●はじめに
医中誌Web(Ver.4)では、電子ジャーナルへのリンクを始めとする「検索後の文献入手のサポート強化」を第一の目標に掲げてバージョンアップを行ってきました。ここでは、これまでの取り組みや現況についてまとめるとともに、今後の展開についてご案内します。
●電子ジャーナルへのリンク
<リンクの現況>
2006年2月のリリース時、医中誌Webから全文へのリンク総数は約30万件でしたが、9月22日現在約104万件に達しています(表1「医中誌Webから各サービスへのリンク数」参照)。
表2は、2008年1月〜7月に、医中誌Webに表示されるリンクアイコンが実際に何回クリックされたかを集計したものです。クリック数の累計は約121万回となっており、「医中誌Webを検索してリンク先の電子ジャーナルを閲覧」という利用が活発に行われていると考えられます。
<今後の取り組み>
まもなく(株)医学書院の電子ジャーナルサービス「MedicalFinder」の機関向けの提供が始まるなど、医学雑誌の電子化はこれからますます進展することでしょう。今後も、有償サービス・無償サービスを問わず、医学分野の電子ジャーナルに関しては医中誌Webからのリンクを極力サポートしていく方針です。その実現のため、下記のシステム改訂に取り掛かっています。
・従来のパターンでは対応出来ないリンク先
現在は「CiNii」「J-STAGE」「MedicalOnline」などのサービスごとにリンクを行っていますが、学会や出版社が独自に電子ジャーナルを公開・販売している場合もあります。このようなケース、あるいは機関リポジトリにも対応可能なシステム構築を進めています。
・絞込み検索との連動
検索の時点で「電子ジャーナルへのリンクがある文献を検索」、あるいは「フリーで公開されている電子ジャーナルへのリンクがある文献を検索」との絞り込み条件の設定が出来るようにします。
・アイコンのON/OFFの設定
例えば「契約していない有償サービスへのリンクアイコンは表示したくない」場合、管理者用画面でリンクの表示をOFFに設定することが出来ます。この設定に関して「サービスごとだけではなく、雑誌ごとに設定したい」とのご要望を頂いており、PubMedのLinkOut機能を参考に対応を検討しています。
●各機関のサービスへの連携
<OPACやリンクリゾルバへの連携>
図1は、2006年〜2008年の同時期(7月)のOPACやリンクリゾルバへの設定状況です。2008年7月時点で、全体で約2割、大学図書館については約7割が設定を行っていました。年々全体の設定数の増加とともに、リンクリゾルバの割合が急速に増しており、リンクリゾルバを設定している機関は2006年7月には僅か7機関でしたが、2008年7月には64機関となっています。また、2008年1月〜7月のOPACリンククリック数の累計は約80万回、リンクリゾルバは約32万回でした。
<ダイレクトエクスポート>
「ダイレクトエクスポート機能」では複数の文献(最大200件まで)の情報を一気に他サービスにエクスポートすることが出来ます。 現在、文献管理ソフトについては「RefWorks」と「EndNote(デスクトップ版)」が対象となっており、「EndNote Web」へのエクスポートもサポートする予定です。また、各機関独自のサービスへの連携も行っております。(P.8「東京医科大学図書館文献複写Web申込システムの構築」P.10「医中誌Webダイレクトエクスポート機能を利用した文献オーダーシステムの開発」をご参照ください。)
<所蔵リストの登録>
所蔵雑誌のISSNリストを登録すると、OPACへのリンクアイコン、あるいはその雑誌が所蔵誌であることを示すアイコンを該当の雑誌の文献のみに表示することが出来ます。この場合、「○○病院図書室所蔵」のように機関名が明示されているオリジナルアイコンのほうが医中誌で用意する一般的なアイコンよりもエンドユーザーに分かり易いのですが、従来は機関のWebサーバにアイコンを置く必要がありました。2008年2月より、このアイコンを医中誌サーバに置けるサービスを始めました。簡単な手順でご利用頂けますので、ぜひご活用下さい。(手順については「医中誌Web 法人管理者用ガイド」をご参照下さい。)
●「医中誌LinkService」
最後に、医書版元・学会に向け参考文献リンク機能を提供する「医中誌LinkService」をご紹介します。参考文献リンクはオンラインジャーナルならではの便利な機能です。しかしこの参考文献リンクを行うためには、いったんリンク先を取得した後も、リンク切れのチェックを継続的に行うなど、個々の版元での実現は費用対効果を考えると困難かと思われます。「医中誌LinkService」は、これらの作業を代行し、更にリアルタイムで参考文献リンクを表示するシステムを提供するサービスで、国内誌は医中誌Web、J-STAGEなど、海外誌はPubMed、またCrossRef経由で海外電子ジャーナルへのリンクが張られます。(海外誌へのリンクを行うため、CrossRefと特別の契約を締結しています。)現在、(株)医学書院の「MedicalFinder」の参考文献リンク(図2)、また、(株)中外医学社の「AnnualReviewシリーズ」目次ページからの参考文献リンクがこのサービスにより実現しています。
●おわりに
医中誌Web(Ver.4)リリース後の2年間に、医中誌Webの利用環境は益々多彩となっています。大学図書館ではリンクリゾルバ+電子ジャーナルが普及し情報環境が整う一方、例えば徐々に利用が広がっている公共図書館においては、医学文献を入手すること自体が容易では無いと思われます。 今後も引き続き様々な場面・環境に対応した「文献入手のサポート強化」に努めたいと考えています。
(データベース事業部 松田真美) |