このような地域格差の存在と改善されないままの劣悪な勤務環境から小児救急医療は破綻寸前にあります。救急医療体制の崩壊を食い止めるためには、病院小児科の集約化・重点化をさらに進めることに加え、内科的疾患のみならず、外傷、中毒、熱傷等の外科や集中治療の疾患にも対応することが必要です。このためには小児救急医療の教育・研修カリキュラムの提示と教育の過程を通した救急を支える人たちの<救命の連鎖>が不可欠であると考えます。また、災害救急医療の中でクラッシュ症候群と震災後ストレス障害(PTSD)の把握は救命とその後の微笑みの回復のために必須であり、疾病や災害から子どもを守る視点は小児の成育においては重要なことです。(著者抄録)

2008174432
医中誌Web
能登半島地震被災4ヵ月後の自宅生活者の暮らしと健康の実態
Source:金沢大学つるま保健学会誌(1346-8502) 31巻2号 Page71-74(2008.02)
Author:表志津子(金沢大学 大学院医学系研究科保健学専攻看護科学領域), 城戸照彦, 大倉美佳
Abstract:能登半島地震被災4ヵ月後の自宅生活者の暮らしと健康の実態を報告し、現状を示すと共に、早急に解決すべき課題について検討した。調査参加者は男性23名、女性40名、平均年齢は男性74.9歳、女性70.5歳で、65歳以上は50名であった。47名が一人暮らしや夫婦世帯であった。被災場所は約1/4が屋外で、地震による怪我は少なかったが、9割以上が何らかの家屋被害を受けていた。General Health Questionnaire 28の結果から、自宅で生活する住民にも身体的症状や不安不眠を訴える人が50%以上いることが分かった。身体状況の不調は高齢の地域住民たちの心身機能を容易に低下させる恐れがあり、定期的な健康状態の確認が必要である。体重減少は4人に1人が自覚しており、震災による影響が考えられた。

2008172813
医中誌Web
在宅時における透析患者の災害対策
Source:日本看護学会論文集: 看護総合(1347-815X) 38号 Page394-396(2007.12)
Author:栗原里子(二子玉川駅前クリニック), 浅井雅彰, 小林和彦, 出川寿一, 今井利一
Abstract:透析患者28名を対象に、在宅時被災を想定した避難訓練を行い、その効果を検証するため訓練前後に意識調査を行った。訓練の内容は、まず『災害に負けない私たち(中外製薬提供)』のビデオを視聴させ、自作のパンフレットを用いて被災後の生活の注意点や当院の被災状況確認方法を説明した。その後、「透析中に震度6の地震が発生し機械から離脱する」という想定でシミュレーションを行った。意識調査の結果、訓練を行ったことで在宅被災への不安は軽減されたが、一方で「イメージしたくない」「スタッフの対応能力への不安」という新たな不安が生じていることが明らかになった。

2008170255
医中誌Web
【救急医療・災害医療と薬剤師】 災害医療 災害医療における薬剤師の参加とその意義
Source:医薬ジャーナル(0287-4741) 44巻4号 Page1131-1135(2008.04)
Author:東麻美子(日本赤十字社医療センター 薬剤部・国際医療救援部)
Abstract:災害医療は、被災地域の医療が麻痺した状態から軌道に乗るまで、限られた医薬品、物資、そして人材で行わなければならない。そのような状況の中、薬剤師が救援活動に参加することは、被災者の健康維持につながるこの災害医療をより効果的に、円滑に進めるために必要であると考える。そのために、専門家として求められること、薬剤師としてできることを認識し、計画・準備・活動することが重要である。本稿では筆者が国内外での活動を通して得られた薬剤師の役割、そしてその意義について、赤十字の活動、日本赤十字社医療センターの取り組みを含めて述べる。(著者抄録)

2008162897
医中誌Web
新潟県中越地震を経験して(第一報)
Source:新潟県厚生連医誌 17巻1号 Page78-81(2008.03)
Author:山岸朱理(JA新潟県厚生連魚沼病院 薬剤部), 入倉律子, 庭野旬子, 根津勝, 山田加代子, 古川洋
Abstract:平成16年10月23日、当院の所在する新潟県小千谷市を震度6強の揺れが襲った。ライフラインはすべて途絶する中、幸にも建物の損害がわずかであった当院では、相次いで運ばれてくる負傷者の対応に追われた。今回医療従事者としてこの地震を振り返った。災害時の体制の確認、設備などの補強、備蓄医薬品の検討などが検討課題として挙げられたが、混乱きわまる災害時に必要なものは何よりも冷静な判断力であると感じた。(著者抄録)

2008162891
医中誌Web
新潟県中越地震を経験して(第二報) 被災者の服薬意識調査を実施して
Source:新潟県厚生連医誌 17巻1号 Page49-54(2008.03)
Author:山岸朱理(JA新潟県厚生連魚沼病院 薬剤部)
Abstract:目的:平成16年10月23日に当院の所在する新潟県小千谷市を襲った新潟県中越地震は、当院に通院する患者にも甚大な被害を及ぼした。第一報では医療従事者として振り返った。今回、被災者である。当院外来通院患者に被災時の服薬状況などについてアンケートを行い、振り返った。方法:平成18年7月3日~8月11の間、当院外来を受診し薬剤を交付された患者の中から無作為に抽出し、アンケートをもとに聞き取り調査を行った。:回答者の多くが高齢者であるためか、被災者の中に「病院は大丈夫」と言う意識が根強くあるように感じた。また、被災後数日間薬を服用できなかった方が多い中、服用できなかったときの対処方法に認識不足と取れる回答が多く聞かれた。服薬という観点での「備え」は被災者の中には根付いていないようであった。結論:今後、服薬意義を患者にしっかり理解していただき、医療従事者と患者との認識の温度差を縮めていく必要があると感じた。(著者抄録)

2008144818
医中誌Web
透析室における地震対策への取り組み パンフレット、リーフレット指導の効果
Source:青森県看護学会誌 36回巻 Page32-33(2007.12)
Author:山田恵子(公立野辺地病院 透析室), 駒ヶ嶺佐知子, 古舘優子
Abstract:透析室における地震対策として、患者の地震に対する不安の軽減を目的にパンフレットによる指導を行い、その効果を、当院の外来透析患者29名への指導前後のアンケート調査の比較から検討した。パンフレット、および高齢者へは写真を載せたリーフレットを併せて用い、とくに透析中における地震発生時の対処法に重点を置いて指導を行った結果、地震に対する不安を感じている者の割合は、指導前の62.1%から13.8%に減少した。一方、指導後も「実際に行動できるか不安」と回答した者が27.6%いたことから、避難行動のシミュレーションが今後必要であると考えた。

2008144768
医中誌Web
大災害時の癌患者の処置と看護の実際の状況 阪神淡路大震災を経験した看護師に関する調査(Actual circumstances of treatment and nursing care for cancer patients in disaster situations: A survey of nurses who experienced the Great Hanshin-Awaji Earthquake)
Source:Japan Journal of Nursing Science(1742-7932) 4巻2号 Page111-119(2007.12)
Author:AraoHarue(兵庫県立大学 看護学部), NumataYasuko, KawasakiYuko, MakinoSachiko, KobayashiTamami, SakashitaReiko, UchinunoAtsuko
Abstract:大災害の際の癌患者の処置と看護に関して調査を行った。1995年の阪神淡路大震災の際に、被災地及びその周辺の病院で癌患者の看護に従事していた8施設の看護師17名を対象にインタビューを行った。大災害時の癌患者の処置と看護の実際の状況は、三つの主要カテゴリーと10のサブカテゴリーに分類できた。主要カテゴリーは、外来患者の消息を知ることの困難、連続的な各種治療法における処置の適応、最期の時を迎える前後の末期患者とその家族のケアであった。大災害時、中断された治療の回復や患者の輸送手段の確保に対する努力が必要である。また、平常時から癌患者の自己ケアを促進することで、災害時の患者の自己ケアが望めると考えられた。

2008121471
医中誌Web
関東地域の災害拠点病院における災害対策実態調査 放射線機器、ネットワークの災害対策調査班
Source:循環器画像技術研究(1881-395X) 25巻2号 Page43-48(2007.09)
Author:遠藤悟志(新葛飾ロイヤルクリニック)
Abstract:関東地域の災害拠点病院を対象に、放射線部門の災害対策、対応についてアンケート調査を行った。92施設から回答があり、うち69施設は災害拠点病院であった。放射線部門の災害対策として重要なことは、建物の耐震基準・電力供給・バックアップ方法など自施設の現状把握、被災経験を参考にしたシステム障害時のマニュアル整備、災害時の様々な状況を想定した撮影、検査の定期的なシミュレーション(訓練)の実施である。また、防災意識の向上を目的とした教育体制の確立が災害時の人員確保、日々の装置管理、災害時の指揮命令系統の徹底、マニュアル周知につながると考えられた。

2008095141
医中誌Web CrossRef
清浄間歇的自己尿道カテーテル法で排尿を管理している患者における中越地方大地震の影響(Influence of the great earthquake in the Chuetsu district on patients managing urination with clean intermittent self-urethral catheterization)
Source:International Journal of Urology(0919-8172) 14巻9号 Page875-878(2007.09)
Author:HoshiiTatsuhiko(新潟大学 医歯学総合研究科腎泌尿器病態学), NishiyamaTsutomu, TakahashiKota
Abstract:2004年10月23日の新潟県中越地方大地震で甚大な被害を受けた地区で清浄間歇的自己カテーテル法(CIC)による排尿管理を行っており、当地のmedical centerに罹っている患者に、2005年1月から4月の間に質問票調査を行い、86名(男性60名、女性25名、性不明1名)から回答を得た。平均年齢は64.6歳(男性64.1歳、女性65.8歳)であった。地震後1週間で生存者で泌尿器症状は3.8%の患者に起こった。その全患者が飲料水不足があり、自分の家に住めないか、または家庭でCICを施行出来なかった患者である。災害時には、CIC患者には住居空間を供給し、そこで充分な飲料水と共に、CICを実施できることが重要である。

2008074746
医中誌Web
鳥取西部地震における聴覚障害災害時要援護者の調査研究
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 12巻2号 Page214-219(2007.10)
Author:矢部多加夫(東京都立広尾病院 耳鼻咽喉科), 原口義座, 友保洋三, 邊見弘, 伊藤篤
Abstract:我が国には、聴覚に障害を有する者が約36万人存在し、社会の高齢化とともに増加傾向にある。本研究では災害時における聴覚障害災害時要援護者支援機器の開発と実際の応用を目的として平成12年10月6日の鳥取西部地震を事例にとり調査研究を行った。回答状況は、米子市とその近隣地域111例(発送250)回答率44.4%であった。回答者は4級以上の高度難聴ないし聾難聴者が52.7%、6級以下の中等度難聴者の回答が47.3%と、ほぼ半数ずつの回答であった。高齢中等度難聴の被災体験者では、補聴器未装用、あるいは所有していても実際には使っていない事例が意外に多く、一方、高度難聴-聾被災者では補聴器の使用比率が低く、むしろ実際には、手話通訳や文字放送付きテレビ、筆談に頼っていた側面が明らかになった。災害発生時における聴覚障害災害時要援護者を支援する機器の開発にあたっては、補聴器が利用可能な軽度-中等度難聴者と文字、筆談、手話が有効な高度難聴-聾難聴者とを、対象を分離して進める必要性があると思われた。(著者抄録)

2008074745
医中誌Web
新潟中越地震時における重症心身障害児者サポートの実際と今後の課題
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 12巻2号 Page207-213(2007.10)
Author:小西徹(長岡療育園)
Abstract:新潟県中越地震時の重症心身障害児者サポートを急性期と亜急性~慢性期に分けてまとめた。急性期:1)入所者;当初は比較的安定していた。数日後より身体症状が増加したが短期間で通常活動に復帰できた。2)在宅障害者;連絡網や搬送手段の混乱があり、早期保護という点で問題が残った。23名が短期入所を利用され、重症児者の災害時保護として有用であった。亜急性~慢性期:激震・強震地域の障害者256名に対して地震の影響(身体の変化10、心の変化15項目)についてアンケート調査した。69.9%(身体42.1%、心58.3%)で何らかの変化を認め、障害の種類・程度や避難状況によって異なった。特に、重症心身障害や自閉症では避難所生活は増悪因子になる可能性が示唆された。障害者、特に重症心身障害児者は災害弱者の最たるものであり、地域-市町村-施設-病院といった組織化されたサポート体制を構築する必要があると思われる。(著者抄録)

2008074744
医中誌Web
病院の地震対策に関する実態調査について 建築・設備関係を中心として
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 12巻2号 Page196-206(2007.10)
Author:小林健一(国立保健医療科学院 施設科学部), 宇田淳, 山下哲郎
Abstract:本稿は、病院における地震対策の実施状況を把握するために、わが国の全病院9064施設(2005年1月末現在)を対象として実施した調査の報告である。調査は郵送による自記式アンケートで行い、有効回答数は6,843病院(有効回答率75.5%)であった。「すべての建物が新耐震基準」であるのは2,494病院(36.4%)、「一部の建物が新耐震基準」2,482病院(36.3%)、「新耐震基準の建物なし」1,209病院(17.7%)であった。建物の耐震強度以外については、受水槽での給水や自家発電機の設置など、ライフライン破壊への備えが実施率が高かった。その一方で、災害時の必要物資の調達計画や連携体制の策定など、地震発生後の運営に関する対策が不十分である傾向がみられた。各病院においては必要に応じて耐震診断・改修工事を実施する必要がある。また災害発生後の運営面での対策をさらに推進する必要があると思われる。(著者抄録)

2008074743
医中誌Web
心身医学的観点から見た阪神・淡路大震災被災住民の健康問題
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 12巻2号 Page189-195(2007.10)
Author:村上典子(神戸赤十字病院 心療内科), 小笹裕美子, 村松知子, 中山伸一, 福永幹彦, 中井吉英
Abstract:神戸赤十字病院心療内科は、1995年1月の阪神淡路大震災被災者のために、翌年開設された。ストレスや心理的要因による身体疾患(症状)として、身体症状が主なうつ状態、各種心身症などの患者が受診した。震災5年後(第1回)と10年後(第2回)に、心療内科受診中の患者にアンケート調査をおこなった。病気と震災との関係について、第1回は「大きく、直接的に関係する」が13%、「少しは、間接的に」は24%、「関係ない」が61%だった。第2回はそれぞれ9%,30%,56%で、「関係ある」が39%と若干増えていた。第2回では、被害が大きかった群で62%、震災後の生活変化の大きかった群で68%が「震災と病気が関係する」と考えていた。震災は10年たっても被災者の心身の健康に大きく影響し、身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛がある被災者には、医療や心理のみならず、様々な職種によるチームとしての全人的ケアが不可欠である。(著者抄録)

2008074735
医中誌Web
東南海・南海地震発生時の広域医療搬送計画について
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 12巻2号 Page137-143(2007.10)
Author:判田乾一(静岡市建設局 土木部)
Abstract:大規模震災等発生時に重傷者の救命と被災地内医療の負担軽減を図るため、重傷患者搬送に従事する災害派遣医療チーム(DMAT)・救護班を被災地外から派遣し、重傷患者を被災地外の災害拠点病院等へ搬送し救命することが必要であり、これら一連の活動が広域医療搬送である。これまでは東海地震の広域医療搬送計画しか作成されていなかったが、平成19年3月に東南海・南海地震の計画が新たに作成された。本稿は、東南海・南海地震時の広域医療搬送計画の概要を解説するとともに、今後の課題についてまとめたものである。(著者抄録)

2008056019
医中誌Web
手術室スタッフの危機管理意識の変容 手術室震災マニュアルの作成から訓練を通しての危機管理意識の向上
Source:日本手術看護学会誌(1880-4780) 3巻1号 Page64-66(2007.07)
Author:荒木田真子(東京女子医科大学附属病院 手術室)
Abstract:新たに手術室震災時対応マニュアルを作成し地震・火災発生シミュレーションを実施した平成17年度と、火災時対応マニュアルに沿って火災発生シミュレーションを実施した平成16年度とで、手術室スタッフの危機管理意識の変化を調査した。シミュレーション参加者は、それぞれ実施後にアンケート調査を実施した。震災時対応マニュアルでは全ての役割において経時的にした。また訓練は停電下で、看護師、外科医、麻酔科医、臨床工学技士、看護助手などチームメンバーで行われた。結果として、平成17年度は前年より手術室スタッフの意識の高い向上が認められた。事前の準備からスタッフの防災に対する意識付けを通してシミュレーションを行うことで、参加スタッフの危機管理意識の向上に繋がる事が分かった。手術室に携わる他職種の参加、そして新しい状況設定を行うことでよりリアリティのある訓練に繋がった。

2008052191
医中誌Web
新潟県中越地震災害活動における看護体験を通して 看護物品を考える
Source:群馬県救急医療懇談会誌(1880-375X) 2巻 Page35-36(2006.12)
Author:阿部一治(国立病院機構 沼田病院)
Abstract:新潟県中越地震発生3日後に、当院より医師・薬剤師・看護師2名・事務の計5名を派遣し、自動車で看護物品を搬送した。一次救急終了後の活動であった為、持参した看護物品に不足は無かった。看護物品はダンボール箱に収納したが、瞬時に取り出す事が困難であり、必要最低限度の看護物品と収納方法の検討が必要と考えられた。精神疾患をもつ被災者の対応は、地元保健師との連絡を取り対応した。また、その他被災者の精神的ケアの必要性も感じられた。災害本部との連絡方法は携帯電話が使用できたが、ライフラインの停止を考えて今後は無線機を使用した方が良いと考えられた。災害活動後、収納ケースの物品を瞬時に取り出せるようなケースを購入し、除細動器、トランシーバー、衛生携帯電話、携帯型人工呼吸器、看護物品など災害時に直ぐに対応できる態勢を整え備えた。持参する看護物品に対しては、被災地の情報を聞き物品の増減を図っていく必要があると考察した。

2008052190
医中誌Web
新潟中越地震での災害医療活動を経験して
Source:群馬県救急医療懇談会誌(1880-375X) 2巻 Page33-34(2006.12)
Author:前村道生(国立病院機構沼田病院)
Abstract:平成16年10月23日の新潟中越地震に対し、10月26日から28日まで当院の医師、薬剤師、事務各1名、看護師2名の計5名が現地入りし、医療活動を行った。活動開始した子育て支援センター及び泉水小学校の一帯は、震災後初めて医療班が入ったvirgin areaであった。子育て支援センターで19名、泉水小学校で19名、老人保健施設末広荘で19名の計57名を診察した。60歳以上の受診が全体の半数以上を占めていたが、10代も6名受診した。疾患別には慢性疾患に対する投薬希望者が24名と最も多く、次いで外傷11名、熱傷6名、感冒5名であり、緊急に転送を要するような重症患者はいなかった。診療内容では投薬を35名、処置を10名に行い、10名には診察のみを実施した。本人ではなく家族が受診して投薬を希望された慢性疾患患者も2名いた。大部分は持参した薬剤で対処したが、特殊な薬剤は別途手配した。小児科関連の患者も意外に多く見受けられ、メンタルケアを要する患者にも遭遇した。

