医中誌News
 

医中誌News目次
 
ご挨拶

 故宮野昌明前専務理事の後を受け、2007年1月より専務理事に就任いたしました。1903(明治36)年より100年余にわたり継続してきた「医学中央雑誌」(医中誌)の刊行事業の更なる発展に向け、微力を尽くす所存です。ご利用者ならびに関係者の皆 様の一層のご支援を何とぞ宜しくお願い申し上げます。
 医学中央雑誌の年間の収録文献数は、医学・医療の発展とともに増加の一途をたどっています。1903年創刊時の1886件から、1930年頃に2万件、1955年頃に5万件、1970年頃に10万件、1985年頃に20万件、2003年に30万件を超えました。1903年創刊からの収録件数の累積は約900万件で、そのうち医中誌Webで利用できるデータは、1983年作成から最新分までの約620万件となっています。
 また、提供媒体も近年大きく変遷しました。100年続いた冊子体は2002年12月で終刊となり、1992年に開始したCD-ROM版は2006年3月でサービスを終了しました。現在は2000年4月にリリースしたWeb版(医中誌Web)のみの提供となっています。お陰様で医中誌Webは、インターネットの急速な普及に後押しされ、医学・歯学・薬学・看護学系等の大学をはじめとし、病院・企業・研究機関・学協会・専門学校などで数多く利用されています。医 中誌Webのアクセスも利用機関・利用者の増加とともに伸びており、平日1日当たりのログイン数は約1万5000回、アクセス数は20〜25万回で、1年前 に比べて2割ほど増えました。医中誌Webは文献の書誌情報と抄録を提供する二次情報サービスですので、一次情報のフルテキスト(電子ジャーナル)へのリンクがとても重要となります。現在、医中誌Webで提供される文献データのうちフルテキスト(電子ジャーナル)へリンクしている文献数は、国立情報学研究所(NII)のCiNii(フルテキストリンク有り)が約53万件、(株)メテオのメディカルオンラインが約33万件、CrossRefが約6万件、(株)医学書院のMJ-Finderが約2万5000件、(株)サンメディアのPierOnlineが約5000件、合計で約90万件(重複除く)となっています。今後、更にフルテキスト(電子ジャーナル)へのリンクを増やしていくとともに、電子ジャーナルの普及にも協力していきたいと考えています。
 さて、このたび、社団法人情報科学技術協会(INFOSTA)より2007年度「優秀機関賞」を頂戴することができました。これからも関係機関・団体と連携を強めながら、国内の医学文献情報を網羅的に収録した医中誌データベースを充実させ、インターネットの特徴を生かした利便性の高い提供サービスを実現することで、日本の医学・医療に貢献していく決意です。今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

特定非営利活動法人医学中央雑誌刊行会専務理事
三沢一成

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医学中央雑誌データベース作成システムJAMAS2システムについて

●はじめに
 医学中央雑誌データベース(医中誌DB)の作成作業は、1996年よりOA化され、以降はローカルネットワークシステム、「JAMASシステム」にて行われてきました。そして2006年、システムの大幅なバージョンアップを行いました。現在は新システムである「JAMAS2システム」にて作成作業を行っています。バージョンアップに際しては、10年間の運用の中で積み上がった様々な課題の解決を目指しました。本稿では、その中から「インデクシングの質の向上を目的とした改善」「用語管理の改善」にスポットを当てて、この「JAMAS2システム」をご紹介します。

●インデクシングの質の向上を目的とした改善
 インデクサー(索引作業者)の負担を軽減すること、更にデータベースの質の向上を目指し、以下の改善を行いました。

1)インデクシング画面のレイアウト改善
 インデクシング作業を行う際にPC上で表示する画面は、複数の画面で構成されています。JAMAS2システムでは、これらの画面の構成とレイアウトを改善し、従来は別画面だったチェックタグ画面をメインの画面に収めました(図1)。これにより、複数の画面を行き来する手間が省け、インデクシング作業がより効率的に行えるようになりました。


