医中誌News
 

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データベースサービスの動向と医学中央雑誌

皆様におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。 平素は当会の事業推進に対し格別のご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、インターネットの急激な普及によって医療関係者に限らず患者や家族、一般国民が何でも何処でも誰でも必要な情報を直ちに入手できる環境となりました。今では、二次情報データベースと一次情報とのリンクが積極的に行われ、原論文が直ちに読める段階に至っています。当会は、わが国の医学界に貢献すべく臨床医学に重点を置いた二次情報を1903年以来作成・提供してきた実績を持っていますが、皆様の強いご要望に応えて2000年4月よりインターネットによる「医中誌Web」のサービスを開始しました。本年2月にリリースした「医中誌Web(Ver. 4)」では、一次情報へのリンクを実現し、さらに段階的にバージョンアップを重ねております。当会はこれからも「医中誌Web」検索の利便性の向上を図りながら、その基となる「医中誌基本データベース」の編集・作成に工夫と努力を傾注してまいりますので、更なるご利用を賜りますようお願い申し上げます。 さて、わが国の総死亡率に占める最も多い疾患は「がん」であり、政府はその対策の1つとしてがん治療に必要な情報を収集、提供する拠点としての「がん対策情報センター」(以下、情報センター)の設立に取り組んでいます。この情報センターは、がんの治療に関する医療水準や情報の均一化をその目的とするもので、今秋に設立が予定されています。具体的には、「抗がん剤の開発・承認の状況や、医療機関の治療成績をまとめる」「地域の拠点病院とネットワークを結んで患者がセカンドオピニオンを得られる医師を紹介」「療養の相談体制を整える」などの機能を持つことが計画されています。
一方、データベース整備戦略を検討していた科学技術・学術審議会の作業部会の報告を受けて、文部科学省は「ライフサイエンス統合データベース」(以下、統合データベース)の整備関係の予算を今夏の概算要求に盛り込むことにしています。これは、現在は各所に散在しており有効活用されているとは言い難いライフサイエンス研究の多種多様なデータベースを統合することにより、諸外国に立ち遅れているライフサイエンス研究の現状を打破し、最新の研究をサポートすることを目的としています。
これらの2例は、抗がん剤の開発、先端医療、再生医学の研究等、あらゆる分野においてデータベースの重要性がクローズアップされていることの表れと認識しています。このような状況の中で、当会は、医療の質的向上に寄与すべく、これまで取り組んできたEBMへの対応や「診療ガイドライン」の紹介については引き続きその充実を図り、医療関係者ならびに患者、一般国民が求めている情報を素早くお伝えしてまいります。また、この目的を果たすためには、他のデータベース作成機関との連携・協力が今後益々重要となると考えております。皆様のご指導・ご鞭撻を賜りますよう、切に願う次第です 。

特定非営利活動法人医学中央雑誌刊行会副理事長
宮野昌明

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「医学用語シソーラス」改訂のお知らせ

■はじめに
医学中央雑誌刊行会が発行する「医学用語シソーラス」は、医中誌データベースの索引および「医中誌Web」の検索に使用されるツールであり、医学の進歩や社会の変化に合わせて定期的に改訂される必要があります。 当会では昨年より「医学用語シソーラス第5版」(2003年1月発行)の改訂作業に取り組んできました。
ほぼ内容が固まりましたので、ここでは、2007年1月発行予定の「医学用語シソーラス第6版」についてその概要を紹介します。

■ 「医学用語シソーラス」の歴史
「医学用語シソーラス」は、1983年の第1版発行以来、数年ごとに改訂を重ねてきました。第1版から米国国立医学図書館(NLM)で作成しているMedical Subject Headings(MeSH)を参考としてきましたが、特に第3版以降は、カテゴリー構造や登録語について、ほぼMeSHに準拠して作成しています。


今回作成の第6版においては、2002~2005年のMeSHの新設語を追加登録したことにより、見出し語は25,317語、これまでで最多の登録数となりました。第1版から第6版までのシソーラスについて、準拠としたMeSHや用語数の変遷を表1に示します。