2008050540
医中誌Web
新潟県中越沖地震の被災状況および対応等について
Source:医薬ジャーナル(0287-4741) 43巻9号 Page75-78(2007.09)
Author:佐藤博(新潟大学医歯学総合病院 薬剤部), 坂爪重明
Abstract:2007年7月16日午前、新潟県中越沖地震が世界一の原子力発電所を抱える柏崎市を襲った。その安全性確認を待つ暇もなく新潟大学医歯学総合病院の災害医療チームを始め、多くのDMAT(災害医療派遣チーム)が、その数時間後には被災地で救護活動に入った。翌日に被災地入りした筆者らが見たものは、道へ溢れ出た崩壊した家屋の数々と医療難民とも言える多くの被災者であった。被災地の基幹病院への医師派遣と重症患者の遠隔地大病院へのヘリコプターによる搬送。昼夜2交代制の災害医療チームによる避難所での診療。さらには広域に点在する遠隔避難所の医療巡回を、その閉鎖まで継続した。医学的技術、倫理性双方の信頼性を確保すべき先端医療を預かる大学病院は、また、地域住民に対する迅速かつ継続的な災害医療救護活動を通して、その信頼性の醸成に努めるべきであることの重要性を改めて感じた。(著者抄録)

2008046779
医中誌Web
災害看護文献検索システムの構築と文献内容の分析
Source:兵庫県立大学地域ケア開発研究所研究活動報告集(1348-5717) 1巻 Page39-42(2006.03)
Author:神崎初美(兵庫県立大学地域ケア開発研究所), 東ますみ, 片山貴文, 周藤俊治, 野澤美江子
Abstract:著者らは災害看護文献検索システム(システム)を構築し、本学(兵庫県立大学)のHP上に掲載しており、2002年以降に8つの班がそれぞれの領域で収集した災害看護文献、約1200件のうち、著者らが属する「情報基地班」が収集した394件から、「わが国の国民性に応じた災害看護の備え」について記述されていると判断された133件を抽出し、分析した。その結果、「特定の活動領域の人にはかなり有用である」「医療、保健活動に関わる全ての人に有用である」と判断された文献は37件(28%)で、看護への活用性についても「ある程度活用できる」「ほぼ活用できる」は47件(35%)と、いずれも半数にも満たない現状ではあったが、先行研究などと比較すると、いずれも増加傾向にあることが分かった。

2008046778
医中誌Web
インド洋・スマトラ沖地震津波災害後のスリランカの実態調査
Source:兵庫県立大学地域ケア開発研究所研究活動報告集(1348-5717) 1巻 Page31-38(2006.03)
Author:渡邊智恵(兵庫県立大学地域ケア開発研究所), 安達和美
Abstract:インド洋・スマトラ沖地震津波災害1年後のスリランカにおいて、3日間にわたって実施した現地調査(スリランカ南西部のコロンボ、ボナツワ、ヒッカドウワ、ゴール)について報告した。衛生状態の悪い仮設住宅における住民の健康状態の悪化が懸念されるほか、要人を多く輩出している南部と西部との被災者への支援格差などが明らかになった。また、津波災害は今回が初めてというスリランカにおける、住民への今後の減災教育の重要性が示唆された。

2008027759
医中誌Web
大災害が地域社会の精神保健に及ぼす影響 震災11年後における神戸市民の精神的健康、受療行動、および外傷体験
Source:心的トラウマ研究(1880-2109) 3号 Page1-24(2007.06)
Author:後藤豊実(兵庫県こころのケアセンター), 藤井千太, 加藤寛
Abstract:震災後11年が経過した時点での神戸市民の心理的影響について分析を行った。無作為抽出により住民基本台帳から選んだ対象者(20~70歳)のうち、818名から有効回答が得られた。この回答者のうち約8割が震災経験者であった。最初に国内外の災害精神医学を概説し、次に震災後11年目の影響を実証的に検証した。一般的な精神健康及びアルコール依存においては11年目の時点で震災経験者と未経験者で差は見られなかった。また、11年経て、震災に関連したPTSD症状は、多少は残っていたが、臨床的には重篤度が低いレベルの被災者が大多数であった。さらに、震災後10~11年目におけるPTSD症状と震災に関連した問題を専門家へ相談する被災者は3%ほどであったが、専門家を訪れていない被災者の中でPTSD症状がやや重篤な人々も存在した。そして、阪神・淡路大震災以外のトラウマ経験の頻度を震災経験者と未経験者で比較すると、より多くの震災経験者が自然災害と喪失体験を経験したと報告していた。最後に、これらの結果を踏まえ、長期にわたる定期的なアセスメントの必要性と大災害後等の精神保健活動について提言する。(著者抄録)

2008017815
医中誌Web
ICUスタッフにおける震災に対する意識・知識向上に向けて 効果的な勉強会を実施して
Source:日本看護学会論文集: 看護管理(1347-8184) 37号 Page32-34(2007.04)
Author:永田明恵(奈良県立医科大学附属病院), 片岡智美, 長瀬純枝, 中川紗織, 森田美里, 大川美加, 米澤友子
Abstract:ICUスタッフ56名を対象に『震災の事前・初期対応』をテーマとした勉強会を実施し、その前後に震災に関する意識・認識調査を行った。勉強会は講義形式で地震の体験映像を取り入れたものとした。意識・認識調査は50名から回答が得られた。「近い将来に震度5以上の地震が起こるという危機感はあるか?」との質問に対して「ある」と回答した人の割合は勉強会前が18%、勉強会後が80%であった。「防災マニュアルがあることを知っているか?」の問いに対して「知っている」と答えた人は勉強会前が38%、勉強会後96%であった。「停電したとき自家発電に切り替わるまでにどれくらい時間がかかるか?」の問いに対する正答率は勉強会前が18%、勉強会後88%であった。「ICU病棟の中央配管の酸素はどのような場合に供給が絶たれるか?」に対する正答率は勉強会前が36%、勉強会後88%であった。「内部バッテリーがある呼吸器はどれか?」に対する正答率は勉強会前8%、勉強会後94%であった。

2008017512
医中誌Web CrossRef
台湾のYu-ChiにおけるChi-Chi地震生存者間の被災後効果の疫学的、精神医学的研究(Epidemiologic psychiatric studies on post-disaster impact among Chi-Chi earthquake survivors in Yu-Chi, Taiwan)
Source:Psychiatry and Clinical Neurosciences(1323-1316) 61巻4号 Page370-378(2007.08)
Author:ChouFrank Huang-Chih(台湾), WuHung-Chi, ChouPesus, SuChao-Yueh, TsaiKuan-Yi, ChaoShin-Shin, ChenMing-Chao, SuTom Tung-Ping, SunWen-Jung, Ou-YangWen-Chen
Abstract:大地震が発生した地区のコホート集団を対象として、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と大鬱病、ならびに6ヵ月、2年及び3年後の他の精神医学的障害の頻度の危険因子を検討した。本調査の対象は、台湾のYu-Chi地区におけるChi-Chi地震生存者のうち、訓練を受けた面接調査者と精神科医のインタビューを受けた住民216名とした。調査の結果、PTSDの頻度は地震後6ヵ月の8.3%から3年後には4.2%に低下したが、自殺念慮は6ヵ月後の4.2%から2年後の5.6%、3年後の6.0%へと増加し、薬物濫用/依存は6ヵ月後の2.3%から3年後の5.1%へと増加していた。地震生存者は、最初の2年間は高い割合で精神医学的障害を持ち、その後減少した。この結果から、地震による荒廃の後では生存者の自殺念慮の増加を避けるため、大鬱病やPTSDの症状を治療して、これらの障害の危険因子を除去することが必要と思われた。

2008010219
医中誌Web
手術室におけるME機器の耐震固定
Source:日本手術医学会誌(1340-8593) 28巻3号 Page212-215(2007.08)
Author:大越真紀子(聖隷浜松病院 臨床工学室), 北本憲永, 鈴木克尚, 原季実子, 伊藤敬, 原真介, 増井浩史, 小久保荘太郎
Abstract:外科用放射線イメージ装置GE横河メディカルシステム社製Flexi View8800、Stenoscop2、MINIView6800、mini6600の耐震固定を行った。転倒防止のためエアラインレールを壁の構造物に取りつけ、車用シートベルトを改良したものをそのレールにはめ込み、装置と壁を固定した。また、壁への衝撃を吸収するためウレタンを壁に貼り、装置とウレタンを密着させた。更に装置自体も破損が懸念される部位はウレタンで保護した。手術用顕微鏡モニター5台と内視鏡用モニター8台の耐震固定については、ゲル状シートを貼り台車と固定し、モニターをゲル状シートと耐震ベルトで固定した。また、台車自体の安定性を高めるため台車のキャスターを大型化した。電気メス・超音波メスの耐震固定については、取り外しを簡単にするために、台車の底にゲルセーフを貼り、機器の側面にストラップバックルを貼り、耐震ベルトをゲルセーフに通し固定した。

2008010218
医中誌Web
起震車を利用して実体験できたこと 災害時行動マニュアルの改訂にむけて
Source:日本手術医学会誌(1340-8593) 28巻3号 Page209-212(2007.08)
Author:田中智子(北里大学医学部附属病院 中央手術部), 渡辺加代子, 古平聡
Abstract:起震車の中に手術中の状況を設定し、地震によりどのような状況が発生するかを体験した。体験の参加者は44名で、起震車に麻酔器とモニターを載せ、段階的に震度3~7に震度を上げ、ストッパー有り無しの状態の動きを見学させた。また、縦揺れ、横揺れによる機器の動きも見学させた。その後、関東大震災または阪神大震災を再現した揺れのどちらかを体験してもらい、体験終了後にアンケート調査を行った。日常多発する震度2~3地震では医療機器のストッパーは有効であったが、震度5以上ではストッパーをかけることによる機器の転倒のリスクが高まった。また、縦揺れより横揺れの方が機器のダメージが大きかった。アンケート調査では、87%以上が手術中の大地震の状況がイメージできたと回答した。大地震発生時、74%が身体防護ができないと回答した。一方で、何らかの行動が取れるという意見があり、その内容は震度2~3の地震で実践している行動内容であった。

2008002842
医中誌Web
災害看護に携った看護職者のストレスに関する研究 被災地看護職者が災害を乗り越えるプロセス
Source:鹿児島大学医学部保健学科紀要(1346-2180) 17巻 Page25-32(2007.03)
Author:浦部綾(神戸大学医学部附属病院), 宮薗夏美
Abstract:新潟中越地震を体験した被災地看護職者12名にインタビューを行った。ストレスを乗り越える過程において12名に共通する「家族の安否」「看護職者としての役割」「マンパワーの確保」「ストレスコーピングとしてのピアカウンセリング」の四つのキーワードが抽出され、これらについて考察した結果、以下のことが示唆された。1)地震後できる限り早期に看護職者が家族の安否を確認できるシステムの必要性、2)管理職者は責任が重く、よりストレスを感じると考えられるのでそれに対する援助の必要性、3)家族を持つ看護職者は自分のために休みを使えるシステムの必要性、4)看護職者の睡眠時間確保のため、代わりに働ける資格を持ったボランティアの必要性、5)起こりうる状況を予測し、病院に配置するボランティアの人数や物品の配給を行う必要性、6)体験を語り合うことを促すよりも、ピアカウンセリングできる場が持てる時間を増やすことの必要性。

2007342603
医中誌Web
広域災害に備えて 災害用伝言板による連絡網構築と訓練の経験から
Source:病院(0385-2377) 66巻9号 Page765-767(2007.09)
Author:平間好弘(総合病院取手協同病院), 新谷周三
Abstract:新潟県中越地震では、全国の救急病院に配置されている「広域災害救急医療情報システム」が利用できず、問題の一つに医療機関の情報収集が挙げられた。地域住民と職員にアンケートを行い、その結果から問題点や改善すべき点を検討した。そこで、携帯電話の災害伝書板を利用した大災害時連絡網の新システムを構築し、定期的に訓練を実施した。災害時には、全国の救急病院に配置されている厚労省の「広域災害救急医療情報システム」と一緒に設置してある通話のみの携帯電話にiモードのような機能を取り付けることを提案した。メール登録を、厚生労働省、都道府県、市町村、病院長、自院の災害対策委員長など、5ヶ所に設定することで、厚労省や自治体では、地域あるいは全国の病院の状況を把握することができ、重傷な患者さんの円滑な移送を可能になると考えた。

2007339838
医中誌Web
中越地震被災地域における歯科保健医療に関する調査 仮設住宅居住診療所受診者の地震前後の口腔清掃の状況
Source:口腔衛生学会雑誌(0023-2831) 57巻3号 Page208-213(2007.07)
Author:小野幸絵(日本歯科大学新潟病院 総合診療科), 田中彰, 末高武彦, 澤秀一郎
Abstract:2004年10月23日夕方に新潟県中越地方で最大震度7の地震が発生した。著者は、地震直後に村ぐるみで避難しその後も仮設住宅で生活しているY村住民を対象として、地震前、地震直後、仮設住宅入居以降(地震から約50日)における歯磨きの状況などについて、2005年4月にY村診療所患者のうち協力が得られた388名に調査を行った。その結果は以下のようである。1 歯磨き回数は、地震前に比べて直後では減少したが、仮設住宅入居後では地震前よりわずかに増加した。また、歯磨きの仕方について地震前と入居後で比較すると、地震前と同じ者が半数以上で、雑になった者は10%あまりであった。2 地震直後は、うがい液でうがいをした者あるいは口をすすいだ者が多かった。歯ブラシは80%以上が3日以内に入手した。3 地震直後に必要としたものは、歯ブラシ、うがい用のコップ、うがい液の順で多かった。今回の調査参加者は一地域のみで年齢的にも偏りがあるが、被災時そして被災前後の歯磨き状況についての実態と需要を把握することができた。(著者抄録)

2007322953
医中誌Web
新潟県中越地震被災地における深部静脈血栓症 対照地域検査との比較
Source:Therapeutic Research(0289-8020) 28巻6号 Page1126-1128(2007.06)
Author:榛沢和彦(新潟大学 大学院呼吸循環外科), 林純一, 田辺直仁, 相澤義房, 伊藤正一, 鈴木幸雄
Abstract:長岡市、小千谷市、十日町市の新潟県中越地震被災者1365名(男性469名、女性896名、平均60歳)において施行した、地震発生1年後の下肢静脈エコー検査および血液検査の結果について、対照地域検査の結果と比較し、被災地で認められる下肢深部静脈血栓症(DVT)が地震による影響であるのか否かを検討した。対照地域は新潟県阿賀町とし、住民367名(男性114名、女性253名、平均63歳)において検査が施行された。被災者では1365名中105名(7.7%)に血栓を認めた。対照地域住民では367名中38名が新潟大停電で偶然に3ヵ月以内の車中泊を経験しており、このうち2名(5.3%)に血栓を認め、通常の生活をしていた327名(他2名は不明)では6名(1.8%)に血栓を認めた。過去にDVT既往やリスクのない例に限定した場合でも4名(1.2%)で血栓を認めた。1年後の被災者の血栓頻度と対照地域の頻度(1.8%)についてχ2検定を行った結果、被災者では対照地域住民よりも血栓頻度が4.3倍有意に高かった。

2007307230
医中誌Web
新潟県中越地震が子どもの行動に与えた影響
Source:精神医学(0488-1281) 49巻8号 Page837-843(2007.08)
Author:遠藤太郎(新潟大学 大学院医歯学総合研究科精神医学分野), 塩入俊樹, 鳥谷部真一, 赤澤宏平, 桑原秀樹, 染矢俊幸
Abstract:新潟県中越地震後の子どもの行動変化に影響する因子を明らかにするため、就学児・未就学児を含めた683名を対象としてアンケート調査を実施した。著者らが先に実施した研究では、震災後38%の子どもに行動変化が生じ、行動変化の発現には親の精神状態が影響を及ぼしていることを報告したが、今回の結果では、けが、病気、家屋の被害などの因子も子どもの行動に影響を与えること、さらに親の精神状態が悪いほど行動変化が長期間持続するなど新たな知見が得られた。以上から、震災時の子どもの外傷性精神症状の予防・治療には、物質的援助や子ども自身のケアとともに、親への精神的サポートが重要であることが示唆された。

2007272341
医中誌Web
新潟県中越地震医療救護派遣における薬剤師の関わり
Source:静岡県立総合病院医学雑誌(0911-4157) 20巻1号 Page113-118(2006.12)
Author:田代佳生(静岡県立総合病院 薬剤部), 青島広明, 内田恭之, 浮島美之, 安田清
Abstract:新潟県中越地震の被災地において、当院医療救護派遣チームは地震後6日目より9日間医療救護活動を行い、その中で薬剤師の果たした役割について検討した。当院救護班は1班が医師2名、看護師2名、薬剤師1名、事務1名の計6名で構成され、3斑が3日間づつ活動した。診察患者は感冒・打撲・腰痛・不眠・不安などが多く、診察人数は1日平均25人であり、半数以上に薬が処方された。また、公衆衛生に対する啓蒙活動としてポビドンヨードうがい液や擦式消毒液を積極的に配布し、うがいや手指消毒の励行を促した。薬剤師は医薬品管理、情報収集・不足薬品の調達、調剤、慢性疾患患者の薬剤手配、使用医薬品集計を行った。薬剤師はこれらの役割を通して円滑な医療救護活動に貢献できると考えられた。

2007266867
医中誌Web
新潟県中越地震時の重症心身障害児(者)短期入所について
Source:脳と発達(0029-0831) 39巻3号 Page198-201(2007.05)
Author:亀田一博(長岡療育園 小児科), 泉理恵, 小西徹, 山谷美和, 山田謙一
Abstract:中越大震災の被災を理由に、当園短期入所を利用した24名について、その利用状況をまとめた。震災による短期入所利用の特徴として、1)通常利用と比べて平均利用日数が明らかに長期間で、居住地が震源地に近いほど長くなる傾向があった。2)震源地近郊では入所開始までに日数を要する傾向もあった。中越大震災では200ヶ所を越える道路の寸断があり、震源地付近では、搬送に困難を要した例が多かったからと考えられる。短期入所の利用者の割合も、強震地域より激震地域の方が高かった。重症心身障害児(者)を支える行政や社会のネットワークは未だ不十分である。中越大震災を機に、重症心身障害児(者)保護・支援のためのネットワークが構築されることを期待したい。(著者抄録)