2)インデクシングルールの徹底を支援
データベースの均一性、整合性を保つことは、その検索性を高めるためにとても重要です。そのため、刊行会ではインデクシングに関する多くのルールを運用しています。JAMAS2システムでは、このルールの徹底に向け、システム的に可能な支援−サポート機能やチェック機能の工夫−に重点を置きました。
・キーワードに関する情報の表示
刊行会では、個々のキーワードについて、用語自体の説明や、インデクシング時の注意点などの情報の整備と共有に努めています。JAMAS2システムでは、これらの情報をより簡便に閲覧できるようにしました(図2)。


・シソーラスのカテゴリーの表示
 インデクシング画面からワンクリックで特定のキーワードのシソーラスのカテゴリー階層を参照できるようにしました。インデクシングの際には「出来るだけ下位のキーワードを付与する(より特定なキーワードを付与する)」のが大原則ですが、この改善により、キーワードの上下関係を確認しつつ適切なキーワードを探す作業が行い易くなりました。(図3)


・カテゴリーの上下チェック機能
 インデクシング画面でも、上下関係にあるキーワードが自動的にチェックされるようにしました。このチェックを参照しつつ、インデクサーは、不要な上位語を削除することが出来ます(図4)。

・チェックタグ
 チェックタグについては、組み合わせのルールが決められています。例えば、年齢区分を表すチェックタグ(「成人」「小児」「老年者」など) を付与するときには、必ずチェックタグ「ヒト」を付与しなければなりません。J A M A S 2システムでは、前者のみがチェックされている状態でインデクシングを終了しようとすると、エラーメッセージ( 図5 ) が表示されます。

・副標目
 各キーワードには、付与できる副標目が決まっています。JAMAS2システムでは、キーワードを管理するデータベース上で、キーワードごとに付与可能 な副標目を設定し(図6)、インデクシング画面上でチェックを行うようにしました。例えば、キーワード「糖尿病」に、副標目「毒性・副作用」(副標目コードは11)は付与できませんが、誤って付与した状態でインデクシングを終了しようとすると、エラーメッセージ(図7)が表示されます。

・研究デザイン
 研究デザインタグについても、「原著論文に対してのみ付与「診療ガイドライン」を除き、「研究デザインタグを付与した場合には、対応するキーワードを必ず付与」などのルールを運用しています。これらについても、違反した場合にはエラーメッセージを表示するようにしました(図8)。

・キーワードの自動切出し機能
 自動切出し機能とは、論文のタイトルから、あらかじめキーワードを抽出し、インデクシング画面上に出力する機能です。タイトルから文字列を機械的に切出し、辞書データとマッチングさせヒットしたキーワードを表示します(図9)。この機能により、インデクサーの作業負荷が相当軽減されています。しかし、これはあくまで機械的な処理なので、不要なキーワードは削除、逆に必要なキーワードを追加付与するなど、最終的にはインデクサーの判断によってデータを完成させます。旧システムから登載している機能ですが、本システムの要となっています。

■用語管理システムの改善
医中誌DB作成に欠かせないキーワードは、専門の用語管理者によって管理されています。用語管理においても、JAMAS2システムにて、より簡便・迅速 に作業ができるようになりました。

1) フリーキーワード(※脚注)申請の簡便化
インデクサーは、文献中に重要と思われる新しい概念の用語を見つけた場合、用語管理者に申請します。用語管理者は、その用語を各種の辞書などで確認した上で、フリーキーワードとして登録します。この作業は、旧システムではシステム化されていなかったので、インデクサーは指定用紙に記入するな
どにより、申請作業を行ってきました。JAMAS2からは、これをシステム化し(図10)、簡便に申請作業ができるようになりました。この画面は、フリーキーワード申請以外にも、インデクサーと用語管理者の間のコミュニケーションツールとしても活用されています。

2) フリーキーワード登録作業の簡便化
フリーキーワードを登録する際には、検索性を高めるために、その上位にあたるシソーラス語も登録しています。これによりカテゴリコードを持たな いフリーキーワードもシソーラス語の「下位語を含む検索」の際に関連付けて検索できます。特に物質名をフリーキーワードに登録する際には、米 国国立医学図書館(NLM)で作成している「MeSHSupplementary Concept Data」を典拠としています(図11)。JAMAS2システムではMeSHデータをシステム内に取り込み、この登録が簡便にできるようになりました。