■第5版から第6版へ
1)MeSH2005年版をもとに編集
シソーラス改訂のために「医学用語委員会」(脚注1)を編成し、2004年11月に第1回の会議を持ちました。この会議で、次シソーラス第6版は2005年のMeSHをもとに作成すること、発行は2007年1月を目指すこと、などが決まりました。
現時点での最新版であるシソーラス第5版は2001年のMeSHに準拠しているため、4年分(2002~2005年)のMeSHの変更内容をシソーラスに反映させることが必須となります。この間のMeSHの主な変更内容は以下のとおりです。

1 動物のカテゴリーの改変
2 植物(生薬・漢方薬など)を使った治療法のための植物名の追加(約1,000語)
3 生命倫理用語の充実
4 膜輸送蛋白質、酵素等、生体機能蛋白質用語の充実
5 遺伝学関連カテゴリーの新設
6 歴史的事件や戦争名の追加

これらのうち、最も時間がかかったのは、2の植物名の追加作業でした。これは、もともと医中誌フリーキーワードとして登録されていた多くの植物名と、MeSH新設の植物名とのつき合わせ作業の負荷が予想以上に高かったことによります。
また、3の生命倫理関係の用語については、参照する辞書類が少なかったため、訳語の選択に苦慮する場合が多くありました。
一方、6については、「医学用語シソーラス」への新規追加は行いませんでした。例えば、“CrimeanWar”(クリミア戦争)、“September 11 TerroristAttacks”(アメリカ同時多発テロ)など、日本の医学文献の索引や検索には必要度が低いと判断したためです。

2)地名の登録
これまで地名は医中誌フリーキーワードとして登録してきましたが、世界の国名、日本の都道府県名、政令指定都市名などはシソーラス語として登録することとしました。カテゴリーはZ(地理的位置)となります。ただし、市町村名などはこれまでどおり医中誌フリーキーワードのままとしました。

3)既存用語やカテゴリーの見直し作業
今回のシソーラス改訂作業では、MeSHの変更内容への対応だけでなく、シソーラス第5版を使用する中で明らかとなった問題点について検討を行いました。下記にその一部をご紹介します。

3-1)“Colorectal Neoplasms”と「大腸腫瘍」
シソーラス第5版を作成する際に、MeSHの“Colorectal Neoplasms”を「大腸腫瘍」として登録しました。 日本の文献では「直腸結腸腫瘍(癌)」ではなく「大腸腫瘍(癌)」と表現されることが圧倒的に多いという実状を重く見てこのように登録したのですが、 その結果、カテゴリー上、「大腸腫瘍」の下位に位置付けられるべき「盲腸腫瘍」が「大腸腫瘍」と並列になってしまう、という問題が生じていました。


この問題を解決するために「大腸腫瘍」ではなく「直腸結腸腫瘍」を採用すべきなのか?との検討を重ねる中で、「大腸がん取扱い規約」で盲腸に発生した癌も大腸癌に含めていることから、第5版と同じく「大腸腫瘍」を採用し、「盲腸腫瘍」を「大腸腫瘍」の下位に位置付けることとしました(図1)。

3-2)疫学用語とカテゴリーの見直し
シソーラス第5版では、疫学分野のMeSH用語“Clinical Controlled Trial”を、そのまま「比較臨床試験」としていましたが、実際のインデクシングにおいては「準ランダム化比較試験」(脚注2)に対して、この「比較臨床試験」を索引している、という実態がありました。そこで、シソーラス第6版では、この実態に合わせて、“Clinical Controlled Trial”は「準ランダム化比較試験」とすることとしました。また「準ランダム化比較試験」「ランダム化比較試験」のカテゴリー上の位置関係は、上下ではなく並列なので、そのように変更しました。
なお、このシソーラス語の変更に伴い、2007年から、研究デザイタグ「比較臨床試験」も「準ランダム化比較試験」に変更されます。
さらに、専門の先生方にご意見をうかがい、「前向き研究」、「後向き研究」、「多施設共同研究」のカテゴリーについて検討し、(図2-1)のようにMeSH(図2-2)は多少異なるカテゴリーを構築しました。