2007260927
医中誌Web
地震災害時における市町村保健師の役割の特徴と課題
Source:日本災害看護学会誌(1345-0204) 8巻3号 Page10-20(2007.05)
Author:藤井誠(()), 橋本結花
Abstract:地震災害時における市町村保健師の役割と特徴を明らかにすることを目的に、A県内各市町村の保健師を対象にアンケート調査を実施し、79名より有効回答(29.6%)を得た。市町村の防災担当者を対象に筆者らが実施した先行研究では、防災担当者は保健師に「避難者の健康チェック」「救急処置」をはじめとする医療面での役割を期待していたのに対し、保健師は「避難者の健康チェック」「家庭訪問」など健康・保健面を自身の役割と考えていることが分かった。

2007259567
医中誌Web
ジャワ島ジョグジャカルタ地震被災地の緊急支援における看護の役割 NPOの国際緊急支援の参加を通して
Source:日本赤十字武蔵野短期大学紀要(1346-1907) 19号 Page65-69(2006.12)
Author:伊藤尚子(日本赤十字武蔵野短期大学 成人看護学)
Abstract:2006年5月27日にインドネシア共和国のジャワ島中部で発生した地震による被災地であるジョグジャカルタに、特定非営利組織団体より派遣され看護活動を実施した体験について、とくに、緊急支援の中でも最終班の派遣で、撤退の時期に関わったことからその特徴を中心に報告した。緊急支援においては被災者の救援活動が優先されるため、外国人スタッフが主体となって活動することも多く、そのような場合、現地スタッフへの技術移転については撤退の時期に関わるスタッフがその役割を担うこととなる。短期間に効率的に引き継ぎを行うためには、現地の文化や習慣への理解が必要であると考えた。

2007253540
医中誌Web
大きい避難所ほど被災者の減少は少ない 阪神淡路淡路大震災の教訓より
Source:滋賀医科大学看護学ジャーナル(1348-7558) 5巻1号 Page25-31(2007.03)
Author:谷岡亮子(滋賀医科大学 医学部看護学科臨床看護学講座), 田畑良宏, 林静子, 秦朝子, 辻井靖子, 小林隆幸, 中西章夫
Abstract:大規模災害における医療支援のボランティア参加で、支援からの撤退の時期を予測することの重要性を痛感した。参加者の勤務を補う都合上、初期の段階からいつまで医療支援が継続しそうかを事前に予測できれば、医療支援側のボランティア参加に伴う不安と勤務の問題を解消できるのではないかと考え、阪神淡路大震災でのデータをもとに解析した。避難所の医療支援施設受診患者数は減衰曲線に従って減少した。減衰曲線の特性から、受診患者数の減少は集団感染症などの避難者相互間に影響される要因ではなく、受診患者数の減少は施設に避難する被災者数の減少を反映していると考えた。施設の避難者の調査期間中の累積患者総数と受診患者数の減少の半減期の間には相関関係があり、規模の小さい施設に避難する被災者の方が早期に自立する傾向があった。

2007249829
医中誌Web
【POC・OTC検査の広がり】 総論 POCと災害医療
Source:臨床病理レビュー(1345-9236) 138号 Page18-26(2007.01)
Author:三村邦裕(千葉科学大学 危機管理学部)
Abstract:近年、安全な国といわれていたわが国でも大きな災害が立て続けに起こっている。また世界に目を向ければ、自然災害、人為災害を含めると何処かで毎日のように災害が発生している。本稿では災害とは何かを解説した後に災害医療の役割と活動について紹介する。またPOC(point of care)が災害医療において有効利用され、救命に大いに貢献することを考察したい。(著者抄録)

2007236899
医中誌Web
看護学生の災害支援ボランティア参加に至る情緒的プロセスと動機づけ
Source:日本看護学教育学会誌(0916-7536) 16巻3号 Page57-68(2007.03)
Author:松下由美子(新潟県立看護大学), 中川泉
Abstract:中越地震を体験した看護学生が自発的に災害ボランティアに参加するまでの情緒的プロセスを半構成的グループインタビューによって調査し、その内容を質的帰納的に分析した。対象は某看護系大学の学生でボランティアに参加した15名とした。分析の結果、学生たちは被災者に共感しながらも、「学生としての責任と立場」との狭間でボランティア参加への肯定的感情と否定的感情をもち合わせていたことがわかった。ボランティア参加の決心に至るには援助行動に対する「利己的動機の認識と受容」「参加意義の置き換え」「仲間との思いの共有」「代理経験」が重要な動機づけとなっていた。

2007210755
医中誌Web
新潟県中越大震災における歯科医療救護活動からみた歯科衛生士の課題
Source:日本歯科衛生学会雑誌(1884-5193) 1巻2号 Page34-40(2007.02)
Author:渡辺美幸(明倫短期大学), 本間和代, 三富純子, 小林キクイ, 江川広子, 花野澄子, 吉岡節子, 高橋純子, 稲垣敦子
Abstract:目的:2004年10月23日に発生した新潟県中越大震災において新潟県歯科衛生士会は、震災直後から歯科医療救護活動に参加した。過去に大災害時の救護活動を経験したことがなく、対策本部の指示に従う活動に止まった。この体験をもとに、歯科衛生士としての支援のあり方を検討することを目的とした。方法:新潟県中越大震災の歯科医療救護活動に参加した歯科衛生士80名を対象に、救護活動の内容、被災者の口腔内の状態、活動時に困ったこと、今後の課題等についてアンケートを行った。結果:活動内容は、前半は避難所への歯科救援物資の配布や救急歯科治療の補助、心のケアなどであった。後半は仮設住宅での口腔衛生指導や高齢者の口腔ケア、歯科相談が中心であった。活動の問題点は、被災者のニーズを把握できないことや歯科救援物資の片寄りで、歯磨き関連用品の種類や義歯関連用品の不足が目立った。結論:支援体制の確立やマニュアルの作成、技術講習などを平時から行い、緊急時に備える必要があることが示唆された。(著者抄録)

2007182163
医中誌Web
震災と生理用品の救援物資の供給についての一考察 阪神・淡路大震災と新潟県中越地震の相違
Source:岡山県母性衛生(0912-4942) 23号 Page23-24(2007.03)
Author:小野清美(岡山大学 医学部保健学科)
Abstract:阪神・淡路大震災は女性や子ども、高齢者、障害者などの犠牲が多くあり、新潟県中越地震においても阪神・淡路大震災と同様に国民を脅かす災害となった。そこで、女性の特有な処置に欠かせない生理用品について、救援物資のあり方の実態を述べた。阪神・淡路大震災では初動態勢においてトイレ設備が使用不能になった。生理用品については神戸市危機管理室の資料によれば、震災前は生理用品の備蓄はされていなかった。新潟県中地震では、全てのライフラインが絶たれ、生活の糧である家畜やにしき鯉糧なども被害にあい、その救出に困窮したことは阪神・淡路大震災とは異なった。「生理用品」は186642個届けられ、訓練がいき無事に現地に生理用品は運ばれた。

2007179812
医中誌Web
災害復興恒久住宅在住高齢者の生活上の問題と課題 阪神淡路大震災被災5年後の調査から
Source:大阪市立大学看護学雑誌(1349-953X) 3巻 Page41-47(2007.03)
Author:近森栄子(大阪市立大学 医学部看護学科), 宮田さおり, 廣田麻子, 鈴木学美
Abstract:長期的地域支援のあり方を検討するために、震災後5年の時点における復興住宅在住高齢者の自由記載による生活に対する意見や要望を検討した。神戸市内のシルバーハウジング(高齢者住宅事業)入居者、および復興住宅入居中の高齢世帯支援員訪問世帯、計1764世帯を対象とした。回収率は26.9%で、自由記載部分に記述があった調査票は46.2%であった。「環境」「コミュニティ」「心境」「社会的支援」「経済」「行政」「健康」の7つのカテゴリに分類した。「環境」に関する記載が30.3%と最も多く、次いで「コミュニティ」、「社会的支援」であった。「環境」、「コミュニティ」、「健康」、「経済」の項目に否定的な回答が多かった。「心境」と「社会的支援」では、すべてが肯定的な回答であった。訪問型の支援の構築・継続ならびに対人交流の積極性を維持・向上するのが重要であることが示唆された。

2007177305
医中誌Web
新潟中越地震から学ぶ、災害が及ぼした糖尿病患者への影響 患者アンケート調査を通して
Source:新潟県厚生連医誌 16巻1号 Page17-20(2007.03)
Author:丸山順子(新潟県厚生農業協同組合連合会長岡中央綜合病院 内科外来), 岩瀬紅美, 渡辺直美, 遠藤春美, 本田浩美, 桑原佐枝子
Abstract:目的:2004年10月23日新潟県中越地震が発生し、多くの糖尿病患者が何らかの被害をうけ避難を余儀なくされた。しかし患者の避難先や健康状態などを直ぐに把握することはできず、情報を得る手段も確立されていない状態であった。またこの災害によりコントロール状態にも少なからず影響を与えたと推測される。そのような中で、糖尿病患者がとった行動、心理変化によるコントロールへの影響を検証し、震災時での糖尿病患者への援助、今後の糖尿病指導について考える。方法:当院の糖尿病外来通院患者を対象にアンケート調査を行い、新潟県中越地震と糖尿病患者の生活の関係を知るとともに、患者の受けた被害状況、災害による自己管理行動への意識や実施における変化、糖尿病コントロールの変化、行動、心理的変化など震災によりどのような影響を受けたかを明らかにする。成績:災害によりライフラインが寸断されたことで食生活は変化し、復旧の遅れが自己管理行動を阻む一因となっていた。ストレスからくる身体的、心理的影響も大きくコントロール状態に影響を与えた。また食事量・時間の予定が立たない、薬や血糖自己測定器を持ち出せなかったなどの様々な問題が生じ自己管理行動に困難を要した患者も多く、災害時における患者指導が不十分であることがわかった。さらに災害時における糖尿病患者への診療支援が整っておらず早急に検討すべき課題が明らかとなった。結論:今後も起こりうる予期せぬ災害に対し、日頃の療養指導の中に災害時の対応についての指導を取り入れ、患者が対応できるようにしてゆく必要がある。(著者抄録)

2007176513
医中誌Web
【災害と心疾患】 大災害時の心血管イベント発生のメカニズムとそのリスク管理 自治医科大学2004年提言より
Source:心臓(0586-4488) 39巻2号 Page110-119(2007.02)
Author:苅尾七臣(自治医科大学 内科学部門循環器内科学講座)
Abstract:近年、世界では多くの自然ならびに人為的大災害が発生している。災害時には、高齢者や心血管リスクが高い患者を中心に、その被害状況に比例して心血管イベントが増加する。その増加はとくに夜間から早朝にかけて著しく、ストレスが解除されない場合、数ヵ月継続する。この機序として震災時に生じた恐怖やその後の環境変化に伴う極めて強い精神心理ストレスや、睡眠障害による心血管リスク因子の増悪がある。ストレスは交感神経系や視床下部-副腎皮質系を活性化しサイトカインを増加させる。これらの系を介して、血圧昇圧、血液凝固亢進、糖代謝障害、炎症反応などがひき起こされ心血管イベントの増加につながる。災害時心血管イベントの予防の観点から、障害発生時の迅速な救急対応に加えて、ストレスの早期軽減を計る行政対応と、震災時の特徴を理解したリスク管理の徹底が重要であろう。(著者抄録)

2007168906
医中誌Web
新潟県中越地震で車中への避難を誘因に発症した急性肺血栓塞栓症の2例
Source:日本呼吸器学会雑誌(1343-3490) 45巻4号 Page324-328(2007.04)
Author:鈴木和夫(新潟県立六日町病院 内科), 田中純太, 小川祐輔, 笠井昭男, 大野康彦, 坂井邦彦, 中山秀章, 塚田弘樹, 下条文武, 榛沢和彦, 鈴木栄一
Abstract:新潟県中越地震の避難中に発症した肺塞栓症2例を経験した。症例1は、76歳女性。平成16年10月23日の地震発生後から車中で2泊過ごした10月25日の午前6時、車からでて集会所に歩きだした際に、突然の呼吸困難感と意識消失を生じた。病院到着時は、意識清明であったが低酸素血症を認めた。経過から、肺血栓塞栓症と考えられ、ヘパリン静注を受けた。造影胸部CT写真にて診断は確定した。症例2は、79歳女性。地震発生後1日のみ車中で過ごし、車内では寒さのため毛布を抱えていた。地震後発生15日後の11月7日に胸痛、呼吸困難感が出現し、持続するため11月17日に当院に入院した。造影胸部CT写真にて肺血栓塞栓症と診断した。本例は、狭い車中で膝を屈めながら避難していた点や、避難生活中の運動量減少が誘因の肺血栓塞栓症と考えられた。本症は災害医療において重要な病態と考え報告する。(著者抄録)

2007164212
医中誌Web
地震災害に対する意識調査
Source:名古屋市立大学病院看護研究集録 2005号 Page6-10(2006.04)
Author:水野千枝子(名古屋市立大学医学部附属病院 看護部), 杉本幸子, 真野加奈, 田上由紀子, 桃野奈生子
Abstract:名古屋市立大学病院看護師の地震災害への意識調査を行った。名古屋市立大学病院看護部職員(590例)を対象に「地震災害の意識についての質問紙調査」を実施し、回収率は79.1%であった。昼間と夜間での地震災害発生時の行動差はほとんどみられなかったが、夜勤帯はさらにマンパワーが不足している時間帯であり、一人の医療者の役割が大きくなり、行動の困難性が危惧された。災害への危機感から実際の災害看護への行動面にまで移すためには「教育活動」や「研修」、「訓練」、「災害時の救援活動への参加の保障」などのサポートが必要不可欠であった。

2007161068
医中誌Web
産婦人科病棟における地震・火災時対応の勉強会の効果 アンケート調査による意識・知識の評価
Source:日本看護学会論文集: 母性看護(1347-8230) 37号 Page15-17(2007.01)
Author:儘田由美子(公立阿伎留病院), 志茂美和, 河田かおり
Abstract:当院では、医療事故の防止と各自の医療知識の向上を目的に、各病棟主催の勉強会を実施しており、今回、産婦人科病棟の勉強会で実施した防災訓練の効果を、勉強会に参加したスタッフ14名への前後のアンケート調査から検討した。勉強会では、スタッフの地震・火災に対する意識を高めるため、「地震・火災時の役割分担表」の作成や、病棟の一部を借り「地震・火災時の役割分担表」に基づいた防災訓練、消火器・消火栓の場所、避難経路の確認などを行った。こうした実践的な勉強会により、スタッフの地震・災害時の対応への知識が増加し、災害を自分自身のこととして考えれるようになっていることがアンケート調査の結果から窺えた。

2007160640
医中誌Web
被災地で行ったエコノミークラス症候群の検診と肺血流シンチについて
Source:群馬県核医学研究会会誌(0913-1523) 21巻1号 Page8-10(2006.12)
Author:山賀敏彦(小千谷総合病院 放射線科), 伊佐浩一, 小野塚延靖, 榛沢和彦, 石田均, 田村博文, 品田恭子
Abstract:新潟県内の核医学施設に肺血流シンチの撮影方法についてアンケートを行った。アンケート結果より適切と思われる撮影方法を検討した。エコノミークラス症候群の検診を血液検査および下肢超音波検査で行い、深部静脈血栓が見つけられた者または疑わしい者に対し精査目的で99mTc-MAAを用いた肺血流シンチを行った。震災後の検診で下肢静脈血栓が疑われ、各種検査により肺血栓塞栓症が判明した症例の診断には、通常の肺血流シンチにSPECTを付加することが最良であった。診療の場でSPECTのMIP像をCINE表示で観察することにより、詳細な血流欠損部位が把握できた。

2007149774
医中誌Web
学校危機管理における課題 大規模地震を想定した災害対応訓練への学生評価から
Source:長岡赤十字病院医学雑誌(0914-5788) 19巻1号 Page31-36(2007.02)
Author:平野美樹子(長岡赤十字看護専門学校), 藤田和子, 田中富美子
Abstract:学校危機管理における課題を検討した。方法は大規模地震を想定した災害対応訓練に参加した学生96名を対象に無記名自記式の質問紙調査を行なった。その結果、1)回収は56名(回収率58.3%)で、地震発生時の危険性では天井からの落下物・物が倒れる・硝子の破片による受傷と避難経路遮断による逃げ遅れなどであった。2)放送については85.7%が適切と回答されていたが、待機なのか避難なのか、避難場所はどこなのかなどの放送も欲しいという意見があった。3)避難・誘導については91.1%が適切と回答していたが、危険なく集団で避難する方策では、安全な避難行動(押さない・走らない・しゃべらない・広がらない・指示に従う)、冷静沈着な行動、適した服装・携行品などが挙げられた。4)災害に対する日頃の備えについての問いは23.3%が行なっており、災害発生直後の対応には懐中電灯・携帯電話や充電器の準備、家具の固定が、避難に向けては災害対応バッグ・マスク・防寒具・ヘルメット・水・食料などの準備があった。

2007145487
医中誌Web
腎センターにおける震災時の離脱方法の検討 緊急離脱の模擬体験を通して
Source:日本看護学会論文集: 看護総合(1347-815X) 37号 Page51-53(2006.12)
Author:糸井好美(川崎市立井田病院), 竹村由美子
Abstract:腎センターにおける震災時の離脱方法の見直し・検討を目的に、腎センターのスタッフ7名(看護師5名、臨床工学技師2名)を対象に、緊急離脱および搬送に至るまでの一連の過程の模擬体験を行い、その後、アンケート調査およびフリーディスカッションを実施した。その結果、現状の緊急離脱方法および避難誘導について、7名全員が不安を感じ、見直しの必要があると指摘した。

2007145486
医中誌Web
大規模震災時の入院患者避難誘導の判断に関する研究 新潟中越地震を経験した看護師へのインタビュー結果から
Source:日本看護学会論文集: 看護総合(1347-815X) 37号 Page48-50(2006.12)
Author:神屋たみえ(東京都立大塚病院), 間中文憲
Abstract:大規模震災時の入院患者避難誘導の看護師の判断を明らかにすることを目的に、中越地震の際、入院患者を避難・誘導させた経験をもつ2病院の看護師4名を対象に、半構成的面接を実施した。その結果、震災発生直後は、本部からの指示を待つ余裕はなく、看護師は「災害本部の状況が不明であることや、本部の設置・指示が遅いことが不安」と感じながら、本部の設置までの30分~1時間は、各病棟の看護師や医師が避難の判断を行っていたことが分かった。