3)対応するMeSHデータが閲覧可能
 医学用語シソーラスはMeSH(Medical SubjectHeadings)に準拠しており、第6版に登録されているディスクリプタ25,317語のうちの約9割はMeSH由 来の用語です。従って、用語を管理するにあたっては、常にMeSH情報を把握しておく必要があります。JAMAS2では、キーワードごとに対応すMeSHデータを閲覧できるようにしました(図12)。

4)一表記単位での管理
従来は、語番号(概念ごとのまとまり)で管理していたので、ある用語を別の語番号の用語の同義語へ移動した際などの記録(履歴)を、システム内で管理することができませんでした。JAMAS2では、用語を一表記ごとにユニークなIDで管理することにより、所属語番号の変更など履歴管理がシステムに組み込まれ、管理が容易になりました(図13)。例えば「水銀曝露」が「水銀」の同義語から、「水銀中毒」の同義語へ移動した場合、「水銀曝露」の履歴は図14のように管理されています。


■おわりに
医中誌DB作成システム、「JAMAS2システム」について、「インデクシングの質の向上を目的とした改善」「用語管理の改善」を中心に紹介しました。データベースは、最終的には人の手を経ないと完成しませんが、機械的に処理できる部分は極力システム化し、人の目を通すところを最小限に抑えることで、データの質の向上、作成のスピード化、ひいては(タイムラグの短縮)が図れると考えています。今後も、さらなる医中誌データベースの質の向上を目指し、日々努力を重ねていきたいと思います。



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医学中央雑誌における著者名の扱いについて
●はじめに
 書誌データベースにおける「著者名」の位置づけは、キーワードに次いで重要なものではないでしょうか。この情報を当会は1903年の創刊以来、整理・管理してきました。古くは一つの姓、一つの名前ごとに紙製カードに綴り保管していましたが、1996年、医中誌におけるデータベース作成作業が全面的にコンピュータ化されたのを期に、自社サーバ内で保持・更新されるようになりました。
 著者名の扱いの難しさは、「漢字」をコンピュータで扱うことの難しさに直結しています。例えば、人名の漢字は、コンピュータでの入力自体が行えないことが多いのですが、その場合は、他の文字で代用することとなります。本稿ではこの「代用処理」など、医学中央雑誌刊行会における著者名の扱いについて述べたいと思います。


●医中誌の著者名データの現状
 医中誌では、「姓」「名」それぞれの辞書(「人名マスター」) を管理・更新しています。総登録数は、2007年8月現在、姓が 47,507件、名が 83,145 件です。これだけの多くのデータが蓄積されているにも関わらず、毎月新たに50件以上の姓、100件以上の名が登録されています。登録されている人名には、日本人だけではなく、中国や韓国などの漢字圏外国人の姓名も含まれており、例えば中国の簡体字(中国式略字)の扱い(後述しますが、JIS第2水準外の文字については代用とする字を調べる必要があります)など処理の複雑さが増す一因となっています。
 人名マスターでは、それぞれの姓、名のヨミが登録されており、医中誌Webではこのヨミによる検索も行えます。このヨミは、人名マスターへの新規登録時には、原本に記載があればそれに準じるものの、あくまで医中誌独自で統制しているものなので、それぞれの著者の実際のヨミとは異なっている可能性があります。ヨミで著者名検索を行う際にはこの点に注意が必要です。


●著者名の処理の実際
 各文献の著者名は、姓、名の間を区切って医中誌データベースに入力されます。これらのデータと、人名マスターに登録されているデータとの照合をバッチ処理にて行います。マッチしたデータについては、マスターに登録されているヨミとともにそのままデータとして固定されます。マッチしなかったデータは「エラーデータ」として出力され、以下の処理の対象となります。エラーとして出力されるデータは、月に約2,000件です。
@ 誤りの訂正
 姓名の分かちミスや、パンチ入力の際の誤入力、更には原本の記載の誤りにより、実際には存在しない姓名が入力された結果、エラーとして出力されている場合がある。これらについては、原本等を確認した上で訂正する。(こういった誤りは、経験により、見た瞬間にピンと来ることが割合に多い。)
A 誤り以外のデータ修正
 ダイアクリティカルマーク(ウムラウト、セディーユなど)の処理や、新姓・旧姓が併記されているパターンへの対応など。
B JISの第2水準外の文字への対応(代用処理)
 医中誌データで使用している文字は、JISの第2水準までなので、第2水準外の文字は他の第2水準内の文字に置き換える。
C 新規登録
 特に姓については、誤りでは無いことを慎重に確認した上で新規にマスターに登録する。