3-3)副標目とチェックタグの見直し
副標目とチェックタグについても、見直しを行った結果、下記の変更が決定しました。これらの内容は、「医中誌Web」においては、2007年から反映されます。
・副標目
2001年より使用してきた36個の副標目について見直しを行いました。その結果、「異常」「悪性」を廃止すること、及び、物質の欠乏や減少に対して1983年~1995年の間使用していた「欠損・欠乏症」を「欠損・欠乏」と表記を改めて復活することが決定しました。
この変更に伴い、1983~1995年に使われた「欠損症・欠乏症」、1996~2000年に使われた「欠乏症」をすべて「欠損・欠乏」に置換する予定です。さらに、物質の欠乏や減少を表す副標目が無かった2001~2006年については、順次メンテナンスを行って必要な文献に「欠損・欠乏」を付与することにより、最終的には全年度のデータについて「欠損・欠乏」による絞り込みが行えるようにしたいと考えています。

・チェックタグ
「植物」「鳥類」「In Vitro」を廃止します。また、「妊婦」を「妊娠」に表記変更し、ヒトだけでなく、動物にも使用できるようにします。

■おわりに
以上、2007年から使用される「医学用語シソーラス第6版」について、その概要を紹介しました。 ようやく新シソーラスの用語すべてが決定し一息ついたのも束の間、索引課では、現在、1983年作成データまで遡り、索引されているキーワードを第6版シソーラス対応とすべく、バックファイルメンテナンス作業に総力で取り組んでいます。
「医中誌Web」においては、2007年より、すべてのデータと、検索システムに内包されるシソーラスが第6版対応に切り替わります。また、「医学用語シソーラス第6版」の冊子体は、医中誌Webご契約の全機関に無料でお届けいたします。
最後になりましたが、改訂作業に際して、お忙しい中相談に応じてくださった諸先生方、また、MeSHの日本語訳を参考にするこたシソーラス研究会(http://homepage3.nifty.com/
sisoken/)の皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。

(注2) 「準ランダム化比較試験」の定義
ヒトを対象として、準ランダム割付けを用いて、ヘルスケアの介入(薬物、手術、検査、看護、検診、教育、サービス等)を行う群と比較対照群に振分け、その有効性や安全性などの評価を行う臨床試験

(索引課 佐久間せつ子)


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論文種類追加のお知らせ
このたび、「論文種類」(医学中央雑誌データベースに採択している文献のタイプ別分類、「記事区分」と呼称する場合もある)の見直しを行い、今までよりもきめ細かい分類を行うことになりました。
まず、従来「解説」「一般」などに分類されていた文献のうち、「Q&A」「レター」「症例検討会」に該当するものは、それぞれ新設される論文種類「Q&A」「レター」「症例検討会」に分類します。更に、1991年より採択が中止されていた「座談会」に該当する文献を、再度採択することとし、同じく新設される論文種類「座談会」に分類します。
新設される論文種類の定義について、下記にご説明します。また、すべての論文種類と、医中誌Webで絞り込み可能な検索対象年のリストを(表1)に示します。

●座談会
医療関係のトピックについて、「座談会」「対談」「鼎談」などと明記され、2人以上の対談形式で掲載 れている記事を「座談会」として収録します。なお、この座談会記事は、1990年作成データまでは「会議録」として採択されていましたが、1991年作成データより採択を中止していました。


● Q&A
これまで「解説」として分類されてきた、質問と答えで構成された記事を「Q&A」とします。

● レター

手紙形式の記事を「レター」とします。「編集者への手紙」「Letter to the editor」「著者からの返事」まで「一般」として分類されてきました。

● 症例検討会

実際の経験症例を取り上げて、診断、治療、予後、患者教育、看護の方法などについて討論する形式で掲載された記事を「症例検討会」とします。討論のやりとりが省かれ、討論結果と考察のみの記事も含みます。「症例検討会」「クリニカルカンファレンス」「ケースカンファレンス」「事例検討会」「臨床病理検討会」「CPC」等。なお、これらの記事は、これまで「会議録」または「解説」として分類されてきました。
以上の内容は、医中誌Webにおいては2007年から反映されます。よりきめの細かい検索に役立てていただければ幸いです。
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医中誌FAQ

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「医中誌Web(Ver.4)」のご紹介(2)

