医中誌News
 

医中誌News目次
   
 
医中誌NEWS創刊にあたって
特定非営利活動法人 医学中央雑誌刊行会 理事長 篠原恒樹 「医中誌News」を創刊するにあたり御 挨拶を申し上げます。
1903年(明治36年)に創刊した医学論文についての抄録誌「医学中央雑誌」は昨年2003年3月に100周年を迎 えました。従って本年は101年目になります。
創刊時の年間収録文献数は2,000件弱で、月1回の発行、発行形態は当然ながら冊子体でありました。

現在では年間収録文献数は30万件を超えており、発行形態も、インターネットによる医中誌Web及びCD-ROMによる提供となっております。
「医学中央雑誌」の編集の特徴の一つに情報収集の網 羅性があります。収録文献は国内で定期的に刊行されている医学、歯学、薬学、看護学、獣医学及びその関連領域の収載誌から採択されています。医学並にその関連領域の時代に伴う進歩によって収載誌の数も創刊時に約60誌であったものが現在では約2,400誌に増えています。
発行形態が冊子体からCD-ROM、そしてWebへと変わることにより、法人契約はお蔭様で順調に伸びておりますし、また個人対象の「医中誌パーソナルWeb」も、予想を上回るご利用を頂いています。 利用者の増加もさることながら、近年の傾向で特徴的なことは、利用者の職種の多様性です。医師、医学研究者、歯科医師、薬学関係者(研究者、薬剤師)は従来同様、利用者の中核をなしておりますが、看護師、臨床検査技師、リハビリテーション分野の理学療法士、職業訓練士、栄養士などの利用が増えており、パーソナルWebについては少数ながら介護関係、報道分野、法曹界、患者さんおよびその家族の方々にも利用されてきています。
さらにインターネットによる提供のためと思われますが、全国各地での利用はもとより、海外に留学されている方々の利用も散見されます。
情報技術の進歩を取り込むことで検索方法が格段に改良され、短時間で容易に検索が可能となりましたが、データベースの構築に関しても、第1版「医学用語シソーラス」発行以来、20年間に幾度にもわたって改善を行い、現在は昨年発行した第5版シソーラスによるキーワードの付与を行っております。
また、昨年から、Evidence-Based Medicine (EBM) の普及、促進に資するため、原著論文に対して4つの研究デザインのタグ付けを行っています。
最後になりましたが、本刊行会の組織について一言述べます。本会は創立以来、ほとんどの期間任意団体でありましたが、公共性の高い業務の性質上、公益法人化が望ましいと判断し、一昨年、特定非営利活動法人(NPO)となりました。これにより経営基盤も一層強固となりました。
今後「医中誌News」を発行するにあたり、編集委員達はいろいろ工夫を凝らすことと思います。利用者各位のお役に立てればと祈念しております。

特定非営利活動法人 医学中央雑誌刊行会
理事長 篠原恒樹

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医中誌デーダーベース作成の概要

■はじめに
医学中央雑誌データベース(医中誌DB)は、医学・歯学・薬学および看護学などの関連領域の定期刊行物を対象とした文献情報を蓄積したものです。データソースは、国内の大学・ 研究所・学協会・病院などから発行されている紀要や学会誌・ 会議録、医学系出版社が発行する商業誌の他、公共資料や講演集など、約2400誌。収録されている文献データは1983年から現在までで、500万件を越えています。データの内容は、いわゆる書誌情報(文献のタイトル、著者名、著者の所属機関名、 雑誌名と発行年月・巻号ページなど)と、キーワードおよび抄録です。
ここでは、この医中誌DBがどのように作成されているのかを簡単にご紹介したいと思います。まず、作成の全体の流れについて、そして、インターネットサービスが開始されて重要度が増している「用語管理」の仕事と、Evidence-Based Medicine(EBM)対応のデータ作成への取り組みについてご紹介します。