●「代用処理」について
 JISの第1、第2水準の文字は合計約 6,000字ですが、これだけでは人名を表記するには不十分です。例えば、法務省が定める人名用漢字 983 字の内訳を見ると、第3水準の文字が107字も含まれています。これら第2水準外の文字については、以下の手順にて「代用処理」を行います。
@ 対象となる漢字について、字典類(表1)を参照しその「関連字」を調べる。



A 関連字がJISの第2水準内であれば、それを代用とする。関連字が複数ある場合は、基本字 -> 常用漢字 -> 同字の順で採用する。
B 関連字がすべて第2水準外の場合には、ひらがなに置き換える。図1に実際の処理例を示します。
 Windows Vistaは、新JIS漢字(JISX0213-2004、以下 JIS2004)を標準文字セットとして採用しました。JIS2004文字セットには、新人名漢字など新たな900文字が追加されているため、人名を正しく表記するにあたっては朗報なのですが、一方で、PCの環境(VistaかXPか)により異なった字形が表示される場合があり、特に人名については一部で問題視されています。このことは、漢字(特に人名)をコンピュータで扱うことの難しさ、考えるべきこと多さをあらためて感じさせます。
 創刊以来、著者名を重要な情報として管理してきた医中誌にとって、今後は、情報環境の動向を見逃さず、適切な対応を心がけることが重要と考えています。(書誌抄録課 浜田洋一)



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医中誌Web (Ver.4) 最新情報

●はじめに
 「医中誌Web Ver.4」をリリースして1年半がたちました。Ver.4では、「オリジナル文献入手のサポート」機能の充実を第一の目標に掲げ、オンラインジャーナルへのリンク、OPAC連携などを実現しました。リリース後現在までに、リンク先のサービスも徐々に充実して参りました。また、OPACやリンクリゾルバへの連携機能も、大学図書館を中心に広くご利用頂いています。本稿では、フルテキストへのリンク件数などの現況や、2007年のバージョンアップ内容など、医中誌Webの最新情報をお知らせします。

●フルテキストリンク
 2007年9月4日現在の、医中誌Webからオンラインジャーナルなどへのリンク件数は、重複を除くと約160万件です(表1)。このうち、PubMedなどデータベースへのリンクを除いたフルテキストへのリンク件数は、重複を除き約90万件となりました(表2)。サービス毎の内訳を見ると、2006年12月からリンクを開始した「CiNii」経由の「NII-ELS」へのリンクが約50万件と大きな割合を占めていますが、このうち、約半数は無料で閲覧可能です。なお、2007年8月より、新たなリンク先として(株)医学書院の電子ジャーナルサービス「MJ-Finder」が加わりました。また、近々、現在は CrossRef 経由でリンクされている「J-STAGE」への直接のリンクが行われるようになります。


●OPACやリンクリゾルバへの連携
 2007年9月4日現在、OPACやリンクリゾルバなどへの外部リンクの設定数は「425」で、昨年同時期より約1 4 0 件増えました( 図1 )。このうち、OpenURL での設定数は、昨年の「57」から本年の「105」とほぼ倍増で、リンクリゾルバの普及、また、OPACのOpenURL対応が進んだことが伺えます。


1)医学用語シソーラス第6版への対応とそれに伴うバージョンアップ
 「医学用語シソーラス第6版」(2007年1月発行)の刊行に伴い、2007年2月、医中誌Web全データのキーワードのメンテナンスを実施しました。また、同時に、下記のバージョンアップを行いました。