2007131931
医中誌Web J-STAGE
新潟中越地震後における一過性左室心尖部膨隆(いわゆる"たこつぼ"心筋症)発症率増加(Increased Incidence of Transient Left Ventricular Apical Ballooning (So-Called ’Takotsubo’ Cardiomyopathy) After the Mid-Niigata Prefecture Earthquake)
Source:Circulation Journal(1346-9843) 70巻8号 Page947-953(2006.07)
Author:SatoMasahito(立川綜合病院), FujitaSatoru, SaitoAtushi, IkedaYoshio, KitazawaHitoshi, TakahashiMinoru, IshiguroJunji, OkabeMasaaki, NakamuraYuichi, NagaiTsuneo, WatanabeHiroshi, KodamaMakoto, AizawaYoshifusa
Abstract:2004年10月23日に新潟中越に震度6.8の地震が発生し、その後、1ヵ月以内に"たこつぼ"心筋症患者16例(男1、女15、平均年齢71.5歳)を診断した。13例(81%)は震度6以上の地域の居住者であり、11例(69%)は地震当日に自覚症があった。地震後の"たこつぼ"心筋症発症頻度は震源地付近では地震前の約24倍であった。

2007130749
医中誌Web
緊急災害遠隔医療に対するワイヤレスIPネットワーク ジョグジャカルタ-中央ジャワ地震の事例研究(Wireless IP Network for Emergency Disaster Telemedicine: Case Study of Yogyakarta-Central Java Earthquake)
Source:日本遠隔医療学会雑誌(1880-800X) 2巻2号 Page128-129(2006.09)
Author:SadiqMuhammad Athar(東海大学 医学部中島研究室), UsmanKoredianto, JuzojiHiroshi, IgarashiKiyoshi, TanakaKenji, NakajimaIsao
Abstract:2006年5月27日にインドネシアのジャワ島を襲ったジョグジャカルタ-中央ジャワ地震において、災害地域を相互接続するためにワイヤレスIPを提唱した。この地震では、インドネシアの大都市5市が罹災し、政府の電力供給、固定電話線、移動電話線が全て故障し、遠隔医療ネットワークのインフラに固定電話や移動電話を使用できなかった。ワイヤレスIPは、医療及び避難ポイントを相互接続するために、簡便で経済的なテレコミュニケーション系として代用できる。

2007121950
医中誌Web
子どもが入院している病棟の災害時看護 新潟県中越地震の看護師の体験から
Source:日本災害看護学会誌(1345-0204) 8巻2号 Page8-19(2006.12)
Author:井上みゆき(新潟県立看護大学), 加固正子, 片田範子, 勝田仁美, 小迫幸恵, 三宅一代, 岡田和美
Abstract:子どもが入院している病棟の災害時看護について検討することを目的に、新潟県中越地震発生時に入院患児を有していた同地域の病院4施設5病棟の看護師16名および看護管理者4名を対象にフォーカスグループインタビューを実施した。その結果、看護者は、地震発生直後に子どもと家族の安全確保を行い、情報を伝達するとともに、相次ぐ余震のなか、避難準備を行いながら、子どものストレス軽減に努めていたが、実際には、子どもより付き添いの家族がパニックになっていたことが明らかになった。

2007118587
医中誌Web
透析室における地震対策(第2報) 棚置き型コンソール用免震機構の工夫
Source:日本透析医学会雑誌(1340-3451) 39巻12号 Page1581-1585(2006.12)
Author:原道顯(原内科クリニック), 坂本力也, 澤村啓史, 田添友美
Abstract:棚置き型コンソール(DCS-26)を用い、起震装置上で震度4~7、20秒間の地震実験を行い、コンソール底部に装着した素材に対する影響をコンソールの飛び跳ね(ユレ)と水平移動(ズレ)で評価した。その結果、1)標準仕様(鎖固定1、2本)と耐震ゴムは震度5以上でズレを生じ、耐震ゲルクッション(ジェル)は震度6以上で接着がはがれ、免震脚A・B(ともに鎖固定1本)は震度4でズレを認め、特に免震脚B(1本鎖固定)でズレが大きかったが、鎖固定2本の免震脚Bではズレが極めて小さかった。2)標準仕様(1本鎖固定)のユレとの比較では、震度5では全素材で有意に安定し、震度6以上では免震脚(鎖固定1、2本)で有意な安定を認めた。また、標準仕様(2本鎖固定)とゴムでは震度6以上で、ジェルは震度7でユレが悪化した。以上、これらのことからも、耐震方法は鎖固定でズレを制限し、低摩擦性底面素材(免震脚)を使用することで有効と考えられた。

2007097423
医中誌Web
震災に対する意識調査 全職員の意識向上を目指して
Source:稲沢市民病院紀要(1881-2953) 10巻 Page88-89(2006.11)
Author:小野佳子(稲沢市民病院 看護部), 溝口孝子, 川村聡美, 塩野谷歩
Abstract:全職員372名を対象に質問紙法・選択回答式の意識調査を行い、318名から回答を得た。震災に対して「関心をもっている」と回答した人の割合は93.4%で、職種・年齢による有意差は認めなかった。勤務中に地震が発生した場合、自分の役割が「よくわかっている」「何となくわかる」と回答したのは75.1%であった。自分の役割が「わからない」と回答した人の割合を職種別にみると医師職、医療技術職で高く、それぞれ50%、49%であった。勤務時間外に震度5以上の地震が発生した場合に「登院する」と回答した人の割合は46.5%で、職種別にみると事務職、医師職で高く(それぞれ86%、64%)、看護職で低かった(37%)。震災時の自分の行動に対して不安を「感じている」と回答した割合は86.8%、職種別では看護職と医師職がそれぞれ94%、79%と高かった。不安の内容はどの職種も「自分の役割がわからない」「役割を果たせるか不安」「冷静な判断・行動ができるか不安」というものが主であった。災害研修の必要性については88.4%の人が「必要」と回答した。

2007077553
医中誌Web
スマトラ島沖地震・津波災害に対する医療支援概要
Source:防衛衛生(0006-5528) 53巻10号 Page217-224(2006.10)
Author:小野健一郎(陸上自衛隊第7師団司令部), 田村泰治, 横部旬哉, 森田充浩, 堀田隆志, 宮本寛知, 小林恵輔, 木村暁史, 加來浩器, 関根敏行
Abstract:2004.12.26インドネシアスマトラ島沖で発生した地震・津波災害に対する自衛隊の国際緊急援助活動中、バンダアチェ市内の単一診療所で行われた医療支援結果を報告し、今後の国際緊急援助活動の参考に資する。結果として1)地震・津波災害に直接起因する疾患は、被災から約1ヵ月で5%程度に収束する。2)被災後亜急性期は衛生状態の悪化に伴う呼吸器疾患、皮膚科疾患の割合が50%と高く、疾患の割合も期間中一定した。3)災害1ヵ月以降、被災に起因する主なものは精神症状であり、受診者の3%前後を占めた。また今後、自衛隊の国際緊急医療援助活動が災害亜急性期に開始せざるを得ないとすれば、それに適化した医薬品を準備しておく必要があると考えられた。(著者抄録)

2007066002
医中誌Web
「災害救援薬剤師」災害医療が求める薬剤師の役割 日本赤十字社医療救護班の新潟県中越地震での経験から
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 11巻1号 Page29-37(2006.10)
Author:松井映子(日本赤十字社医療センター 薬剤部), 丸山嘉一, 槙島敏治, 東麻美子, 佐伯康弘, 小高雅信
Abstract:国内外における大規模災害への即時対応のため、日本赤十字社医療センターでは、薬剤師が医療救護班の一員となり、備蓄する国内外の災害用医薬品セットを管理してきた。2004年の新潟県中越地震発災後2週間、計8人の薬剤師による救護班での活動経験を基に、災害医療における薬剤師の活動と役割に関する分析・評価を行った。薬剤師の専門性を発揮した情報提供、代替薬及び追加医薬品の選定と管理、そして地域医療機関等との協調を意識した対応は診療の円滑化に貢献し、他の救護班員から高い評価を得た。また現地での服薬指導は被災者のこころのケアともなった。今後、災害用医薬品の選定「薬のトリアージ」のための情報収集や知識の蓄積、服薬指導技術の向上、そして薬剤師相互間や他職種との連携強化が必要と考える。普段から災害医療を意識し、災害対策から積極的に携わり、災害時には的確に対応できる薬剤師「災害救援薬剤師」が求められている。(著者抄録)

2007066001
医中誌Web
神戸からの発信 地域コミュニティの絆
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 11巻1号 Page22-28(2006.10)
Author:高橋利昌(神戸市建設局 東部建設事務事工務課)
Abstract:阪神・淡路大震災の被災地である神戸がその時の教訓を世に発信することで、近年世界でますます多発している自然災害に対して、少しでも減災に役立てていただけることを期待している。本稿は兵庫県南部地震が発生した時の状況や課題を整理し、その後の神戸市の減災に対する取組みの考え方と地域コミュニティの防災力を高めるための地域支援策の一部を伝えるものである。【大震災の教訓】神戸は1995年1月17日に兵庫県南部地震により震度7の揺れに襲われた。被害の特徴の中に同時多発火災と倒壊家屋からの救助活動とがある。そこから得られる教訓は自助、共助の必要性と地域コミュニティの大切さである。【自主防災の転機】地域の防災力を高めるため、震災前の自主防災組織を見直し、震災後は「防災福祉コミュニティ」として再生させた。その特徴は日常時の福祉活動と非常時の防災活動を一体のものとして融合させた活動を目指しているところにある。地域では消火や救急等の災害対応訓練のほか、マップづくり、見守り活動、防犯パトロールなどの実践的な取組みが続けられている。【地域コミュニティの向上に向けて】防災福祉コミュニティに対する活動資金の助成、各種団体に対する地域活動提案型助成、市民個人に対する市民救命士や救急インストラクター養成、広くまちづくりを研修するまちづくり学校の開講など、防災だけに限定することなく、地域コミュニティや個人の防災対応能力を高めるための施策を展開している。今後神戸が最も懸念する災害のひとつである東南海・南海地震に対しても市民に備えてもらうために、地震や津波に関する一般的な知識のほか想定される被害予測を記したパンフレットやビデオを作成している。特に津波による浸水の被害が懸念される地域では、地域の人たちが主体となって地域の津波対策計画を立案し、マップを全戸に配布して全住民に周知している。【1.17を忘れない】大震災の貴重な教訓を風化させてはならない。「1.17を忘れない」を合言葉に、モニュメントなどの記録のほか、安全の推進に関する条例の制定、職員の震災経験者の登録、NPOの結成、シンポジウムなど様々な施策を講じながら、地域コミュニティの絆の大切さを伝承していく必要がある。(著者抄録)

2007065998
医中誌Web
大規模震災発生時の広域医療搬送計画について
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 11巻1号 Page1-6(2006.10)
Author:判田乾一(内閣府)
Abstract:大規模震災等発生時に重傷者の救命と被災地内医療の負担軽減を図るため、重傷患者搬送に従事する災害派遣医療チーム(DMAT)・救護班を被災地外から派遣し、重傷患者を被災地外の災害拠点病院等へ搬送し救命することが必要であり、これら一連の活動が広域医療搬送である。現在、東海地震発生時の広域医療搬送計画が作成されており、東南海・南海地震、首都直下地震の計画に関しては検討中である。本稿は、阪神・淡路大震災を教訓として大規模震災発生時に1人でも多くの救える命を救うためにどのような検討がなされてきているのか、東海地震時の広域医療搬送計画を例にその計画の内容、課題等をまとめたものである。(著者抄録)

2007042947
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 災害を迎え撃つ 未来へ 究極の対策 ノースリッジ地震に学んだ免震病院
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1571-1577(2006.10)
Author:湯浅健司(高知高須病院)
Abstract:透析においては,大災害時においても,透析治療を中断させることなく,安全に継続させることはもちろん,人命や建物の安全確保のみならず,さまざまな医療機器,設備などの機能,そして,水・電気などのライフラインをいかに確保できるか,病院全体の機能を維持することが大変重要になる.1994年,アメリカノースリッジ地震では,耐震構造の病院は,倒壊はしなかったが,内部の医療機器や設備に大きな被害を受けて数日間その機能を失った.それに対して免震構造の病院では,ちょうど行おうとしていた脳外科手術が,1分程度中断されただけですぐ再開されている.今後の病院の耐震施設への設備課題として,人命・建物を守り,重要機能の保全を確保するために,免震構造が不可欠であると考える.(著者抄録)

2007042944
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 災害を迎え撃つ 未来へ 大都市型巨大災害 東京都23区の透析施設における災害への取組み
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1551-1557(2006.10)
Author:秋葉隆(東京女子医科大学附属腎臓病総合医療センター), 石森勇, 村上淳, 金子岩和
Abstract:阪神・淡路大震災は初めて人口密集地域を襲った大規模な透析施設の被災として,透析医療に携わるものにとって貴重な教訓となった.2004年10月23日,震度7の地震が新潟県中越地方を襲ったときこの教訓は活かされたであろうか.透析室の被害状況は3病院336名が治療の場を失い,バスなどで他施設へ搬送治療を行い,透析施設の機能は約1週間で復旧した.この直下型地震で被害が最小限に抑えられたのは,地域の透析医の連携で患者移動がスムースにいったことがあげられる.この教訓から都区部での直下型地震に対する災害対策を考えるとき,災害により透析不能となった患者をどこで透析をするのかという,代替施設確保がもっとも中心に据えられる.これに対応するために,2005年,東京都区部災害時透析医療ネットワークが立ち上げられた.この動きを紹介し,人口密集地における直下型地震対策について述べる.(著者抄録)

2007042943
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 災害時の対応 現在 透析室・機械室の環境整備と器材・医薬品のデリバリー 薬剤
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1545-1550(2006.10)
Author:高野淳一(中外製薬 腎領域学術部)
Abstract:大規模災害は情報・通信の混乱と交通渋滞を引き起こす.災害発生直後の医薬品供給はまず通常の納品ルートが主となるが,配送の混乱は避けられない.大規模災害時における医療用医薬品の支援は,通常,厚生労働省から日本製薬団体連合会へ緊急要請が入り日薬連が窓口となって各医薬品製造業者が対応する仕組みになっている.緊急時必要とされる医薬品の在庫は,各卸協同組合や卸売業者が地方自治体と通常のランニングストック内で保有する協定を結んでいる場合がある.透析医療では,災害直後に継続可能なシステム構築が第一優先となり,それらに必要な医薬品・資器材が備蓄,緊急発注の対象となる.災害時は関係者すべての相互協力と理解が必要な状態であり,正確な情報整理によってその供給体制が整備されることとなる.(著者抄録)

2007042942
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 災害時の対応 現在 透析室・機械室の環境整備と器材・医薬品のデリバリー 機器
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1539-1544(2006.10)
Author:木下博(日機装), 會田伸彦
Abstract:地震対策として,最初に透析患者とスタッフの安全の確保があり,透析装置の移動・転倒防止対策が必要である.とくにフロアタイプの透析装置については,その対策に加えて透析患者との距離が離れないようにする対策も必要である.次に透析設備のダメージの最小化があり,すべての透析設備,たとえば機器と接続される配管・配線類のそれぞれに総合的に施す必要がある.機械室設置の機器には転倒防止策を講じ,機器と接続する配管にフレキシビリティをもたせ,配管損傷を防止する.(著者抄録)

2007042940
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 災害時の対応 現在 スタッフの招集と配置、患者連絡の確立
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1525-1532(2006.10)
Author:飛山小夜美(浦河赤十字病院 透析室), 鈴木八重子
Abstract:地震の多い町として知られている北海道浦河町での地震発生時の状況とその対応について述べることとする.十勝沖地震発生時,浦河赤十字病院ではどのようにスタッフが招集され,そのスタッフ配置と役割についてはどのようなものであったのか.また,地域密着型と都市型では患者連絡方法が違うことについて提言する.(著者抄録)

2007042939
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 災害時の対応 現在 検証された対策と今後の問題点
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1517-1524(2006.10)
Author:赤塚東司雄(府中腎クリニック), 山川智之
Abstract:透析医療における災害対策は,1978年宮城県沖地震に始まり,1995年阪神・淡路大震災を経て広域化がはかられた.その後,提唱されてきた対策が検証される機会をもたなかったが,2003年十勝沖地震,2004年新潟県中越地震,2005年福岡県西方沖地震を経験することで多くの検証がなされた.これらの地震の経験から,地域密着型災害は現在の対策で対応可能であることが示された.しかし,今後,首都圏直下型地震などの都市型災害に対する対策は万全ではない.これまでに地域密着型災害対応で有用だった対策(患者監視装置やベッドのキャスター,ROや透析液供給装置の固定,患者のグループ化による情報伝達など)を十分に浸透させることで,減災は可能であると考えている.個々の被害が小さくなることで,総体としての被害量を小さくすることが重要である.それが,都市型災害の特徴である「対応しきれないほど多数の被災者」を,なんとか対応しきれる数に減じることにつながる.(著者抄録)

2007042938
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 災害時の対応 現在 全国的災害情報ネットワーク
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1511-1516(2006.10)
Author:武田稔男(みはま病院), 吉田豊彦
Abstract:災害対策は,施設ごとの危機管理,地域透析施設間や関連組織との連携,行政の支援,情報の共有手段が重要である.(社)日本透析医会では,関連する各組織との情報ネットワークおよびホームページと電子メールを利用した災害情報共有システムを構築し,運営してきた.本ネットワークは,新潟県中越地震においても情報の共有に利用され有用であったと評価している.今後はさらなる周知拡大に加え,コンピュータがなくても情報登録や確認ができるシステム,発災時に施設情報発信を促すシステムなどが必要である.また地域施設間の人的交流は,災害時における円滑な協力体制構築にとって重要である.(著者抄録)

2007042937
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 災害に学ぶ 過去から 2005年福岡県西方沖地震
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1505-1510(2006.10)
Author:隈博政(くま腎クリニック)
Abstract:2005年福岡県西方沖地震に際し,福岡県透析医会は災害時優先電話や災害時優先携帯電話およびe-mailを用い,さらにインターネットで日本透析医会災害情報ネットワークの「災害時情報伝達・集計専用ページ」を利用して,会員の被災状況調査,被災透析施設の支援を行った.患者への一斉連絡にNHKテレビのテロップを利用した.この間,被災状況および支援体制案を会員,日本透析医会など各方面にe-mailを用いてリアルタイムで広報した.この経験から,今後は携帯電話メールの一斉連絡システムが有望と考える.また,県や道州ブロックごとの地域ネットワーク,日本透析医会,日本透析医学会,行政,マスメディアとの連携も重要である.(著者抄録)