■データ作成の流れ
(1)資料収集と採択→(2)資料の受入→(3)文献の採択→(4)書誌情報の入力→(5)抄録の作成→(6)インデクシング

以下に、各項目について説明を加えていきます。


1.資料収集と採択
1903年の「医学中央雑誌」創刊以来、網羅的な資料収集を行っています。資料の半数ほどが、学会・大学・学校・病院・出版社からの寄贈で、半数は購入しています。未収録の資料や新しく創刊される資料については、出版社の新刊案内・医学雑誌目録・学会案内リストなどをチェックし、取り寄せてみて採否を検討します。最近では、「医中誌Web」利用者から資料の自薦・他薦情報がメールで寄せられることもあります。収録候補資料の採否検討は、複数の採択担当者によって行われています。この検討会は、以前は半年~1年に1度でしたが、 タイムラグ短縮への配慮により、2002年より1~
2ヶ月に1回の割合で開かれるようになりました。

2.資料の受入
刊行会には、毎日40~50冊、年間約1万冊の資料(雑誌)が届きます。届いた資料に対して、まず書誌番号(雑誌番号)を付与し、データベースに登録します(図1)。書誌番号とは、届いた年月日と登録順から成る10桁の番号です。例えば、2004年6月2日に届いた資料で、1番目に登録される場合2004060201となります。

3.文献の採択
資料の登録後、掲載されている各文献について、データとして採択するかどうかを担当者がチェックします。医学に関連する文献はすべてを採択することにしていますが、化学物質の合成・分析研究、植物そのものの研究、野生動物の生態や 病気の研究などは採択対象にはしていません。医学の周辺領域に関する文献の採択はかなり微妙なところもあり、経験に拠っているのが実情です。
また、インタビュー、対談、座談会、巻頭言、訪問記、書評、エッセイなどは採択しないルールです。発表者が記載されていない文献も採択外です。
採択された文献は、即座に、記事区分(論文種類)と抄録を付与するかどうかが決められます。原著論文に分類されると、原則として抄録の作成が指示されます。

★あらたに収録してほしい雑誌があるときは・・・
「雑誌のタイトル、発行元、ISSN」をお知らせください。担当者が収録について検討いたします。また、雑誌を発行されている機関がその雑誌の収録をご希望の場合は、最新号を1冊当会までご送付ください(「収録希望」の旨ひとことお書き添えください)。

(図2)前処理(入力の提示)4.書誌情報の入力
文献の書誌情報の入力は専門の業者に依頼しています。
依頼する前に、入力部分について、細かい指示が文献ごとに書き込まれます。まず、文献管理番号です。これは、10桁の雑誌番号に4桁の番号を加えたものです。たとえば、2004060201の雑誌の1番目に採択された文献は、2004060201-0001となり、これが文献管理番号すなわち文献のID番号となります。

この他に、特集記事ですと、タイトルのどの部分までを【】で囲むのか、とか、著者の所属機関が複数掲載されている場合、どれを入力するのか、などの指示がなされます(図2)。入力者が迷わずに済むように、また、文献の書誌情報が一定のルールでデータ化されるために、この入力前の処理は必須です。1,000件以上の文献が掲載された会議録(学会抄録)の入力前処理には1週間以上要します。

(図3)書誌情報入力画面この前処理の指示に従って業者が入力したデータ(書誌情報)がデータベースに流込まれる(図3)と、以降の作業は「Jamas_sys(医中誌データベース作成システム)」というローカルネットワークシステム上で行われることになります。
入力された書誌情報のうち、著者名と所属機関名については、それぞれの辞書にマッチングさせ、自動的にヨミを振ります。

著者名は複数のヨミがある場合でも、便宜上1つに決めてヨミを振っています(統制ヨミ)。たとえば、「西原」という名字は「ニシハラ」「サイバラ」の両方のヨミがありますが、「ニシハラ」を統制ヨミとして採用しています。名前も同様です。マッチングで漏れた初出の著者名・所属機関名のヨミ振りは手作業で行うと同時に、各辞書に登録され、次回からは自動的にヨミ振りされます。

(図4)紗録入力画面5.抄録の作成
抄録作成は、それを専門とする50名ほどの契約者に依頼しています(第三者抄録)。300字程度で作成するよう依頼し、出来上がってくるまでに、平均2週間程度を要しています。この期間を短縮するために、現在著者抄録の利用許諾を得るために各学会、出版社等に交渉中です。