・筆頭著者名と最終著者名に限定した検索
 Advanced Modeの検索対象を選ぶプルダウンメニューからの指定、あるいはタグの入力により、筆頭著者名、及び最終著者名に限定した検索が可能となりました(図2)。


・副標目をダイレクトに検索
 従来は、副標目検索は絞込みの段階でのみ可能でしたが、例えば「SH=薬物療法」と入力することにより、「薬物療法」という副標目が付与されている文献自体をダイレクトに検索できるようになりました。

・「診断」「治療」に関する副標目による絞込み
 絞込み検索画面の副標目を選択するプルダウンメニューの上部に「診断すべて」「治療すべて」というチェックボックスを設けました。ここをチェックすると、プルダウンメニュー中の診断、治療に関連する副標目が自動的に選択されるます(図3)。広く「診断全般」「治療全般」に関する絞込みを行いたいときに便利です。

・新しい記事区分
 新しい記事区分として、「座談会」「Q&A」「レター」「症例検討会」が追加されました(図4)。

2)2007年7月のバージョンアップ
 7月28日に、「ダイレクトエクスポート機能」などをリリースしました。

・ダイレクトエクスポート機能
 ダイレクトエクスポート機能とは、医中誌Webのデータを他のシステムに直接エクスポート(転送)する機能です。OPAC連携との違いは、OPAC連携は、検索結果の1件1件に表示されるOPACアイコンをクリックすると、その1件の情報がOPACに渡されるのに対して、ダイレクトエクスポートは、複数の文献情報をまとめて渡すことが出来る、という点です。
 引き渡し先のシステムとして9月現在利用可能なのは、「RefWorks」です。以下にRefWorksへのエクスポート手順をご説明します。

@ エクスポートしたい文献をチェックし、「印刷」「ダウンロード」などのアイコンに並び新たに表示されるようになった「ダイレクトエクダイレクトエクスポート」アイコンをクリックします(図5)。

A ダイレクトエクスポートの画面が開き、エクスポート先として Refworks が表示されています。RefWorksアイコンをクリックします(図6)。

BRefWorksの認証画面が表示されるので、IDとPWを入力します。

CRefWorksの画面が開きます。そこには医中誌のデータが既にエクスポートされています(図7)。

エクスポート先として、今後「医中誌WebDDS」と「EndNote」が追加される予定です。「医中誌WebDDS」で文献を発注するには、今のところ、医中誌Webの画面と、医中誌WebDDSの画面(図8)との間で、文献番号をコピー&ペーストしなければなりませんが、この手間が大幅に軽減されます。

 なお、この機能をリリースしたタイミングで、ダウンロード画面からもRefWorksへのデータ取り込みが行えるようになっています(図9)。

 また、ダイレクトエクスポート画面とダウンロード画面に、RefWorksのサービス名やアイコンを表示させたくない場合は、ユーザー管理者用画面にて「非表示」の設定を行ってください(図10)。

 さて、ダイレクトエクスポートは、あらかじめ用意されているサービスだけではなく、機関のローカルのシステムに対しても行えます。例えば、文献オーダーシステムをエクスポート先として設定すると、「エンドユーザーが個人のPCで医中誌Webを検索し、欲しい文献をワンクリックで図書館にオーダー」という一連のサービスが実現します。既にいくつかの機関でこのような連携が行われています。
 機関のシステムへのダイレクトエクスポートを行うには、医中誌Webと機関のシステムを繋ぐプログラムを用意した上で、必要な情報をユーザー管理者用画面で設定します(図11)。
これらの作業に関する詳細な技術情報は、無償でご提供いたしますので、医学中央雑誌刊行会までお問い合わせ下さい。必要に応じ、有償のサポートも承ります。

・「MJ-Finder」へのリンク
 医中誌Webからの新たなリンク先として「MJFinder」が加わります。MJ-Finderとは、(株)医学書院が提供する電子ジャーナルサービスで、同社発行
の雑誌32タイトルが収録されています。2003年以降の発行分が電子化されており、2007年9月現在、約25,000件がリンクされています。現在提供されているのは、Pay per View サービスで、法人向けサービスは試験運用中です。MJ-Finderアイコンをクリックすると、書誌画面が表示され、抄録(文献によっては、本文の冒頭部分など)まではフリーで閲覧可能です(図12)。