2007042936
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 災害に学ぶ 過去から 2004年新潟県中越地震 透析医療の支援について
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1499-1504(2006.10)
Author:青柳竜治(立川メディカルセンター中越診療所)
Abstract:新潟県中越地震では,停電,断水,水処理装置の破損などにより,3施設の血液透析患者約340人の透析治療が不能となった.長岡地区では,透析医が中心となり自主的に患者の受け入れ先を確保し支援体制を整えた.早期に受け入れ先が明確となり,被災地の患者に大きな混乱はなかった.地方自治体,行政,マスコミは情報収集と提供,患者搬送の支援をした.また,日本透析医会災害情報ネットワークは,刻々と変化する情報を被災地内外に提供し支援した.さらに,新潟地区や県外の透析施設では,入院透析患者の受け入れと透析スタッフ派遣を行い,遠方から被災地を支援した.(著者抄録)

2007042935
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 災害に学ぶ 過去から 2004年新潟県中越地震 教訓と対策、およびエコノミークラス症候群への配慮
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1491-1497(2006.10)
Author:鈴木正司(信楽園病院腎センター)
Abstract:大地震では透析治療の継続も困難となり,患者の生命の危機に直結する.新潟県中越地震でも3施設で透析治療が不能となったが,断水,停電,ガス供給停止のほかにも,水処理や透析液作製などの大型装置の移動・転倒も原因であった.しかし近隣および遠隔地の透析施設との連携により,患者の治療は継続できた.そこでは情報収集と発信,広域での情報共有の重要性が明らかとなった.緊急離脱,患者監視装置の固定などに関して従来の発想が否定された.また,新たにエコノミークラス症候群の発症が注目された.(著者抄録)

2007042934
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 災害に学ぶ 過去から 2003年十勝沖地震
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1483-1490(2006.10)
Author:赤塚東司雄(府中腎クリニック)
Abstract:十勝沖地震を解説した.北海道・浦河町は,災害下位文化(disasters subculture)の熟成地域としてその防災能力の高さは都市災害学の世界で高い評価を受けている.その地域で発生した二つの地震(1982年浦河沖地震と2003年十勝沖地震)を対比し考察し,この二つの地震が防災上の意義の大きいものであることを紹介した.また浦河赤十字病院(Urakawa Red Cross Hospital)においては以前から,災害下位文化を習得した職員による実際的で有効な災害対策が行われていた.そのため本来なら壊滅的な被害を受けていておかしくない被災状況を,彼らは自らの手で見事に好転させた.防災レベルの向上によって減災が可能であることが示唆された.(著者抄録)

2007042933
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 災害に学ぶ 過去から 1995年阪神・淡路大震災、2004年台風23号による水害
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1477-1482(2006.10)
Author:森上辰哉(元町HDクリニック), 申曽洙
Abstract:地震災害に対してきわめて脆弱な透析医療に従事するわれわれは,阪神・淡路大震災以降,さまざまな災害対策を学んだ.当時,もっとも利用度の高い電話が繋がりにくく,十分な情報伝達ができなかった.このことから大震災の教訓として,施設-患者間の連絡手段と被災側-支援側のネットワーク構築の重要性が示された.阪神・淡路大震災から10年後,兵庫県内にも大きな被害を与えた台風23号では,兵庫県透析医会が整備した情報ネットワークにより,各地域の担当者がメーリングリストを用いて情報を届けた.その結果,早期に各地域の被害状況が把握でき,それらに対応する準備ができた.今後もわれわれは,経験を生かした災害文化作りに努め,災害に備えなければならない.(著者抄録)

2007042932
医中誌Web
【透析医療における災害対策】 透析医療と災害対策
Source:臨床透析(0910-5808) 22巻11号 Page1467-1475(2006.10)
Author:杉崎弘章(府中腎クリニック)
Abstract:1923年関東大震災後に始まった「防災対策」も,1995年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災),2004年新潟県中越地震,2005年福岡県西方沖地震を経験して,「防災対策」から「減災対策」へ移行しつつある.透析医療を継続するにはさまざまな条件があるにもかかわらず,災害時でも「患者のPreventable Deathをなくす」ために明日の透析治療を継続しなければならない.そうした条件下で,各透析施設の「災害対策マニュアル」は整備され,災害対策の要である「情報システム」も各施設・地域で整備されつつある.そして全国の透析施設を結ぶ災害時ネットワークも日本透析医会が中心となって整備されつつある.新潟県中越地震でその存在が認識され,福岡県西方沖地震で支部・全国のネットワークが見事に役立った.しかし「災害対策は日々進化」している.この稿では,いくつかの問題点と対策について提示する.(著者抄録)

2007041456
医中誌Web
【震災・災害と高齢者】 新潟県中越大震災における要支援・介護高齢者に対する危機管理の実態と課題
Source:老年社会科学(0388-2446) 28巻1号 Page58-65(2006.04)
Author:岡田直人(大阪大谷大学 教育福祉学部), 白澤政和, 橋本力, 朝野英子, 鄭尚海, 堂園裕美, 増田和高, 三谷勇一
Abstract:本研究の目的は、新潟県中越大震災において要支援・介護高齢者がいかに支援を受けたかを明らかにすることで、災害弱者に対する危機管理のあり方についての課題と介護保険制度の成果を明らかにすることである。震災後に行われた質的調査および量的調査の結果、介護保険制度により居宅サービスを利用する要支援・介護高齢者に対しては、ケアマネジャーが1人ひとりにケアプランを作成することで、フォーマルとインフォーマルからなる社会資源のネットワーキングが構築され、災害時には安否確認に駆けつける者が存在するようになり、ケース担当する要支援・介護高齢者の安否確認が速やかに終了していることが明らかとなった。しかしながら、安否確認などを行ったケアマネジャーへの財政的支援に課題があることも明らかとなった。(著者抄録)

2007024972
医中誌Web
【新潟県中越地震】 新潟県中越地震における精神保健医療チームの活動の実態 こころのケアチームのアンケート調査から
Source:トラウマティック・ストレス(1348-0944) 4巻2号 Page135-144(2006.09)
Author:中島聡美(国立精神・神経センター精神保健研究所 成人精神保健部), 金吉晴, 福島昇, 島田恭子
Abstract:2004年10月23日に発生した新潟県中越地震では、全国から多くの精神保健医療チームが派遣され支援活動を行った。その活動の実態を把握するため、派遣されたチームを対象に2005年2月自記式のアンケート調査を行い、86チームから回答を得た。派遣チームの活動は、避難所や在宅被災者への巡回訪問が活動時間全体の約70%を占めていた。また震災後4週間未満に派遣されたチームでは、4週間以降のチームに比べ有意に派遣日数が長く(z=-2.3,p=0.02)、在宅精神疾患患者の診察・相談件数(z=-2.2,p=0.03)、処方箋数(z=-2.2,p=0.03)、他の医療からのコンサルテーション件数(z=-3.8,p<0.01)が多く、抗精神病薬(z=-2.1,p=0.03)および身体疾患治療薬(z=-2.4,p=0.02)の需要が高いなど時期によって活動内容に違いがあることが示された。被災地外部からの精神保健医療活動は、基本的にはアウトリーチ活動が中心であるが、被災後の時期に合わせた柔軟な対応を行うことが必要である。(著者抄録)

2007024971
医中誌Web
【新潟県中越地震】 地元児童精神科医療施設からみた新潟県中越地震
Source:トラウマティック・ストレス(1348-0944) 4巻2号 Page127-134(2006.09)
Author:藤田基(国立病院機構新潟病院 小児科)
Abstract:地元児童精神科医療施設である新潟県立精神医療センターの医師としての視点から、新潟県中越地震について報告した。子どもの心理学的支援に関する行政の対応として、心のケア診療所の特設、電話相談の開設、学校カウンセラーの派遣などが行われた。精神医療センターでの経験から、震災によって一時的に摂食障害が減少すること、広汎性発達障害の子どもの一部で震災による不安症状が強度で、遷延することが示唆された。震災の経験から、災害時に必要な資料のデータベース化や子どもの心理学的支援を災害マニュアルに盛り込むことの必要性を指摘した。(著者抄録)

2007024970
医中誌Web
【新潟県中越地震】 新潟県中越地震における学校現場での臨床心理士によるこころのケア活動
Source:トラウマティック・ストレス(1348-0944) 4巻2号 Page115-125(2006.09)
Author:神村栄一(新潟大学 教育人間科学部), 藤田悠紀子, 五十嵐透子, 宮下敏恵, 小林東
Abstract:新潟県中越地震(2004年10月23日発生)では、震災直後から新潟県から要請を受けた臨床心理士が、小中学生を対象とした"こころのケア"に関わった。それらは、(1)ショックを受けた子どもたちへの対応や、心理教育の進め方についての教職員を対象とした説明会の実施、(2)児童・生徒ととりまく大人たちの心理的状況の継続的な把握と分析、(3)震災後のこころのケアを目的としたカウンセリングの開始と継続(2006年も継続中)からなっていた。これらの活動の経過と成果について、この震災の特徴との関連から論じ、さらに、学校現場への緊急支援と、それに続く臨床心理学的支援としての学校カウンセリング活動のあり方について考察した。(著者抄録)

2007024969
医中誌Web
【新潟県中越地震】 新潟県中越地震における被災者支援について
Source:トラウマティック・ストレス(1348-0944) 4巻2号 Page105-114(2006.09)
Author:福島昇(新潟県精神保健福祉センター)
Abstract:新潟県中越地震後の最初の2ヵ月間においては、日本各地から派遣された、こころのケアチームが精神保健対策の中心として活発に活動した。阪神・淡路大震災から10年を経て、災害時の精神保健福祉対策が大きく前進したことは確かであるが、こころのケアチーム活動のコーディネートや支援者のメンタルヘルスの問題など、あらたな課題が浮かび上がった。被災から1年6ヵ月を過ぎ、被災者の生活には格差が生じつつあり、心の健康への影響が懸念されている。中長期ケアの主体となる市町村のケア体制には、徐々に違いが生じ始めており、広域的な視点における対策の見直しが求められている。今回、中越地震後の精神保健対策を、急性期と中長期ケアに分けて報告するとともに、被災者支援における課題について若干の考察を加えた。(著者抄録)

2007004000
医中誌Web
新潟中越地震発生後1ヵ月半経過時におけるこころのケア活動
Source:臨床精神医学(0300-032X) 35巻4号 Page433-441(2006.04)
Author:熊谷亜紀子(富士病院), 國井泰人, 阿部清孝, 久能紀子, 岩崎稠
Abstract:日本精神科病院協会が開始した支援「こころのケア」チームの,新潟中越地震発生後1ヵ月半経過時における活動を報告した.被災急性期経過後のこころのケアの受容や特徴が明確になった.すなわち,被災者は被災の大変さ,恐怖感,不安感,愚痴を吐露する機会がほとんどなく,より深刻な被害を被った人々に較べれば自分は大したことないと気持ちを抑圧せざるを得なかった.当チームが開催した健康相談会は,カジュアルでオープンな,それでいて専門的アドバイスが受けられる場所となった.当チームは,精神科医師,看護師,臨床心理士,精神保健福祉士各1名づつの計4名で構成されたが,日常の病院診療から離れたフィールドワークを通して,それぞれの役割と協力体制が明確となった

2006321762
医中誌Web
新潟県中越地震における足部外傷
Source:日本足の外科学会雑誌(0916-7927) 27巻2号 Page89-92(2006.05)
Author:家田友樹(JA新潟県厚生連魚沼病院 整形外科), 村山信行, 星野達, 井口傑, 須田康文
Abstract:新潟県中越地震発生から12日間に著者らの施設へ来院した外傷患者453名の受傷内容を分析し,足部外傷を中心に報告した.その結果,1)受傷部位は下肢206例,上肢111例,体幹104例,頭部顔面外傷46例であった.2)下腿より遠位の外傷は139例で,内訳は挫創63例,熱傷21例,打撲21例,骨折18例,捻挫16例,腓骨神経麻痺3例であった.3)骨折の部位は踵骨6例,前足部6例,下腿骨,足関節6例であった.4)施設において震災後4日目までは単純X線撮影ができず,その中で手術の必要性があると思われた症例は,被災をまぬがれた近隣の病院へ転送となった.尚,今回の震災で来院した患者は軽症者が大半であり,病院においてトリアージタッグを使いトリアージを行う必要はなかった

2006314142
医中誌Web
震災によるライフライン寸断時の手術室における災害看護
Source:日本手術医学会誌(1340-8593) 27巻2号 Page135-137(2006.05)
Author:太田智美(東北大学 手術部), 佐藤則子, 赤塚有紀子, 門間典子
Abstract:手術部看護師に対し手術室における災害看護とライフライン寸断時における緊急対応マニュアルを作成し,震災時の診療回復への対応方法を共有した.手術室看護師39例を対象にし,夜間・休日の震災におけるライフライン寸断時の手術室の対応知識を質問するアンケートを行った.手術室経験3年以下(I群)と手術室経験4年以上(II群)に分類した.ライフライン寸断における緊急手術の受け入れ可能かを質問するアンケートに対し,I群では80%,II群では55%が受けられないと回答した.理由は,寸断された医療機器類の機能回復への対応方法が不明と挙げていた回答が大部分を占めた

2006314141
医中誌Web
震災を想定した手術室シミュレーションに関する一考察
Source:日本手術医学会誌(1340-8593) 27巻2号 Page133-135(2006.05)
Author:井上由佳理(日本医科大学附属第二病院 中央手術室), 玉置悦子, 阿久津純子, 横尾香代子, 小河原美代子, 島田洋一
Abstract:手術室内にある防災マニュアルを使用し,平日・日勤帯での大震災を想定したシミュレーションを実施した.震災を想定したシミュレーションを外科医・麻酔科医と行ったことで,患者の安全を根底とした人員の動き,装備,避難路のポイントを理解できた.より現実に即した定期的に避難訓練を行い,マニュアルの改訂もしていく必要が示唆された

2006312951
医中誌Web J-STAGE
震災を契機に発症した重症全結腸型潰瘍性大腸炎の1例
Source:The Kitakanto Medical Journal(1343-2826) 56巻2号 Page149-153(2006.05)
Author:岡部敏夫(小千谷総合病院 外科), 大矢敏裕, 坂本輝彦, 松本広志, 倉林誠, 高橋憲史, 家里裕, 横森忠紘, 竹吉泉, 大和田進, 森下靖雄
Abstract:新潟県中越地震を契機に発症した重症全結腸型潰瘍性大腸炎の1例を経験したので報告する.症例は42歳の女性で,2003年の検診で便潜血が陽性となったが,大腸内視鏡検査では異常なかった.2004年10月23日の新潟県中越地震後より下痢が続いていた.症状が改善しないため近医を受診し,諸治療を受けるも下痢が改善せず,発熱,血便が加わったため,当科紹介となった.大腸内視鏡検査で,直腸から連続する出血を伴った深掘れ潰瘍が判明し,全身症状,血液生化学検査所見から重症全結腸型潰瘍性大腸炎の活動期と診断した.prednisolone静注,5-aminosalicylic acidの内服とgranulocytapheresis(以下,GCAP)で治療を開始した.発熱や腹痛は徐々に改善したが,下血は続き,GCAP 1クール終了した時点の大腸内視鏡検査所見の改善は乏しかった.手術も考慮したが,GCAP2クール目にazathioprineを併用したところ寛解となった.2005年9月より職場に復帰し,現在は通院加療中である(著者抄録)

2006287830
医中誌Web
大規模災害における疾患と医薬品の調査
Source:日本病院薬剤師会雑誌(1341-8815) 42巻8号 Page1059-1062(2006.08)
Author:宮坂善之(湘南鎌倉総合病院 薬剤部), 安武夫, 清水悦子, 小瀬英司, 平川雅章
Abstract:大規模災害発生時,薬剤師は医薬品を迅速,かつ的確に確保・補給する任務を担っている.そのためには必要医薬品とその数量を検討しておかなければならない.そこで,2004年に発生した新潟県中越地震とインドネシア・スマトラ沖地震において用いた診療記録より疾患と処方された医薬品を調査した.今回経験した災害は地震と津波の二次災害であり,被災地が国内と国外で異なっていたが内科的疾患は共通しており,感冒症状,不安・不眠,消化器症状が活動したどの地域においても多かった.また,必要とされた医薬品も大きな違いは認められなかった.この結果を踏まえ,初期先遣隊が被災地へ赴く際に持参すべき医薬品と具体的な数量を検討し,災害初期治療における基本医薬品リストを作成した(著者抄録)

2006285334
医中誌Web
新潟県中越地震における静脈血栓塞栓症 慢性期の問題
Source:Therapeutic Research(0289-8020) 27巻6号 Page982-986(2006.06)
Author:榛沢和彦(新潟大学 大学院呼吸循環外科), 林純一, 土田桂蔵, 斉藤六温, 北島勲
Abstract:地震後約1年経過した2005年9月30日~10月2日に被災経験者278名(長岡市157名,小千谷市121名)に下肢静脈エコー検査を行い,深部静脈血栓症(DVT)の頻度を調査した.長岡市の被災経験者(長岡市群)において被災時に車中泊避難した割合は80.3%,小千谷市群は100%であった.DVT陽性率は長岡市群5.7%,小千谷市群12.4%と後者が有意に高く,車中泊がDVTの発生に影響を及ぼした可能性が示唆された.下肢静脈エコーにおけるヒラメ静脈最大径(以下A)とDVTとの関連について検討したところ,DVT有り群は無し群に比べてAが有意に大きかった.被災経験者のA平均値を対照群(新潟大学病院の看護師59名)と比較したところ被災経験群が有意に大きかった

2006285331
医中誌Web
新潟県中越地震における静脈血栓塞栓症と凝血分子マーカー
Source:Therapeutic Research(0289-8020) 27巻6号 Page971-975(2006.06)
Author:榛沢和彦(新潟大学 大学院呼吸循環外科), 林純一, 土田桂蔵, 北島勲
Abstract:地震2日後の2004年10月25日から11月30日までに長岡市内の医療機関を受診し採血された被災者486名の凍結保存血漿を試料として凝血分子マーカーの測定を行い,避難形態の違い(車中泊・非難所・自宅)による差異と経時的変化について検討した.また,地震6ヵ月後の2005年4月20日から12月20日までに受診した被災者335名に下肢静脈エコー検査を行い,血栓の頻度を調査した.地震直後(7日目まで)のフィブリンモノマーコンプレックス(FMC)値は車中泊群で基準値より高値を示し,また同群は避難所群・自宅群に比べて有意に高値であった.車中泊群について泊数とFMC値の関連を調べたところ3泊以上になると有意に上昇していた.地震直後のD-dimer値は3群とも基準値より低かった.地震1ヵ月後のFMC値は地震直後に比べ車中泊群と避難所群で有意に低下していた.下肢静脈エコー検査の結果,血栓を認めたものは49名(14.6%)と高頻度であり,震災後6ヵ月経過しても影響が残っていることが示唆された.避難形態別で血栓陽性率を比較したところ有意差は認められなかった