●はじめに
2006年2月、「医中誌Web(Ver.4)」がリリースされました。Ver.4では、オンラインジャーナルやOPACへのリンクなど従来から新たな一歩を踏み出したサービスが実現し、おかげさまで多くの方々から「便利になった」とのご評価をいただいています。
その後、8月には「書誌確認用画面」など第二段階目のバージョンアップを行いました。Ver.4のリリースは、今後も引き続き段階的に進行します。本稿では、8月以降のバージョンアップ内容とともに、Ver.4で可能となった「法人管理者用画面」での設定状況や、 今後のリリース予定についてもご説明します。

●第二段階目のバージョンアップ内容
8月のバージョンアップでは「書誌確認用画面」「Webcat Plusへのリンク」を新たにリリースしたほか、検索式の出力方法の改善など、いくつかの機能改善と不具合の修正を行いました。これに近日中にリリースが予定されている「クリップボード」を加え、以下にご紹介します。
1)書誌確認用画面とWebcat Plusへのリンク
Ver.4のバージョンアップ内容をまとめるに当たっては「オリジナル文献入手のサポート機能」強化を第一の課題に据えました。この課題への答えとして、オンラインジャーナルへのリンク、OPACやリンクリゾルバへの連携に続き、ILL(相互貸借)支援を念頭に置いた「書誌確認用画面」の新設と WebcatPlus へのリンクを実現しました。

1)書誌確認用画面とWebcat Plusへのリンク
Ver.4のバージョンアップ内容をまとめるに当たっては「オリジナル文献入手のサポート機能」強化を第一の課題に据えました。この課題への答えとして、オンラインジャーナルへのリンク、OPACやリンクリゾルバへの連携に続き、ILL(相互貸借)支援を念頭に置いた「書誌確認用画面」の新設と WebcatPlus へのリンクを実現しました。

書誌確認用画面(図1)とは、PubMed の SingleCitation Matcher をお手本とした書誌事項を確認するための検索画面です。Ver.3では、書誌を確認したいときには、最初に雑誌名かISSNで検索してから、絞り込み検索画面に移動して巻号頁、発行年等で絞り込む必要がありましたが、この書誌確認用画面では、必要な項目を一度に入力して検索することができます。また、ADVANCED MODE の機能である「候補語辞書の参照」のうち、収載誌リストの参照が行えるので、雑誌名による検索を確実に行うことができます。
書誌確認用画面での検索結果(タイトル表示)は、BASIC MODE、ADVANCED MODE と同様に、画面の下部に表示されますが、ISSNを持っている雑誌の文献の場合には、各文献に Webcat Plus へのリンクアイコンが表示されます。Webcat Plus とは、国立情報学研究所(NII)が提供する図書・雑誌の書誌や所蔵館情報の検索サービスで、医中誌ユーザーの方々の間でも相互貸借の際の所蔵確認に広く利用さ
れています。そこで今回、NIIの許可を得て、医中誌Webの検索結果からダイレクトに Webcat Plusにおける該当の雑誌のページにリンクを張るようにしました。医中誌Webの検索から、Webcat Plus での所蔵確認までのページ遷移は図2のようになります。
なお、Webcat Plus のアイコンは、書誌確認用画面では必ず表示されますが、BASIC MODEとADVANCED MODEの検索結果には、初期状態では表示されていません。表示したい場合は、法人管理者用画面の「デフォルト設定」で「Webcat Plusリンク表示」を「する」に変更して下さい。


2)クリップボード
医中誌Webにログインしてからログアウトするまでの間に、いくつかの異なったテーマで検索したり、同じテーマであっても、検索式を立て直して何回か検索を行うことがあると思います。そのようなときに、一回の検索ごとに、必要な文献を一時的にクリップボードに保存しておき、最後にまとめて印刷、ダウンロードすることができるようになります(図3)。
クリップボードに保存できる文献数は、最大500件です。(※9月5日現在未リリース)

3)検索式の出力方法の改善
印刷やダウンロードなど出力の際に付加される、その検索結果を得た検索式の出力方法を改善しました。検索式すべて(検索履歴すべて)を出するか、該当の検索式のみを出力するかを選択できます。該当の検索式のみの場合、「#1 and #2」のような履歴検索の式は、「高血圧 and 糖尿病」のように履歴番号が検索語に展開されます(図4)。