3)検索スピードの高速化
 従来、負荷の高い検索(ヒット件数が数万単位となる検索や、複雑な検索式による検索など)を実行した場合、サーバのトラフィックの状況により、検索結果が表示されるまでかなり待たされる場合がありました。これを改善すべく、内部のデータベース構造を変更したスピードアップ版を8月4日にリリースしました。これにより、特に負荷の高い検索について、レスポンスが相当向上しました。

4)2007年後半のリリース内容
・クリップボード機能
 クリップボード機能とは、医中誌Webで検索しながら、必要な文献だけを一時的に保存する機能です。複数のテーマで検索する場合も、クリップボードに必要な文献をためておけば、最後に一括して印刷やダウンロードなどを行えます。クリップボードの中で、不要な文献を削除したり、並び順を変えることも出来ます(図13)。

クリップボード保存できるデータは、最大500件です。また、クリップボードに保存した情報は、ログアウトすると消去されます。
・「J-STAGE」への直接のリンク
 「J-STAGE」とは、独立行政法人 科学技術振興機構(JST)が運営する電子ジャーナルシステムで、多くの文献が無料で公開されています。現在は、CrossRef 経由で J-STAGE にリンクしていますが、これを直接のリンクに変更します。これにより、医中誌Webの検索結果に、CrossRef アイコンではなく J-STAGE アイコンが表示されるようになります(図14)。また、CrossRef 経由ではリンクされなかった文献(DOIを持っていない文献)にも、リンクが張られるようになります。

●今後のサービス展開について
 本年のリリース内容にて、「Ver.4」の段階的リリースは、SDI検索などを残しほぼ終了となります。今後は、あらためて、医中誌Webに対する要望の把握に努めつつ、下記の各点などより一層のサービスの向上を図って参ります。

1)外部サービスとの連携の充実・拡大
 現在、国内の医学に関連する主要な電子ジャーナルサービスにはすべてリンクが行われていますが、今後も引き続き、独自に公開されている学会誌、あ
るいは機関リポジトリなど、リンク先の拡大に努めます。また、先に述べた(株)医学書院の「MJ-Finder」へのリンクを実現するに当たり、出版元よりメタデータ(XML)を提供して頂き、医中誌Webへのデータ登載、及び、本文へのリンクを行う一連の仕組みを備えました。今後はこの仕組みをより多くのタイトルに適用し、タイムラグの短縮・速やかな原論文へのリンクを実現したいと思います。
 「OPAC連携」「ダイレクトエクスポート機能」など、ご利用機関の情報システムとの連携についても、引き続き現場のニーズに沿った対応に努めたいと考えています。
 2)エンドユーザーにとってより使い易く実用的
な検索画面・検索機能の実現
 現在「ADVANCED MODE」の利用は「BASICMODE」の約2倍となっています。検索のトップページにも載せていますが、当会では、ADVANCED
MODE の利用を推奨しています。いったん覚えるとBASIC MODE より断然使い易いのがその理由ですが、エンドユーザーにとっての使い易さ、実用性、という観点からは改善の余地が多々あります。どのように改善するのか?の検討にあたり、ユーザービリティテストなどによる問題点の的確な把握に努めたいと考えています。
3)データベースとしての基本的な質の向上
 データベースとしての質の向上を図るため、システム改善、研修会の実施などの教育などの取り組みを行っています(「医学中央雑誌データベース作成システム(JAMAS2システム)について」(P.2)をご参照下さい)。また、タイムラグの一層の短縮も大きな課題です。
4)データベースに関わる情報の整理と公開
 収録雑誌に関するより詳しい情報や、索引ルールなど、医中誌データベースに関する有益な情報の公開に向け、情報の整理を行っています。これらの情報は、医中誌ホームページにてご提供する予定です。
 上記の各点、また、その他の内容について、現在、優先度などの検討を行っております。皆様のご意見など、お寄せ頂ければ幸いです。(データベース事業部 松田真美)