2006285320
医中誌Web
被災児童の子どもの行動チェックリスト(CBCL)得点とその養育者の出来事インパクト尺度改訂版(IES-R)得点との関連性について
Source:心的トラウマ研究(1880-2109) 2号 Page63-71(2006.03)
Author:斉藤陽子(兵庫県こころのケアセンター), 堤敦朗, 酒井佐枝子, 後藤豊実, 加藤寛, 中井久夫
Abstract:養育者の外傷反応と子どもの問題行動との関連を検討するため,阪神・淡路大震災の被災地の子どもの心理的影響に関する研究を再分析した.使用した尺度はIES-R,CBCL,CDIである.IES-R及び子どものCDI得点は,CBCLのT得点・内向T得点・外向T得点との間に正の相関を認めた.また,CBCL得点は,CDI得点との相関係数よりもIES-R得点との相関係数において強い関連があった.CBCLは子どもの情緒や行動の問題をとらえる上で有用な尺度であるが,子どもの外傷反応を評価する際は,その報告内容が養育者のPTSD症状と関連する可能性があり,結果の解釈には注意が必要である

2006285315
医中誌Web
運動と喫煙状況から見た被災者の心身の健康 阪神淡路大震災後四年目のデータから
Source:心的トラウマ研究(1880-2109) 2号 Page1-17(2006.03)
Author:後藤豊実(兵庫県こころのケアセンター), 藤井千太, 加藤寛
Abstract:阪神淡路大震災の約4年後の被災者健康調査のデータから,運動と喫煙習慣が被災者の心身の症状と関連しているかを分析した.調査対象とした仮設住宅・災害復興住宅の住民の約半数(7065名)から回答を得た.分析の結果,アルコール依存症以外のすべての症状が女性において重篤度が高かった.アルコール依存症に関しては,性別の違いが重篤度に影響を及ぼすことが確認された.いつも運動をしている人,喫煙習慣のない被災者は比較的心身の症状が少なく,健康であった.喫煙量や運動量そのものより,その習慣の変化が心身症状に関連していることが示唆された

2006282668
医中誌Web
透析室における地震対策(第一報)
Source:臨牀と研究(0021-4965) 83巻5号 Page743-746(2006.05)
Author:原道顯(原内科クリニック), 坂本力也, 澤村啓史, 田添友美
Abstract:透析室における地震対策を目的に,棚置き型コンソールを対象に起震装置による地震実験を行った.その結果,鎖による後方固定は透析中のコンソールの落下防止に十分な効果を発揮したほか,コンソールの底をフェルトのような低摩擦性にすると揺れや騒音が少なく,免震機構として働くことが確認できた.また,こうした免震機構が安全に機能するには,クリアランス(免震機構を作動させるために必要な空間)の確保が重要であることが分かった

2006268894
医中誌Web
スマトラ沖地震津波後のスリランカ南部における飲用水および衛生状況
Source:長崎医学会雑誌(0369-3228) 81巻1号 Page1-4(2006.03)
Author:青柳潔(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科公衆衛生学分野), 吉田雅文, 錦織信幸, 阿部朋子, 國井修
Abstract:スリランカ津波被災地の飲用水と汚物の処理等衛生状況について調査した.スリランカ南部の津波被災地であるAmbalangoda,Galle,Mataraの給水タンク水と井戸水の水質検査およびトイレの設置・管理状況等衛生調査を行った.給水タンクの水は,塩素消毒がなされ概ね細菌学的には良好であった.井戸水は細菌学的汚染と塩分化を認めた.トイレは比較的衛生的に管理されていた.スリランカ政府は適切かつ迅速に安全な飲用水と衛生的なトイレの供給を行った.被災後の下痢症を中心とした急性感染症流行の抑制には,消毒された飲用水および衛生的な住環境の供給が,基本かつ重要であることが示唆された

2006253777
医中誌Web
緊急連絡における情報伝達手段と伝達内容の有効性の検討 新潟県中越地震における学校危機管理の課題
Source:日本災害看護学会誌(1345-0204) 7巻3号 Page55-64(2006.05)
Author:平野美樹子(長岡赤十字看護専門学校)
Abstract:新潟県中越地震で被災した看護専門学校に在籍する学生を対象に,地震発生後の緊急連絡状況についてアンケート調査を実施し,100名より回答を得た(回収率78.7%).学校では,地震発生の翌日と3日目の2回,休校等の緊急連絡を行っており,アンケート調査の結果,発災翌日の緊急連絡では8時間の時点で9割の学生が連絡を受けていたのに対し,発災3日目では同時点で連絡を受けていた学生は約5割のみであることが分かった.これは,発災翌日は休校等の情報とともに学生の安否を確認するため,情報発信元である教職員から直接安否の確認があったのに対し,発災3日目では,連絡網に沿って順次情報伝達が行われたため,発災直後よりも時間を要したと考えた

2006253776
医中誌Web
新潟県中越地震で被災した子どもの健康と看護ニーズ 被災地に派遣された看護師の声から
Source:日本災害看護学会誌(1345-0204) 7巻3号 Page44-54(2006.05)
Author:加固正子(新潟県立看護大学), 井上みゆき, 片田範子, 勝田仁美, 小迫幸恵, 三宅一代, 岡田和美
Abstract:新潟県中越地震で被災した子どもたちの状況の把握などを目的に,被災地に派遣された看護師13名を対象に,研究者らが阪神淡路大震災後に作成した小冊子「被災地で生活するこども達-看護職ができること-」(以下,小冊子)の枠組みを用いて,フォーカスグループインタビューを実施した.その結果,子どもたちの状況は<普段の生活を行おうとする子ども><積極的に自分を生かそうとする子ども><気になる症状がある子ども>の3つに分類でき,小冊子ではこれらの子どもたちへの理解と対処法についても解説していることから,被災地での支援活動に有用であると考えた

2006234112
医中誌Web
大災害時高抗堪性診療ME機器システムの基礎研究 緊急時診療支援機器システムに関する中越大震災避難所診療経験からの考察
Source:電子情報通信学会技術研究報告(MEとバイオサイバネティックス)(0913-5685) 105巻304号 Page1-6(2005.09)
Author:福本一朗(長岡技術科学大学 工学部医用生体工学教室), 織田豊, 佐橋昭
Abstract:2004年は中越大震災やインド洋大津波などの大規模な自然災害に見舞われた年であった.ただ新潟県においては6400名の死者を出した1966年の阪神淡路大震災の教訓を生かせたために,地震の二次被害も少なく,死者が46名に止まったことは不幸中の幸いであった.しかし筆者の避難所救護活動の経験からも,ライフラインの廃絶した孤立都市での医療安全に関しては,ハード・ソフトともにこの10年ほとんど改善が見られなかったと言わざるを得ない.本研究では大災害時における病院・診療所・避難所などにおける医療活動が必要最低限確保できるための医療安全システムに要求されるスペックを考察するとともに,抗堪性の高い医療機器を作り上げるための基礎研究を行うとともに,バイタルサイン計測装置・避難所救急医療電子カルテ装置・診療情報伝送システムなどを開発することを目的とした.本研究はさらには最低限の供給が望まれるessential drugとその常備方法などのハード面および,緊急時医療福祉通信システムや災害時の高齢者福祉システム・医療従事者リクルーティングシステムや緊急時食料・備品の配布システムなどのソフト面に到るまで総合的な大災害時医療安全システムについての調査検討と行政と市民に対する提案に繋がるものである(著者抄録)

2006231786
医中誌Web
【血栓塞栓症のすべて】 新潟県中越地震における深部静脈血栓症
Source:綜合臨床(0371-1900) 55巻7号 Page1813-1816(2006.07)
Author:田中純太(新潟大学医歯学総合病院 第二内科), 榛沢和彦, 鈴木栄一
Abstract:平成16年10月23日17時56分,台風一過の土曜日,新潟県を大きな揺れが襲った.新潟県中越地方を震央とし深さ13kmを震源とする,マグニチュード6.8の平成16年新潟県中越地震(以下中越地震)である.最大震度7は平成7年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)に匹敵し,有感地震は累計961回を超えた.人的被害は死者59名,負傷者4,795名であったが,建造物被害は160,935棟で,避難被災者は最大で103,178名に及んだ.中越地震では,圧死は16名で焼死はなかったが,避難生活に伴う健康被害が目立った.とくに,肺血栓塞栓症(以下PTE),たこつぼ型心筋症は,震災時の健康被害としては,今回特記すべき病態であろう.中山間地を襲った直下型の強い本震と長期余震活動が,多くの被災者に車中泊を含めた長期避難生活を強いることになり,これら病態の背景をなしたとみなせる.本稿では,中越地震におけるPTEと深部静脈血栓症(以下DVT)の実態を報告し,今後preventable deathとして対応が必要なDVT/PTEの予防対策を講じる(著者抄録)

2006221791
医中誌Web
新潟県中越大地震時のインスリン自己注射履行に関する調査 当院通院中の患者について
Source:プラクティス(0289-4947) 23巻3号 Page327-333(2006.05)
Author:丸山陵子(長岡赤十字病院 薬剤部), 田下国夫, 中澤保子, 佐藤正志, 鴨井久司
Abstract:地震以前からインスリン自己注射療法を施行しており,外来受診時のインスリンを受け渡す際に,アンケートを依頼し協力を得ることができた239例を対象とし,震災生活のなかでのインスリン自己注射履行に関するアンケート調査を行った.糖尿病患者教育に災害時の対応を入れる必要があり,インスリン製剤は超速効型や持効型が望ましい.災害時には使い捨てペン型が安全で,災害時に持ち出すための「これだけあれば安心セットケース」が必要であった.避難所でのインスリン供給が必要で,インスリン製剤のわかりやすい名称・識別を希望した.暗くても安全に打てる単位数の表示が可能な蛍光デジタルや,ライトがつく工夫が必要であった.糖尿病患者用の非常食の提供,適切な情報伝達システムの制度化が必要であった

2006217634
医中誌Web
新潟県中越地震における(社)日本透析医会災害情報ネットワークの検証
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 10巻3号 Page280-284(2006.03)
Author:武田稔男(みはま病院)
Abstract:(社)日本透析医会では災害情報ネットワーク(以下情報ネット)を組織して,ホームページ「災害時情報伝達・集計専用ページ」(以下情報伝達サイト)とメーリングリストを運用している.2004年10月23日17時56分,最大震度7の新潟県中越地震が発生し,3つの透析施設が3日から1週間にわたり透析治療不能となったため,被災施設や周辺支援施設の情報伝達と後方支援,CAPD情報伝達などを行った.情報伝達サイトには10,000を超えるアクセスと90を超える施設情報登録があり,メーリングリストには100通を超えるメールが投稿された.しかし,地震発生後2日間における各施設からの自主的な情報登録は新潟県透析施設全体の約20%であった.幸い被災地とその周辺地域の施設間には日ごろから深い交流があり,このことが災害に対しても迅速な連携と対応を可能にした.今回の地震を教訓として,さらなる周知拡大と機能充実を進めたい(著者抄録)

2006204603
医中誌Web
大災害時高抗堪性診療ME機器システムの研究
Source:電子情報通信学会技術研究報告(MEとバイオサイバネティックス)(0913-5685) 106巻81号 Page17-20(2006.05)
Author:佐橋昭(プロジェクトアイ), 内山尚志, 織田豊, 福本一朗
Abstract:2004.10.23の新潟中越大地震において,長岡技術科学大学福本一朗教授は医師として震災救急診療に携わったその貴重な経験から『被災地医療の孤立化を防ぐ救急診療支援システム』の確立が急務であることを強く認識して構想したものである.それは,救急医療活動では不眠不休で多数の被災者を治療しなければならず,その結果治療関連情報の蓄積も出来ず,支援・連携連絡も出来ない状態となった.この状況の中では,バイタルサイン機器,携帯電話等電源・通信網停止で使えず,これに対応する手段,すなわちシステムが不可欠であると思った.本研究は,災害時の救急診療に向く特別な医療機器,通信機器,記録機器,電力供給源を創り,これらと医薬物質等の一式を抗堪性,耐火性,耐水性のキャリーボックスに収納した,いわゆる災害時救急診療支援システムの開発実用化に向けた基礎研究である.災害時の人命救助には是非とも必要で,なんとしても開発・実用化すべきというものであるとの認識の下に,本課題への強い協力の意志を持ち,永年医療・福祉機器の開発に従事してきた経験を基にして企業として当"災害ME研究会"に参画し,基礎研究から着手している(著者抄録)

2006204602
医中誌Web
大災害時診療支援ME機器システムの構築に関する基礎研究 災害時バイタルサイン計測機器における必要条件の検討
Source:電子情報通信学会技術研究報告(MEとバイオサイバネティックス)(0913-5685) 106巻81号 Page13-16(2006.05)
Author:川畑諒一(長岡技術科学大学 災害時ME研究会), 織田豊, 寺島正二郎, 鈴木仁, 佐橋昭, 内山尚志, 福本一朗
Abstract:2004年は中越地震やインド洋沖大津波など大規模自然災害に見舞われた年であった.中越地震では,1995年の5000人以上の犠牲者を出した阪神淡路大震災の教訓を活かせたために,地震による二次災害も少なく,犠牲者が51名程度となっている.このような大規模自然災害が起きた場合,ライフラインも途絶え,通常診療機器やカルテなども使用不可能な状況になると考えられ,現場の医師は緊急診療を実施しなければならない.本研究では,大規模自然災害等においても血圧・体温・脈拍などの最低限のバイタルサインを簡易に計測・記憶・伝送が行え,なおかつ堅牢性,操作性等を備えている機器の開発が必要であることから,まず災害時におけるバイタルサイン計測機器に着目し,数種類の血圧計を対象とした基本的性能試験を行った.その結果を踏まえた上で,災害時バイタルサイン計測機器における必要条件の検討を行うことを目的とし,本研究を基礎としてessential drugとその常備方法などのハード面および,緊急時医療通信システムなどのソフト面を網羅する総合的な災害時医療支援システム及び機器の開発をその最終目的とする(著者抄録)

2006201820
医中誌Web
地震災害時の病診連携 宮城県北部地震での教訓
Source:日本呼吸管理学会誌(0916-9253) 15巻3号 Page351-356(2006.04)
Author:米谷則美(米谷医院)
Abstract:平成15年7月26日,宮城県北部を震源とするマグニチュード6.4,最大震度6強の直下型地震が発生した.震源地に近く壊滅的な被害を受けた鹿島台町立病院と地域基幹病院である古川市立病院との間の医療情報の交換は,人海戦術に頼らざるをえなかった.今回の事象を振り返り,地震災害時の望ましい情報通信網のありかたについて考察した(著者抄録)

2006201819
医中誌Web
大震災時の司令塔としての保健所
Source:日本呼吸管理学会誌(0916-9253) 15巻3号 Page348-350(2006.04)
Author:石井昌生(神戸市健康づくりセンター 健康ライフプラザ)
Abstract:大震災時保健所の役割を東灘保健所での経験を基にまとめた.早く現場に行き刻々と変わる状況に対応するため,保健所が中心になり,福祉事務所・医師会・歯科医師会・薬剤師会やボランティアの活用を図った.自分の住む町を守る心,平時の心構え,小学校区の大切さ,保健福祉の統合への必然性が理解できた(著者抄録)

2006201818
医中誌Web
阪神淡路大震災の教訓 在宅酸素療法患者の安否確認とその対応マニュアルの作成と地域に適した対策を
Source:日本呼吸管理学会誌(0916-9253) 15巻3号 Page345-347(2006.04)
Author:山本昌司(神戸協同病院)
Abstract:平成7年1月17日に起こった阪神・淡路大震災は,われわれ医療機関に働く者,特に在宅医療に携わる者にとって数多くの教訓を残した.震災当時のHOT患者は29名(内,気管切開によるHMV1名)おり,安否確認と酸素の供給,職員による自宅訪問,避難所の往診・訪問,ボランティアによる患者訪問,来院患者からの情報提供,地域開業医との情報交換,酸素納入業者への依頼などの役割が大きかった.今後の対策はどのようにすべきか,当院の経験から患者データの整理(個人情報保護法の問題はあるが),酸素供給方法の問題,行政機関への働きかけ,マスメディアへの対応,地域医療機関との連携,ネットワーク作りなど,いつ災害が起こってもおかしくない現在,日常的にこれらのことを気にかけておく必要性を提案する(著者抄録)

2006201817
医中誌Web
災害時の緊急対応 HOTプロバイダーの役割(新潟県中越地震)
Source:日本呼吸管理学会誌(0916-9253) 15巻3号 Page339-344(2006.04)
Author:大山幸雄(帝人在宅医療東日本), 伊藤史, 今井弘子, 酒井章, 大橋悦夫, 大谷昌伸, 菅原重光
Abstract:平成16年10月23日夕刻発生した新潟県中越地震は震度7の強震に加え,その後断続的に大きな余震が多数続き被害が甚大となった.在宅酸素療法患者(以下HOT患者)をフォローする酸素供給会社はただちに緊急体制を布き,患者の安否確認を行うとともに,その状況に応じた酸素ボンベのすみやかな供給および関係先への連絡を実施した.大規模な災害の場合,現地は通常の機能を果たすのが困難な状態に陥るため,近隣からの速やかかつ組織的な応援協力体制が必要になる.われわれは,阪神・淡路大震災を契機に災害発生時の初動,指揮命令系統,酸素供給機器の備蓄方法等について組織を挙げて取り組んできた.本稿では新潟県中越地震における緊急対応,特にHOT患者への対応と今後の課題について,酸素供給業者の立場から報告する(著者抄録)

2006201816
医中誌Web
中越地震被災病院の患者に対応した病院からの報告
Source:日本呼吸管理学会誌(0916-9253) 15巻3号 Page334-338(2006.04)
Author:岩島明(新潟県厚生農業協同組合連合会長岡中央綜合病院 呼吸器病センター内科)
Abstract:新潟県中越震災で「被災しつつも診療が継続でき」「被災病院からの患者に対応した病院」としての立場で果たした診療の役割を述べ,さらに災害時のネットワークおよび医療資源の再分配について振り返る.さらに,縦割りの組織の弊害を受けないような災害時在宅酸素療法のネットワーク構築の提案について述べる(著者抄録)