なお、印刷の場合は、「検索式の出力」で「あり」を選択したら、「指定した内容で再表示」ボタンをクリックして、検索式が表示されてから、「印刷実行」をクリックして下さい。

4)印刷用表示にアイコンを表示
印刷用表示にもOPACアイコンなど、リンクアイコンが表示されるようにしました。これは、2月のリリース時には表示していなかったのに対して、利用者の方から「プリントアウトした用紙を手に書架で雑誌を探すとき、(その雑誌は図書館で所蔵していることを示す)アイコンが印刷されていたほうが便利」とのご要望をいただいたのにお応えしたものです。

●今後のバージョンアップ予定

2006年中には、CiNii(NIIが提供する学術論文ポータル)との相互リンクをリリースする予定です。その後、2007年からシソーラスが第6版に改訂され、過去分すべてのデータのキーワードが新シソーラス準拠にメンテナンスされるのと同じタイミングで、下記の各内容がリリースとなる予定です(シソーラス改訂については「「医学用語シソーラス」改訂のお知らせ」P.2参照)。


1)筆頭著者名、最終著者名に限定した検索
プルダウンメニューでの選択、あるいはタグでの指定により、筆頭著者名、あるいは最終著者名に限定した著者名検索が可能となります。

2)新しい論文種類
2007年データより、「座談会」「Q&A」「レター」「症例検討会」が新たな記事区分として設けられます(「論文種類追加のお知らせ」P.5 参照)。
2007年以降に予定されているバージョンアップ項目は下記の通りです。

1)データエクスポート機能

チェックした複数の文献を、各機関のローカルシステム、たとえば複写依頼を管理するシステムなど、あるいはレファレンスデータベースのようなアプリケーションに送り出す機能です。汎用的な仕組みをご用意するほか、各機関ごとのカスタマイズにも可能な限り対応する方針ですので、「このようなことは可能か」といったアイディアをお持ちの場合には、どうぞ医学中央雑誌刊行会までお寄せください。

2)個人での環境設定
現在は「法人管理者用画面」にて、契約機関ごと、および機関内のグループごとに、各種初期設定やOPACリンクなどを設定することができますが、これを個人単位でも可能とする機能です。特に検索条件の初期設定は、機関ごとというよりも個人ごとに設定されるのが自然な在り方だと思います。設定可能な項目を適切に選択して、有用な付加機能としたいと考えています。
3)検索式の保存とSDI検索
実は「医中誌CD」では可能であった、検索式を登録しいつでも再実行可能とするのが「検索式の保存」機能です。これとともに、登録した検索式をデータ更新の都度自動的に実行し、その結果を指定のアドレス宛にE-mailでお届けするSDI検索をリリースする予定です。

4)Web APIの公開による外部からの医中誌Webへのアクセス

Web API(Application Program Interface)とは、他のウェブサイトやプログラムから、あるサービスの実行結果を得るためのインターフェースです。このインターフェースを利用することにより、例えばメタサーチエンジン(複数のデータベースを一度に検索するエンジン)で医中誌Webを検索することが可能となります。従来は、他のサービスが医中誌の情報を利用するには、医中誌のデータ自体をお渡しするしかなかっため、そのデータを検索するための仕組みを別途構築する必要があり、あまり現実的とは言えませんでした。しかし、Web APIを利用すれば、同じことが格段に容易に行えます。医学中央誌刊行会が持つ文献データや用語辞書などのコンテンツを、より有効かつ多面的に利用していただけることから、今後の新展開の可能性を孕むサービスと考えています。


●「法人管理者用画面」での設定状況
Ver.4では、「法人管理者用画面」にて、契約機関ごとにOPAC連携などに必要な設定を行う「外部リンク設定」と検索初期条件の変更などを行う「デフォルト設定」が可能となりました。この設定機能を有効に利用することで、利用者の使い勝手が相当向上する場合があるので、ぜひご活用いただければとえています。2006年9月1日現在の設定状況につい
ては下記のようになっています。


1)外部リンク設定
何らかの外部リンク設定を行っているのは、機関数で「258」、設定数で「300」です。機関数と設定数が異なるのは、同一機関内でグループごとに複数の設定を行っている場合があるためです。この設定数「300」の内訳は、「OpenURL形式でOPACやリンクリゾルバにリンク」が「61(約20%)」、「任意形式(ISSNを送出)でOPACにリンクが「150(50%)」、「所蔵を示すアイコンを表示(OPACへのリンクは無し)」が「89(約30%)」です(図5)。