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今年の夏は暑い日が続きました。各地で観測史上暑さの最高記録更新が続き、熱中症による犠牲者も出ました。皆様は如何お暮らしでしょうか。変わらぬ医中誌Webへのご愛顧・ご支援に感謝します。

 さて、私事になりますが、私は未だ浴風会病院に在籍していた頃、当時副院長でおられた理事長の篠原先生とご一緒したご縁で医中誌のお手伝いをするようになり、業務のOA化、冊子体からCDやWebなど電子媒体への提供形態への移行に関わって来ました。つかず離れずの勤務状態でしたが情報提供事業と全く無関係であった私が、一連の仕事の中で何らかのお役に立つことが出来たとするならば、それは作るプロとしてよりは、提供された情報を利用するユーザーの立場でものが見られたと言うことだと思います。ユーザーとしての私は横着者ですから、医中誌の業務に関わる中で、急速に発展・普及してきたインターネットを利用して「居ながらにして、広く自分に必要な文献やデータとその内容を容易に知ることが出来るシステム」が出来ないかを考え、これを構築することが、ユーザーに対するサービスの基本ではないかと思うようになりました。更に、医療従事者だけではなく、国民全体が、日本の医学関連の文献をあっちこっちの図書館や大学などに足を運ぶことなく利用できる環境を享受できる社会、それにより正確な根拠をもった医学的知識にもとづいて予防・治療システムを選択できる社会 ― について、熱帯夜で眠れない時には、夢ともなく、現ともなく、あれこれと思い巡らすことが多いこの頃です。近来、国民の健康志向に応えるように出版物や各サイトでは、病気や健康問題の解説、サプリメントから民間療法に至るまで、正に情報の洪水とも言える現状です。それらの情報は玉石混淆で、何が真で、何が偽であるかが明確に判断できないと言って過言ではないと思います。一部ではあっても、誇大宣伝、偽造、捏造、やらせなどが明るみに出てくると、情報そのものに対する不信感も増幅します。私どもはこの点に深く思いをいたし、EBM(Evidence BasedMedicine-事実に基づく医学)を指向したデータベース作りを進めて来ました。
 さて、「出来るだけ広い範囲(網羅的)で、信用ある情報を、必要あれば原論文まで、出来るだけ早く(タイムラグを短く)、簡便にお届けする」のが本来の務めであると考えていますが、現在の医中誌は、急速に増加し続ける情報量に、すべての面で対応するには力量不足と言えます。しかし、幸いなことに医学関連情報を提供しているのは我々だけではありません。競争だけが質的向上を図る原動力とは限りません。それぞれの機関が、それぞれの長所を生かして協力しあい、無駄を省き、欠けた分野を相互補完した望ましいデータベースを作り、サービス面でも、より広範囲に対応出来る提供システムを構築すべきと考えます。但し、それぞれが「お家の都合」を第一に考えたら協力は先ず不可能です。大局的見地に立った同志的糾合がなされることを望みます。本来は国の仕事でしょうが「国がやってくれなければ自分たちで」の気概も必要でしょう。真夏の夜の夢が秋風とともに雲散霧消しないことを祈りたいと思います。