2006201815
医中誌Web
中越地震での十日町病院の状況報告
Source:日本呼吸管理学会誌(0916-9253) 15巻3号 Page328-333(2006.04)
Author:山口征吾(新潟県立十日町病院 内科)
Abstract:直後の状況:病院機能は大きく低下したが,外傷を中心とする患者が多数来院.酸素濃縮機の使えなくなった患者も多かった.入院患者の大部分を屋外へ避難させた.数日後:大部分の患者を転院させた.安全な部屋を簡易病室にした.救護活動:避難所の巡回や予防接種を行い,救護所を設置した.問題点:情報処理,患者の搬送,連携など今後の課題が残った(著者抄録)

2006183110
医中誌Web
地震被災者の心情に関する分析 記録「震度7」を題材に
Source:新潟大学医学部保健学科紀要(1345-2576) 8巻2号 Page23-30(2006.03)
Author:上野公子(新潟大学 医学部保健学科看護学専攻), 兵頭慶子
Abstract:新潟県中越地震の体験記録「震度7新潟県中越地震を忘れない」を題材にして,被災者の心情とその様相を分析した.総数71のデータから一人の被災者の心情として「混乱」「衝撃」「恐怖」などの13個の様相が明らかとなった.これらの心情が表現された時期をみると,「混乱」「衝撃」「恐怖」は被災直後から見られ,その後それらは一旦消失し,地震に伴い変化した状況を目の当たりにした時点で再び表現されていた.「あきらめ」「怒り」「解放」は被災初期にみられたのみであった.「心配」は被災3日目から見られ,その後も続いた.「諭旨」「期待」「受容」は被災1ヵ月後の被災者との会話や地震前と変わらない自然に触れた際に表現されていた

2006157658
医中誌Web
イラン・バムにおける保健医療復興支援活動
Source:国際保健医療(0917-6543) 20巻2号 Page44-51(2005.12)
Author:矢野和美(災害人道医療支援会), 石井美恵子, 林晴実, 弘中陽子, 鵜飼卓
Abstract:2003年12月26日イラン南東部バム市で起きた地震災害から8ヵ月経過した現地での保健復興支援活動を報告する.NPO HuMAは,復興が遅れているZone5のヘルスセンターに仮設施設,医療機材を提供するとともに震災8ヵ月後の医療状況を調査した(著者抄録)

2006151409
医中誌Web
インドネシア国際緊急医療援助隊活動報告 バンダアチェ市ラマラ地区診療所の診療記録の分析
Source:自衛隊札幌病院研究年報(0915-0579) 45巻 Page33-40(2005.12)
Author:宮本寛知(自衛隊札幌病院), 小野健一郎, 田村泰治, 小林恵輔, 横部旬哉, 木村暁史, 森田充浩, 加來浩器
Abstract:2005年1月23日~2月26日に,バンダアチェ市バンダラヤ郡ラマラ地区に開設した診療所においてインドネシア国際緊急医療援助隊(本隊)の自衛隊医官が診療した現地患者のうち,診療記録で確認できた延べ3855名に対する本隊の診療活動について分析した.受診患者数は1日あたり平均165名(うち初診126名),そのうち応急医療チームでは平均123名,本隊合流後は平均180名であった.性別は男58%,女42%,平均年齢は34.6歳,受診回数は平均1.3回で,1回と2回で受診患者全体の95%を占めた.津波被害を直接受けた人は,初診患者では24%,再診を含む延べ患者では32%を占めた.居住スタイルは,自宅が47%,親戚の家が36%,キャンプが14%であった.受診患者の居住地域の分布は,ラマラ地区の属するバンダラヤ郡が42%,市外が30%を占め,その他の郡は各々7%以下であった

2006150127
医中誌Web J-STAGE
鳥取県西部地震と成人の喘息悪化(The Tottori-Ken Seibu earthquake and exacerbation of asthma in adults)
Source:The Journal of Medical Investigation(1343-1420) 52巻1~2号 Page80-84(2005.02)
Author:TomitaKatsuyuki(鳥取大学 医学部分子制御内科学分野), HasegawaYasuyuki, WatanabeMasanari, SanoHiroyuki, HitsudaYutaka, ShimizuEhiji
Abstract:地震による喘息が悪化する危険性のある患者の特徴を明らかにし,地震後の喘息悪化予測因子を同定する目的で,鳥取県西部地震発生の1年以上前から鳥取大学病院に通院中であった喘息患者156例(18-89歳)を対象に,喘息症状とPEF(最大呼気流量)を記録し,後向きコホート研究分析を行った.17例(11%)が地震後1ヵ月以内に症状の悪化を来たし,これらの地震後1ヵ月の日中の最大呼気流量(PEF)変動を1年前の同時期と比較した.症例記録を基に症状悪化に関連する因子を同定しその寄与率を多変量解析により検討した結果,気流制限(airflow limitation)が地震後の悪化に関連する独立因子であった.急性喘息発作は地震後1週間以内に,日中のPEF変動を伴わずに起こる可能性が高いことが示された.地震後は喘息が悪化しやすいと思われる

2006148607
医中誌Web
災害医療の実情と展望 新潟県中越地震の経験から こころのケア対策
Source:新潟医学会雑誌(0029-0440) 120巻1号 Page20-24(2006.01)
Author:塩入俊樹(新潟大学 大学院医歯学総合研究科精神医学分野)
Abstract:本稿では,シンポジウム「災害医療の実情と展望:新潟中越地震の経験から」の中で,新潟大学精神科(以下,当科)が行った「こころのケア対策」について述べる.地震発生の翌24日,当科の染矢教授と新潟県福祉健康部健康対策課とで協議が行われ,被災地での精神科医療の一元化を図るために「こころのケアチーム」を編成し,それによる統制のとれた支援を行うことが決定された.更に同日には,精神保健福祉センターに「こころのケアホットライン」を開設.翌25日,当科と県立精神医療センターを中心に「こころのケアチーム」が編成され,我々のチームは情報収集を行いつつ,26日に現地入りした.当科の「こころのケアチーム」の活動エリアは長岡市の山古志村避難所で,当初は小千谷市も担当した.活動内容としては,各避難所を巡回・診療と,広報活動である.また,人口の多い小千谷市では,精神医療センターと協力し"こころのケア診療所"を開設した.山古志村の各避難所においては,延べ193件(93名)の巡回診察を行い,継続治療が必要な方は全て紹介状を作成して地域の医療機関での通院をして頂いている.主訴としては,不眠が一番多く,余震に対する過度の不安,食欲不振,抑うつなどもみられた.12月に入ると,被災者の方々が徐々に仮設住宅に移られ,新たな生活が始まった.この時点で災害時精神科初期医療はほぼその目的を終え,今後は中長期的な「こころのケア」を考えていく必要がある.そこで,我々新潟大学精神科では,以下の4つのケアプランを立て,村民の皆さんの負担にならないよう十分配慮し,かつ健康対策課とも密に連携しながら実践する予定である(著者抄録)

2006148606
医中誌Web
災害医療の実情と展望 新潟県中越地震の経験から 新潟中越地震災害医療報告 下肢静脈エコー診療結果
Source:新潟医学会雑誌(0029-0440) 120巻1号 Page14-20(2006.01)
Author:榛沢和彦(新潟大学 大学院呼吸循環外科学分野), 林純一, 大橋さとみ, 本多忠幸, 遠藤祐, 坂井邦彦, 井口清太郎, 中山秀章, 田中純太, 成田一衛, 下条文武, 鈴木和夫, 斉藤六温, 土田桂蔵, 北島勲
Abstract:新潟中越地震の車中泊では地震による心的ストレス,窮屈な下肢屈曲姿勢,そして脱水により下肢深部静脈に血栓が発生しエコノミークラス症候群(肺塞栓症)が多発した.10/31,11/3,11/7には厚生連佐久総合病院の診療チームと計69名(男性4名)にポータブルエコーで,11/15から12/20までは厚生連魚沼病院に通常のエコー装置を設置しマスコミを通じて呼びかけ82名(男性13名)に下肢静脈エコー検査施行した.2005/2/28から3/31まで再度魚沼病院で検査した方を対象に再度下肢静脈エコーを行った.10/31-11/7に検査した69名中車中泊経験者は60名で,8名にヒラメ静脈浮遊血栓(そのうち1名はCTで肺塞栓症を認めた),14名に壁在血栓を認め,血栓陽性例は全員車中3泊以上であった.11/15-12/20の検査では車中泊は66名(6名は30日以上連泊),そのうち60名が下肢の疼痛や腫脹を訴えヒラメ静脈の充満血栓1名,9名で壁在血栓を含めた血栓を認め,血栓陽性例は全員震災直後から車中4泊以上であった.血栓陽性率は震災後からの経過時間とともに低下し12/20では10%であったが2/28から3/31の診療結果では新たな血栓も認め血栓陽性率は21.9%と上昇を認めた.11/7までの下肢静脈エコーにおける車中泊者のヒラメ筋最大静脈径は8.8±2.5mm(車中泊経験の無いヒラメ筋最大静脈径7.1±2.0mm)より有意に大(n=55,p<0.05),また血栓を認めた被災者のヒラメ静脈最大径10.0±2.6mmで血栓の無い被災者(7.5±4.4mm)より有意に大であった(n=67,p<0.0001).本診療調査により大災害時における車中泊は急性期に肺・静脈血栓塞栓症を起こすだけでなく,静脈の損傷により慢性期に反復性の血栓を生じて血栓後症候群になる危険性も大であることが示唆された(著者抄録)

2006148605
医中誌Web
災害医療の実情と展望 新潟県中越地震の経験から 新潟県中越地震の医療支援
Source:新潟医学会雑誌(0029-0440) 120巻1号 Page11-13(2006.01)
Author:丸山弘樹(新潟大学医歯学総合病院 第二内科), 下条文武
Abstract:平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震で新潟県立十日町病院,新潟県立松代病院,新潟県立小出病院,新潟県立六日町病院が被災しました.10月26日から11月4日まで,第一内科,第二内科,第三内科,神経内科の4内科のボランティア医師で構成された医療チームは,これらの県立病院の医療支援をさせていただきました.この経験で得られたこと,明らかにできた課題の解決を通して,院外への医療救護班の派遣活動の質を高めることができると考えられました(著者抄録)

2006148604
医中誌Web
災害医療の実情と展望 新潟県中越地震の経験から 新潟県中越地震に対する医歯学総合病院の医療支援
Source:新潟医学会雑誌(0029-0440) 120巻1号 Page6-10(2006.01)
Author:下条文武(新潟大学医歯学総合病院)
Abstract:新潟県中越地震(H16.10.23)に見舞われた新潟県は,山間地域の大規模自然災害としての未曾有の被害を被った.容赦なく続く余震のなか,新潟大学医歯学総合病院のスタッフは被災した医療機関ならびに被災者への医療支援活動を開始した.被災地へのアクセスや医療班の二次災害など多くの問題を抱えながらの最大限の活動を行った.しかし,多くの課題も浮き彫りにされた.この度の支援活動を通して学んだ教訓は,今後の大規模災害医療に役立つものと考える(著者抄録)

2006148603
医中誌Web
災害医療の実情と展望 新潟県中越地震の経験から 中越地震における新潟大学整形外科の対応
Source:新潟医学会雑誌(0029-0440) 120巻1号 Page2-6(2006.01)
Author:荒井勝光(新潟大学 大学院整形外科学分野), 遠藤直人
Abstract:2004年10月23日(土曜日)に発生した中越地震に対し,新潟大学整形外科は発生早期から対応に当たった.まず,医歯学総合病院の整形外科病棟入院患者の異常がないこと,医局員の安否に問題ないことを確認した.また当科の方針として,第一線で救急対応に当たる中越地区の整形外科医を応援することとした.一方で医歯学総合病院には活用できる対応マニュアルがないとのことから,当科単独で早急に情報を集めることとした.しかし,電話が通じない病院が多く,地震当日は,小千谷病院,長岡中央病院,立川病院と連絡が取れなかった.新潟県の福祉保健部とも相談したが,道路状況等不明な点が多く2次災害の危険性もあり,残念ながら当日は応援には行くことを断念した.翌日(10月24日,日曜日)は,中越地方の各病院だけでなく県庁の福祉保健部や病院局とも連絡を取り,被害状況だけでなく移動手段等の情報を集めた.公用車を提供していただき,計13名の整形外科医が,小千谷,十日町,長岡日赤,長岡中央,立川病院に応援に出かけ,第一線で救急対応に当たった.十日町病院には陸路では到達できず,最終的にはヘリコプターで移動した.中越地区の整形外科医は自らが被災者であるにもかかわらず,献身的な医療を行っており,そこに連絡を密にして人的な応援ができたことは,非常に有意義であったと感じている.発生後6日間にわたり,昼夜にわたり応援を行った.また当科の初期対応のノウハウ,各地域の情報を,院長ならびに医歯学総合病院へ提供することで,病院としての対応,各科の対応の一助となったものと確信している(著者抄録)

2006105039
医中誌Web
震災にむけた安全対策へのとりくみ
Source:古川市立病院誌(1343-0262) 9巻1号 Page37-39(2005.12)
Author:小野恵(古川市立病院), 近藤裕美, 鈴木昭子, 村上紀代恵, 鈴木恵, 大庭正敏
Abstract:救急病棟看護スタッフ50名を対象に,地震発生時の危険箇所についてのアンケート調査を実施し,耐震対策と意識変化について検討した.その結果,薬品棚では,アンプル類は箱に入れたまましまい,引出しは奥まで押し込み,籠の下に滑り止めマットを置き,重いものを下の方へ設置した.又,物品棚では,滑り止めマット使用,硝子扉への飛散防止フィルムと重いものは下へ設置した.薬品棚及び物品棚共に改善すべきとの回答はなく,全例で良好な回答が得られた

2006099527
医中誌Web
新潟県中越大震災・東京都こころのケア医療救護チームの活動と学び 災害時初期精神保健医療活動のあり方
Source:日本社会精神医学会雑誌(0919-1372) 14巻3号 Page295-305(2006.02)
Author:菅原誠(東京都立中部総合精神保健福祉センター), 福田達矢, 坂井俊之, 平井茂夫, 熊谷直樹, 野津眞, 川関和俊
Abstract:2004年10月23日17時56分に発生した新潟県中越大震災被災地に対する災害時地域精神保健医療活動の目的で,同年10月28日~11月11日まで新潟県堀之内町地域(現魚沼市)にて活動した.避難所での巡回診療に加えて,ニーズの変化に応えて居宅訪問診療,避難所での夜間および休日診療所開設,リエゾン診療などを行った.期間中に対象地域の被災者101人に対して,延べ182件の診察を行った.このうち震災を心因とした急性ストレス反応と診断された事例は26例あった.また,地域精神保健活動への支援として延べ136件の事例検討,助言を行った.ほかに学校に対する支援として,医師による教職員対象にストレス関連障害の研修,被災教職員への個別診察,被災生徒のこころのケアに関する助言を行った.今回の活動の中から, 1)現地の状態に合わせた柔軟な支援を常に考慮した活動をすること, 2)被災地での精神保健活動の要として連携システムを築き,撤退後を見据えた行動をすること, 3)チームの日常的な活動水準以上の働きは災害時にできない, 4)現地被災職員へのメンタルヘルス対策, 5)平時にしておくべきこと,等の学びと課題が得られた(著者抄録)

2006099525
医中誌Web
スマトラ島沖地震を事例とした国際緊急支援における精神保健の取り組みに関する研究
Source:日本社会精神医学会雑誌(0919-1372) 14巻3号 Page259-270(2006.02)
Author:柾本伸悦(広島大学 大学院国際協力研究科教育文化専攻・博士課程後期)
Abstract:本研究の目的は,国際緊急支援における精神保健の特徴と今後の課題を明らかにすることである.その目的を達成するために,まず,日本と海外で実施された災害時の国内での精神保健支援事業の方針や活動内容を整理し,総括した.次に,2004年12月に起きたスマトラ島沖地震・津波被害に対するWHOの支援を事例として,国際緊急支援の方針や活動内容を明らかにした.そして最終的には,国内支援と国際支援の活動内容の比較をし,そこから国際支援の特徴は, 1)被災者や救援者に対する直接的な支援が少ないこと, 2)被災地域社会・避難民全体の支援を積極的に実施しようとしていること, 3)政策やシステム構築に多くの支援がされていることであるとした.さらに,今後の国際支援における精神保健分野の課題や方向性を,被災者,救援者,保健省や他の精神病院等,対策・システム,調査・研究という5つの視点から述べた(著者抄録)

2006093229
医中誌Web
医療救護班における看護師の活動の実態と課題 新潟県中越地震に医療救護班として派遣された看護師への調査から
Source:石川看護雑誌(1349-0664) 3巻1号 Page29-36(2005.08)
Author:水島ゆかり(石川県立看護大学), 林一美
Abstract:新潟県中越地震に医療救護班として派遣された看護師の活動の実態を明らかにすることを目的に,I県から派遣された看護師を対象にアンケート調査を実施し,27名(うち,女性24名.25~57歳,平均年齢42.2±8.7歳)より回答を得た(回収率77.1%).その結果,医療救護班として平均3.0±0.6日間,長岡市などの避難所で巡回または外来にて活動を行っており,対応した患者の健康問題は慢性疾患が多く,援助の内容は診療の補助・精神面への援助・状況把握などであった

2006093228
医中誌Web
医療救護班派遣に関する看護管理者の支援活動 新潟県中越地震に医療救護班を派遣した看護管理者への調査から
Source:石川看護雑誌(1349-0664) 3巻1号 Page21-27(2005.08)
Author:林一美(石川県立看護大学), 水島ゆかり
Abstract:新潟県中越地震に医療救護班を派遣した国公立病院の看護管理者が行った医療救護班への支援を明らかにすることを目的にアンケート調査を実施し,10名(83%)の看護管理者より回答を得た.その結果,看護管理者が医療救護班に対して行っていた支援は,派遣前には「活動に必要な物品の提供や勤務調整」「救護班参加の看護職員の激励」,派遣中は「活動中の看護職員と直接連絡を取り合う」支援,派遣後は「労をねぎらう」「活動内容をよく聞く」といった支援を行っていたことが分かった