リリース当初に比べ、OpenURL形式の比率が徐々に大きくなっています。また、OPACを導入していない病院図書室などの小規模図書室向けの機能である「所蔵を示すアイコンを表示」を設定されている機関も、まだまだ絶対数は少ないのですが、徐々に増加しています。

所蔵している雑誌の ISSN リストを医中誌 Web サーバにアップロードすると、所蔵している雑誌にのみアイコンを表示させることができますが、この所蔵情報のアップロードは、設定数「300」のうち「190」が行っており、残り「110」は行っていません。但し、「190」には「所蔵を示すアイコンを表示」の「89」が含まれるので、これを差し引くと、OPAC 連携を設定している機関の約半数が所蔵リストを登録していることになります。
この所蔵リストの登録は ISSN によってのみ可能なので、ISSN を持たない雑誌については、実際には所蔵していてもアイコンが表示されず、この点が利用者に分かり難いとのご指摘を受けています。この問題ゆえに登録を躊躇されているご機関もあるかと思われ、対応方法を検討しています。

2)デフォルト設定

何らかのデフォルト設定を行っているのは、機関数で「694」、設定数で「820」です。いくつかの設定項目について、設定数「820」の内訳を示します(図 6)。


4. おわりに
「Ver.4」リリースに際しては、リンク先のサービスを運営する諸機関、OPAC のメーカーはじめ関連する企業の方々、そして、多くの貴重なご意見、アドバイスをお寄せいただいた利用者の皆様に、本当に多くのご協力をいただきました。この場を借り、あらためて深く御礼を申し上げます。よりよいサービスの実現によってお返しができますよう、今後も努力してまいります。

(電子出版課 松田真美)


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尼子先生と、抄録作りと /三井記念病院長 萬年 徹

私が浴風園の医局にお世話になったのは、確か昭和 33 年(1958年)頃だったかと思います。
院長室で尼子(富士郎)先生に初めてお目に掛かり、その日から大先輩の亀山(正邦)先生のご指導で脊髄の血管障害の病理学的研究を始めました。
2 週間ほど過ぎた頃、尼子先生から「君、これを頼むよ。」と 5、6 冊の医学雑誌と 200 字位の原稿用紙を手渡されました。先輩たちから、これが医中誌の仕事とは伺っていましたが、私のような若造には縁のない事と思っていましたので、少々驚いたというのがその時の印象でした。
雑誌は多方面に亘っていて、初めは読みこなすのが大変で、抄録をまとめるのも難渋しました。1 ヵ月半位掛かって、お叱りを覚悟で先生のところにお持ちしたのですが、先生からは「はい、ご苦労だったね。」と何もお咎めがなかったのでホッとしたのを覚えています。 2 日後、「これを頼むよ。」と前より多い冊数の雑誌をいただいた時は、少々驚きました。しかし、この仕事のお陰でキチンとした論文と、そうでない論文のどこが違うのか、はっきり分かるようになりました。
尼子先生は非常に幅広い知識を持っていらっしゃいました。それでも若造の私などに、「君の脊髄の論文の問題点は?」などとお尋ねになるので、只々面食らうばかりでした。故・豊倉(康夫)教授も「尼子先生の提起される問題は非常に難しいですよ。」とよく話しておられました。
そうかといって、学問一本槍というわけではなく、意外な一面もお持ちでした。3時のお茶の時、尼子先生が3個の数字を並べて、「これ、なんだか分かるかい?」と言われたことがありました。皆、全く分かりません。すると先生はニコリとなさって、「マリリン・モンローのスリーサイズだよ。」と仰るのです。一同目を丸くした情景が昨日のことのように思い出されます。
医中誌のこととなると、そのすべての思い出が尼子先生の温顔に結びつき、「伸びやかに、しかも、確実な仕事を」と言う教えを、先生が私共に身を以って示してくださった事を心から感謝しております。

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医学用語の編纂に携わって 30 年/
独立行政法人大学評価・学位授与機構 客員教授 脊山洋右 (特定非営利活動法人 医学中央雑誌刊行会 編集委員会委員、 医学用語委員会委員)