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 ある日、医学中央雑誌刊行会の方からメールを頂いた。私は、医学研究者のための研究留学情報サイト、研究留学ネットhttp://www.kenkyuu.net/)を運営しており、その中のGoogle Scholarの記事に興味を持って頂いたとのことであった。そのメールをきっかけに、医中誌を訪問する機会を得、実際の医中誌データベース構築のワークフローを拝見した(そのときの訪問記は、医学のあゆみ220巻7号にまとめてある)。ほとんどの作業が自動化されていると予想していたのだが、どの記事に抄録をつけるかといった判断、インデクシングなど、多くの手作業を経てデータベースが作られていた。これだけ膨大な作業を長きにわたって続け、日本の医学情報の中で大きな役割を果たしてこられたことに深い感銘を覚えた。
 今回、日頃医中誌データベースを利用しているエンドユーザーの立場から、「医中誌データベース」に期待することを述べてみたい。
 世の中には沢山の医学情報データベースが存在するが、それらを使い分けて使いこなしている研究者は少ない。英文はPubMed、和文は医中誌Webしか使わない研究者が大半であろう。では、医中誌Webは日本語版PubMedとして今後発展していくべきかというと、それは少し違うと思う。我々医学研究者はオリジナルの研究成果は出来る限り英文で報告すべしと教育されてきている。そのため、英語で書かれた原著と和文で書かれた原著の間には大きなインパクトの差がある。だから、原著を探すのに、あえて日本語で書かれた原著を探すことは少ない。特に、基礎医学の原著を和文誌データベースに求める人はほとんどいないであろう。
 では、日本語で書かれた医学情報に、医学研究者は何を求めるのであろうか?言い換えれば、どのようなときに医中誌データベースを使うのであろうか?
 ひとつは症例報告を探す場合である。症例報告は大規模臨床研究と並んで臨床医学の根幹をなすものである。日本でどのくらいの症例数が報告されているのか、それぞれの症例がどのような経過をたどったのかを調べるために、医中誌を使って検索する医師は多い。症例報告は英文誌に報告されることもあるが、日本語で報告されるものが多く、論文としてまとめられずに、学会報告で終わってしまうものが多い。これらも多くの場合医中誌に収録されている。      
 さて、学会報告(医中誌の論文種別では「会議録」)には、論文化される前の最新の研究成果が含まれていることがあり、そのような最新情報をキャッチすべく、会議録を検索する医学研究者もいる。医中誌データベースは会議録を収載する貴重なデータベースだが、会議録には抄録が付いていない。エンドユーザーの立場からすると、会議録にも抄録が付いていて欲しい。UMINは、学会の抄録受付システムを提供しており、その結果多くの学会の抄録データを提供している。医中誌が、これまでと同じワークフローですべての会議録の抄録を掲載するのは難しいだろうが、UMINと協力できれば、それが可能になるのではないか。
 もうひとつ、医中誌データベースを利用するのは、日本語で書かれた総説(医中誌の論文の種類では「総説」と「解説」に該当する)を探す場合である。商業誌を含め日本語で書かれた総説には優秀なものが多い。読む側からしても、総説であれば、日本語で書かれたものを読んだ方がラクである。そういった意味で、医中誌データベースで総説を探す医学研究者は多いと思われる。しかし、総説の場合、原文に抄録がついていないことが多く、医中誌データベースにも抄録が付いていないケースが多い。その場合、タイトルとキーワードだけで、その記事が自分の探しているものかどうかを判断しなければならない。
 そこで、フルテキストへのリンクがついていれば非常に便利である。最近、メディカルオンラインのフルテキストリンクをちらほら見かけるようになったが、まだまだ少ない。学会や出版社と協力することで、もっとフルテキスト提供を進めることは出来ないだろうか。また、日本の医学雑誌では、毎月特集を組んで特定のテーマに関する総説を掲載している場合が多い。雑誌ごとの各月の特集テーマのリストを作り、医中誌データベースとリンクすれば、とても有益なものになると思われる。
 現在、雑誌の発行から医中誌Webでのデータ提供までには数ヶ月かかかっているとのことである。Pre-医中誌や、著者抄録の採用により、収載までの期間短縮に努力されているが、このスピード化という点も、今後さらに推し進めて頂きたい。  現在でも、医中誌、UMIN、J-Stageなど、いくつかのサイトを回り、それでもだめなら、図書館に足を運べば、希望する情報のほとんどを手に入れることは出来るわけだが、将来的に、それらが一元化されれば研究者にとって強力なツールとなるだろう。
 医中誌の努力だけで改善できるものではないが、関連団体、出版社と協力し、その実現を期待したい。一元化された場合の、ポータルサイトとして最適なのは医中誌Webであることは疑いがない。今後の医中誌の活動に期待をしたい。

■門川俊明先生のプロフィール
慶應義塾大学医学部。専門は腎臓内科。シアトルのワシントン大学留学中より、 研究留学ネット(http://www.kenkyuu.net/)を運営。単行本「研究留学術」(医歯薬出版)としてまとめる。



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