2006062683
医中誌Web
宮城県北部地震と血圧変動 在宅患者における認知障害と地震時の血圧上昇との関連
Source:分子精神医学(1345-9082) 5巻4号 Page494-495(2005.10)
Author:角田浩(公立黒川病院 内科), 内海厚, 本郷道夫
Abstract:在宅患者での宮城県北部地震のストレスによる血圧変動の影響と,認知症がそれにどう影響するかを検討するため,要介護の在宅患者25名を対象に調査を実施した.その結果,収縮期血圧は認知症(-)群で,地震後1週以内の血圧は地震の前の週の血圧に比べ高かった.認知症(+)群では血圧が上昇する傾向はみられなかった.拡張期血圧は認知症(-)群で上昇する傾向があり,認知症(+)群では収縮期血圧と同様に上昇傾向は認めなかった.つまり,震災ストレスによる血圧上昇反応は,在宅患者におても認知機能が保たれている症例では,高血圧患者と同様に認められた

2006062682
医中誌Web
中越地震による血圧変動
Source:分子精神医学(1345-9082) 5巻4号 Page490-493(2005.10)
Author:江部佑輔(新潟大学 大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座(旧第2内科)), 村松芳幸, 江部達夫, 下条文武
Abstract:中越地震被災者125名(男性45名,女性80名,平均73.9歳)において,地震の前後で実際に血圧の変動が見られるか,血圧変動の経過と心身症状の関連性について評価を試みた.その結果,長期間血圧上昇が持続した症例があり,特に男性では遅発性の血圧症状傾向が認められた.震災前年度の同時期血圧と比べても有意に震災直後の血圧は高い値を示し,1ヵ月後に改善していた.さらに男性では3ヵ月の血圧においても,前年度2月の血圧に比べて高い値を示した.このことは地震自体が血圧上昇のストレッサーであることを示している.血圧にかかわる他の要因として,中越地震は余震が長期間にわたり持続したことや,震災後から冬場に入ったことで季節変動や大雪などのストレスが影響した可能性も否定できない

2006050849
医中誌Web
当院の災害時対応を見直して
Source:長野県透析研究会誌(1346-0005) 28巻1号 Page10-12(2005.10)
Author:伊藤江美(諏訪赤十字病院 臨床工学技術課), 栗原広兼, 丸山朋康, 宮川宣之, 奥山隆之, 今井美雪, 笠原寛
Abstract:地震被災時に透析スタッフがスムーズに対応できるようにするためのマニュアルを作成した.内容は「状況判断」,「返血順序」,「避難時の役割」,「避難経路」の4章で構成した.「状況判断」では,状況に応じて「何も行わない」,「返血を行い待機」,「返血を行い避難」,「緊急離脱して避難」の中から一つ選択するようにした.「返血順序」では介助・誘導に人手のかからない患者から返血を行うこととした.「避難時の役割」では,各勤務帯によってスタッフの数が違うため「午前」・「午後」・「夜間」に分けて作成した.このマニュアルをスタッフ18名に熟読してもらい,理解できたかアンケート調査したところ,どの章についても7割以上の人が「理解できた」と回答した

2006036331
医中誌Web
災害・大事故に対する安全対策について 神戸地区と南大阪地区でのアンケート調査より
Source:大阪透析研究会会誌(0912-6937) 23巻2号 Page129-133(2005.09)
Author:奥山彰広(清恵会病院 臨床工学科), 今田聰雄, 長谷川廣文
Abstract:阪神・淡路大震災で透析関連装置の転倒破損を経験し,ライフラインの切断により長期停止を余儀なくされた神戸地区と,被災経験のない南大阪地区の透析施設を対象に,災害や事故に関する内容と,安全対策への取り組みについてアンケート調査を行なった.神戸地区24施設,南大阪地区43施設から回答が得られ,これを分析した結果,神戸地区では被災後,建物の補強,水関連設備・電気関連設備への対策,装置の固定強化等が,多くの施設で行われていた.南大阪地区では災害対策への施行率は低かったが,何らかの原因で装置が停止した際の対策やバックアップ機構は神戸地区と同等に行われていた.防災対策の会議やマニュアル作成,スタッフへの防災教育は内容に差はあったが,ほとんどの施設が実践していた.しかし,防災対策に対するスタッフの不安は大きく,安全に対して37%が不満をもっていた.また,緊急事態ではスタッフの人数ではなく,スタッフの熟練度が安全対策に大きく寄与していると考えられていた

2006014142
医中誌Web
地震を想定した大規模防災訓練に救護者役として参加した看護学生の体験
Source:日本看護学会論文集: 看護教育(1347-8265) 35号 Page30-32(2005.01)
Author:今枝博美(刈谷看護専門学校), 目秦賢子, 西谷千恵, 飛永眞由美
Abstract:地震を想定した大規模防災訓練に救護者役として参加した看護学生4名(3年課程看護専門学校2年生)の体験を明らかにすることを目的に,半構成的面接を実施した.その結果,以下の8つのカテゴリーが抽出された.1)貴重な体験ながらも,救護者役になることが不安.2)動揺し,何もできず,指示どおり救護活動をする.3)救護活動に慣れ,自分の判断で救護活動をする.4)負傷者の立場になって考える.5)自分の未熟さを感じるとともに,医療従事者にあこがれる.6)訓練の一般参加者として,災害に対する考えが深まる.7)看護学生として,災害看護に対する理解が深まる.8)看護の意義に気づき,学習の意味を見出す

2006014141
医中誌Web
地震を想定した大規模防災訓練に負傷者役として参加した看護学生の体験
Source:日本看護学会論文集: 看護教育(1347-8265) 35号 Page27-29(2005.01)
Author:飛永眞由美(刈谷看護専門学校), 西谷千恵, 今枝博美, 目秦賢子
Abstract:地震を想定した大規模防災訓練に負傷者役として参加した看護学生11名(3年課程看護専門学校1年生)の体験を明らかにすることを目的に,半構成的面接を実施した.その結果,以下の8つのカテゴリーが抽出された.1)負傷者役をすることに意義があると考え,希望する.2)大規模防災訓練での負傷者役にとまどいながらも役割を果たす.3)負傷者が抱くさまざまな思い-不安,いらだち,不信感,安心,救護者に対する信頼と安心-を抱いている.4)他者に何かしたいという気持ちとともに,自分の未熟さを感じる.5)看護される側の気持ちを理解できる負傷者体験の意義を再認識する.6)災害時の看護に対する興味・関心・理解が深まる.7)看護の価値,なりたい看護師像を見出し,看護師になりたい思いが強まる.8)大規模防災訓練にとまどいながらも,訓練の意義を見出す

2005233208
医中誌Web
手術室における地震防災マニュアルの検討
Source:日本手術医学会誌(1340-8593) 26巻1号 Page16-18(2005.02)
Author:増田さかゑ(静岡赤十字病院 中央手術室), 山本真実, 成岡靖子, 佐野千史, 金田徹
Abstract:手術中の大地震発生を想定したシミュレーションを施行し,以前に作成されたマニュアルと比較検討したところ,指揮命令系統の対策がたてられておらず,マンパワー不足の術中対策がなく,設備損壊に対する対応策がないことが分かった.これらを踏まえ,マニュアルの改善を以下の如く行った.病棟・手術室内の状況把握は師長が行いそれを伝達する.手術中の患者に対しては主治医.麻酔科医の指示に従い,患者を安全にリカバリールームに搬送する.外回り看護師の役割が多すぎるため優先順位を明確に記載する.ガーゼ・機械のカウントが不可能な状況では目視で可能な範囲行い,閉創後安全が確保された時点でX-Pで確認する.夜間および使用していない部屋は常にドアを開閉する

2005175526
医中誌Web
Kオストミークラブ会員における東海大地震への対策
Source:日本創傷・オストミー・失禁ケア研究会誌(1344-3771) 8巻2号 Page9-13(2004.12)
Author:竹井留美(名古屋大学 大学院医学系研究科修士課程), 前川厚子, 井口弘子, 神里みどり, 吉川由利子, 安藤詳子, 渡邉憲子, 作間久美, 平井孝, 中里博昭
Abstract:愛知県下の病院でストーマ手術を受けた患者が中心となり設立されたKオストミークラブの会員302名に無記名自記式のアンケートを行い,大震災に対する準備状況を調査した.なんらかの準備をしている人の割合は71.1%であった.準備の内容別では,「ストーマ装具と物品」52.1%,「装具商品名のメモ」39.8%,「緊急連絡先・病院・身体障害者手帳番号のメモ」33.6%で,これら全てを準備しているのは20.4%であった.自由記載の内容を分析したところ以下の4カテゴリーに分類することができた.1)非常用持ち出し袋の準備,2)2週間以上の装具の備蓄,3)分散保管,4)寝室に保管

2005165277
医中誌Web
薬剤師が貰った新潟県中越地震からのメッセージ
Source:医薬ジャーナル(0287-4741) 41巻6号 Page1563-1565(2005.06)
Author:佐藤博(新潟大学医歯学総合病院 薬剤部)
Abstract:昨年暮れに起き,約30万人という史上空前の死者を出したスマトラ沖地震津波の影に,やや隠れた感がある新潟県中越地震ではあるが,直下型の大被害を被災地に及ぼしたことはご記憶のことと思う.今でも住民が避難生活を余儀なくされるというあの地震直後の異常事態の中,地元の医療機関の一員として,病院薬剤師が災害派遣医療チームに関わる過程での数多くの問題に遭遇した.災害対策マニュアルの無力さ,組織より個人による行動の重要性,重厚な支援より迅速な支援の大切さ,地域医療との調和,医薬分業の綻びなど,通常の医療活動では得難い数多くのメッセージを今回の地震は我々に与えてくれた.この事例を十分に吟味することで,今後あるべき医療人としての薬剤師の姿を考える反面教師としたい(著者抄録)

2005080047
医中誌Web
宮城県北部連続地震における災害の概要と現地医療機関の連携
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 9巻1号 Page57-64(2004.09)
Author:大庭正敏(古川市立病院 緊急診療部), 佐藤健, 山形成徳, 浜野淳
Abstract:平成15年7月26日宮城県北部に発生した内陸直下型連続地震は局地的に大きな被害をもたらした.地震災害の概要および発災後の現地医療機関の活動と診療連携について,内閣府,地震研究機関,被災地近傍の災害拠点病院および圏域の消防機関,宮城県医師会がそれぞれ調査を行い,救急医療研究会,医師会報などに発表した.それらの調査結果をまとめた.負傷者は震度の大きい地域で多く,発災後早期に,独力で被災地域内の医療機関を受診した.地震により建物に甚大な損壊を生じ診療継続不能となった医療機関で,患者の避難,病院外への移動が適切に行われた.さらに救命救急センターを併設する災害拠点病院より医療支援が行われ,救急医療および医療連携に実績のある地域医師会の協力により,複数の病院に円滑な患者転送が行われた

2005080042
医中誌Web
震災時の災害拠点病院の連携に向けた負傷者流動の分析
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 9巻1号 Page19-25(2004.09)
Author:乘京和生(愛知工業大学 大学院工学研究科建設システム工学専攻), 小池則満, 栗田敬司, 秀島栄三, 山本幸司
Abstract:地震発生直後は建物の下敷きになる,落下物に当たる,骨折,火事による熱傷などで負傷者が大量に発生する.初期段階に救助にあたる警察,自衛隊の人数には限りがあるため,人命救助は主に地域住民が自ら行うことになり,負傷者の搬送状況は複雑なものになると予想される.また,地域によって被害,人口,病院数や病床数が異なるため,各地域がもつ特徴を把握し,その地域の役割をはっきりさせておく必要がある.そこで,社会調査の分析手法のひとつであるソシオメトリーを用いて,流動の状況を単純化したモデルで予測した.被災地から被害の小さい地域へ大きな負傷者の流れがあり,その他に比較的被害が小さい地域でも医療機関能力が低ければ他地域へ負傷者が流れ出すこと,大規模な病院がある地域へ負傷者が集中するといった現象が起こる可能性があることが判明した

2005066660
医中誌Web
イラン南東部(バム市)大地震後の中期における被災地の調査報告 被災看護師の生活再建に対する支援の必要性
Source:日本災害看護学会誌(1345-0204) 6巻2号 Page21-30(2004.10)
Author:小原真理子(日本赤十字武蔵野短期大学), 井伊久美子, 増野園恵
Abstract:イラン・バム大地震後の中期における被災地を現地視察調査した.その結果,以下のような提案をまとめた.1)被災看護師に対する生活支援を中心とした援助活動が必要.2)援助を実現するためのカウンターパートとして,被災看護師の理解者であり,調整役を担っている人物を推奨する.3)緊急の募金活動をする.4)募金活動の実現化に向かって日本看護協会に担当者をおき,情報交換や連絡調整を行う

2005004695
医中誌Web
災害救援者の心理的影響 阪神・淡路大震災で活動した消防隊員の大規模調査から
Source:トラウマティック・ストレス(1348-0944) 2巻1号 Page51-59(2004.02)
Author:加藤寛(21世紀ヒューマンケア研究機構・こころのケア研究所), 飛鳥井望
Abstract:災害救援者への心理的影響を検討するため,阪神・淡路大震災で活動した消防隊員4780名を対象として調査した.震災から13ヵ月目のPTSD症状について,IESを用いて評価したところ,震災当時の勤務地が被災地内であった者(被災地内群)は,被災地外から救援に派遣された者に比べて,IES得点が有意に高かった.また,被災地内群のPTSD症状に影響する要因を解明するため,ロジスティック回帰分析を行った結果,個人的な被災状況,悲惨な現場への曝露の強さだけでなく,住民からの苦情や非難などによって喚起された自覚的苦悩が,高オッズ比を示すことがわかった.災害救援者のメンタルヘルス対策には,多次元の要因に注目した総合的な対策が検討されるべきであると思われた

2004297403
医中誌Web
地域防災システムの一例についての考察
Source:日本災害看護学会誌(1345-0204) 5巻3号 Page37-45(2003.12)
Author:太田庸起子(())
Abstract:自治体の地域防災システムの一例として,K県及びK県に隣接する自治体に1293年から1992年の間に発生した計15回の地震記録を参考に防災対策を分析するとともに,同地区における将来の地震発生を想定した防災対策を検討した.その結果,地域における理想的な防災体制として,1)被災地内の各防災主体間の連携,2)災害規模に応じた地域間の連携,の2つの連携体制よりなる「地域防災ブロックシステム」の概念を提案した

2004296238
医中誌Web
医療安全対策 地震の町に来た地震 平成15年十勝沖地震による浦河赤十字病院の被災
Source:日本透析医会雑誌(0914-7136) 19巻1号 Page52-67(2004.04)
Author:赤塚東司雄(浦河赤十字病院 内科)
Abstract:平成15年十勝沖地震によって,浦河赤十字病院は推定5億円に上る被害を受けた.しかし,病院職員の迅速かつ献身的な復旧活動と浦河町水道課・自衛隊などの協力で透析室はまたたくまに復旧し,わずかな予定の変更のみで維持透析を継続するに至った.病院機能も一気に復旧し,遅滞なく業務の完全再開を果たした.当初は連絡一つしないのに短時間で自主的に出動した大多数の職員の使命感の高さと,あまりに見事な活動に驚くばかりであった.しかし,事後に状況を文献的に考察・分析する過程で「浦河」という土地が常習的に地震に見舞われている中から,地震災害に対して高度な経験と対応力を持つに至り,現在では「災害下位文化」が熟成した地域として都市災害学の分野で高く評価されている

2004146555
医中誌Web
医療安全対策 宮城県沖及び宮城県北部を震源とする地震における災害情報ネットワークの活動報告
Source:日本透析医会雑誌(0914-7136) 18巻3号 Page264-277(2003.12)
Author:武田稔男(日本透析医学会), 吉田豊彦, 森上辰哉, 申曽洙, 杉崎弘章
Abstract:平成15年5月26日と7月26日に,宮城県沖と宮城県北部を震源とする震度6を超える地震が発生した.災害情報ネットワークでは,電子メール,ホームページ,FAXなどで情報を収集した.幸いにもこの地震で直接患者の生命や,職員,施設に大きな被害はなかったが,一時透析不能又は中止して翌日の治療を余儀なくされた施設や,施設の部分破損,一時的な停電,ガスの使用が不能となるなどの被害が生じた.これら被害状況と情報ネットにおける対応について述べた

2003143725
医中誌Web
【天災・人災・特殊災害時の呼吸管理】 大規模災害時の呼吸管理 在宅酸素療法を中心に
Source:呼吸(0286-9314) 21巻11号 Page997-1001(2002.11)
Author:石原享介(神戸市立西市民病院 呼吸器内科)
Abstract:混乱の中でパニックに陥ることなく救援を待たねばならないが,できれば地域の災害医療福祉指令部の指示にしたがうことが望ましい.在宅酸素供給業者の役割は重要であり,災害地域内外における活動拠点を瞬時に立ち上げ災害地域内に介入する体力と能力が求められる.危機管理マニュアルも作成される必要はある.大災害に向けた訓練も必要である.しかし,危機的状況において応用問題を解く能力はそのようなものだけで醸成されるわけではない.日頃の活動の誠実さ,活動の視点の正確さが重要である.地域医療福祉における真の意味での各領域との連携を模索する「タフな医療福祉社会」を実現しようと地道な活動の中で育まれていくものである

2003115286
医中誌Web
災害拠点病院における災害対策の現状と課題
Source:日本集団災害医学会誌(1345-7047) 7巻1号 Page8-14(2002.08)
Author:河原勝洋(日本赤十字社), 浜谷学, 小澤一, 高梨成子, 山本佑幸, 佐藤正, 市橋和彦, 白土直樹
Abstract:著者らは厚生労働省の委託を受けて平成10年~13年度迄の間の災害拠点病院のデータ分析を行った.その結果,これらの病院における災害対策はハード面の整備は進んでいるものの,計画策定等のソフト面については6割程度であり,まだ充分とは云えない状況にあった.訓練についても未だに低い実施率に止まっていた.今後はより具体的な計画策定等のソフト面への取り組みを進めると共に,「災害拠点病院連絡会議」等の場において,拠点病院及び医療関係行政機関等の広域連携体制の構築を進める必要があると考えられた.更に計画を検証・改善する為に,より効果的,実践的な訓練実施も望まれた

2003026748
医中誌Web
【学校医業務のコツ】 疾病予防・問題事項・危機管理への対応 授業中に大震災が起きたときの対応
Source:治療(0022-5207) 84巻8号 Page2215-2218(2002.08)
Author:山田至康(六甲アイランド病院)
Abstract:授業中に大震災が起きたときの対応は経時的に異なる.震災直後から3時間までは火を消す,机の下に入る,避難路の確保,負傷者の処置,避難場所への誘導,被害状況の通報,生徒のリスト作成,食料・飲料水の確保の順に行う.48時間までは保護者との連絡,学校医による巡回診療,食料・飲料水の提供を行う.14日迄は生徒の避難先での生活への援助,数年迄はPTSD対策に力を入れる.防災対策を平時から行う