私が日本医学会の医学用語専門委員に任命されたのは昭和 63 年7 月のことですから、既に 18 年間にわたって医学用語の編纂に関わってきたことになります。私はそれ以前からも生化学辞典や生化学用語辞典の編集作業を行ってきましたし、日本栄養・食糧学会の用語集にも携わりましたので、生命科学の用語の持つ奥の深さと、異なった言いまわしを統一することの難しさを痛感してまいりました。
医学用語は医学教育の根幹を成す言語でありますが、歴史的には江戸末期のオランダ語の翻訳に始まり、明治になってからはドイツ語、さらには英語を日本語に置き換えるということから築かれてまいりました。また医者仲間で通用する専門用語であるという性格から、医学用語は一般の人に通じる言葉というよりも、むしろ現在では 26 万人に 達した医師相互のコミュニケーションの道具として100年以上にわたって培われてきたものであります。
ところで日本医学会は現在101の分科会から構成されていますが、そのうちいくつかの分科会は独自の用語集を持っています。その用語集の間でも統一が難しい言葉がありますので、ましてや世間で使われる一般用語との整合性をとるという事は至難の業といえましょう。
一例として「fiber」に対応する日本語を考えてみましょう。「繊維」と「線維」がありますが、一般的には「繊維」が使われています。では、「nerve fiber」はどうかといいますと、「神経繊維」と「神経線維」がありますが、医学用語では「神経線維」が用いられております。日本医学会の医学用語辞典(第2版)はもとより、文部科学省の学術用語集・医学編でも「神経線維」が採用されております。そこで一般用語もこの言葉に統一してはどうかという提案が繰り返し行われてきましたが、未だに決着を見ていないのは、言葉が理論だ
けではなく人口に膾炙してはじめて定着するからでありましょう。生化学用語辞典で「神経繊維」を用いているのはこの間の事情を勘案したためであり、一般用語の方を採用しております。繊毛と線毛も同じ関係にあり、前者が一般用語、後者が医学用語として使われております。この場合は「繊毛運動」の方が多くの人にとってなじみが深いのではないでしょうか。試みに、「医中誌Web」と「Google」で、それぞれ「神経線維」「神経繊維」を検索してみたところ、下記のような結果となりました(表1)。




次に「腔」という字をどのように読むかということを考えてみますと、自然科学の領域でも腔腸動物に象徴されるようにこの文字の発音は本来「こう」と読むべきものであります。しかし医学用語としてはこれを「くう」と読みます。腹腔とか口腔がその例で、漢和辞典に象徴される言語学者の立場からは納得のいかないことだと思いますが、「ふくこう」とか「こうこう」とは決して言いません(表2)。


読みは同じでも書き方の上で統一の難しいのが「protein」に対応する日本語で、私が学生の頃は「蛋白質」と書くように教えられました。これはドイツ語の「Eiweiss」の訳として卵を意味する漢字の「蛋」と白身の「白質」を組み合わせたもので、意味深長な訳語の傑作といえましょう。ところが「蛋」という文字が常用漢字にないことから平仮名、片仮名を用いてはどうかということになり、これまで「たん白質」、「たんぱく質」、「タンパク質」などの書き方が提唱されてきました。医学用語辞典(第2版)では「蛋白(たんぱく)質」と書かれておりますが、学術用語集・医学編では「タンパク質」となっております。物質名であることからも片仮名表記が望ましく、生化学用語辞典では1987年の初版以来「タンパク質」を用いておりますが、生化学関連の書物では英語の訳語としてこれを「プロテイン」と片仮名で書くことも多くなってきました(表3)。



以上、様々な用語委員会でしばしば蒸し返される、医学用語の統一を取ることの難しさの例として異なった観点から3点ほど挙げてみました。
日本医学会医学用語管理委員会では目下、平成19年4月の出版を目指して日本医学会医学用語辞典英和第3版の編集作業を行っておりますが、この際に解決したいことの一つが用語の統一であります。殊に一般社会で使われている用語との統一を図ることが最も重要であるという認識で取り組んでおり、世間の人にも分かりやすい用語集が完成するように努力しております。



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