作成された抄録原稿は、電子ファイルの場合と手書きの場合があります。数年前までは手書き原稿が主でしたが、今ではファイルにしてメールで届けられることが多くなりました。手書き原稿はテキストファイルにする作業が入ります。今でも達筆のあまり判読に苦労する原稿があります。こうして作成された抄
録テキストは、担当者により校正され、それが終了すると、データベースに追加されます(図4)。


6.インデクシング
書誌情報と抄録が入力された文献は、データ作成の最終段階であるインデクシングに回されます。約30名(職員10名、契約者20名)のインデクサーで、毎月20,000~25,000件、年間約30万件もの文献にインデクシングしています。 インデクシングとは、当刊行会作成の「医学用語シソーラス」
(注1)に基づいてキーワードを付与し、さらに、副標目、チェックタグ、研究デザインタグを付与することを言います。この作業により、漏れの少ない検索やさまざまな観点からの絞込み検索が可能になります。


インデクシングは、96年の刊行会のOA化以後、パソコンを使い、オンライン上で行われるようになりました。「医学用語シソーラス」だけでなく、膨大な同義語が登録されている用語辞書と文献のタイトルをマッチングさせ、キーワードの自動切り出しを行い、インデクサーの入力作業を軽減するように工夫しています。インデクサーは、この自動切り出しが行われた後、実際に文献に目を通して、キーワードの訂正や追加、副標目やタグの
付与を行います(図5,6)。

(図5)キーワード付与の画面 (図6)チェックタグ分等類付与の画面

(図7)医中誌Web詳細表示インデクシングが終了すると、「医中誌Web」で提供されるデータとして準備が整ったことになります。これらは、改めてその年度の通し番号(10桁の「文献番号」)が付与され、毎月1日と16日に完成データとして追加されます(図7)。 以上の工程に、最短で1ヶ月、平均3ヶ月~4ヶ月かかってい
ます。この期間を少しでも短縮することがデータベース作成上の大 きな課題となっています




(図8)統制管理用画面(SARS)インデクシングが終了すると、「医中誌Web」で提供されるデータとして準備が整ったことになります。これらは、改めてその 年度の通し番号(10桁の「文献番号」)が付与され、毎月1日と16日に完成データとして追加されます(図7)。以上の工程に、最短で1ヶ月、平均3ヶ月~4ヶ月かかってい
ます。この期間を少しでも短縮することがデータベース作成上の大きな課題となっています。


■インデクシングとマッピングを支える用語管理
「医中誌Web」の検索を補完する機能として、「同義語から統制語へのマッピング機能」があります。この機能は、もともとはインデクシングサポート機能として利用していた仕組みを検索に応用したものです。この仕組みを支えているのが「用語管理」です。
インデクサーは、日々文献と接していくなかで新しい用語に出会います。病名のこともあれば物質名のこともあります。それらの新規語について、さまざまな辞書や資料を調べ、また文献ではどのように表現されていることが多いのかなどをチェックし、統制語(見出し語)と同義語の関係を定めていくのが用語管理の仕事です。
たとえば、昨年発生した「SARS」。医中誌では昨年4月に医中誌フリーキーワード(注2)として登録しました。その際に、この用語の統制語(見出し語)は「重症急性呼吸器症候群」と定め、その同義語として「Severe Acute Respiratory Syndrome」「新型肺炎」「SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)」などを登録しました(図8)。 このような処理により、いずれの言葉で表現されていても、インデクシングでは間違いなく「重症急性呼吸器症候群」が付与されます。そして、検索の際には、たとえば「新型肺炎」と入力すると、マッピング機能が働き、自動的に、統制語である「重症急性呼吸器症候群」が付与された文献がヒットします。 このような日々の用語管理作業を通して収集された用語数は現在33万余語にのぼります。これらが、「医中誌Web」の検索機能に生かされ、利用者はシソーラスをそれほど意識することなく、検索できるように工夫されています。


■EBM対応のデータ作成への取り組み
医中誌DBでは、1999年作成データ以降、原著論文について「研究デザイン」という視点からチェックし、該当する文献に「メタアナリシス:Meta-Analysis(MA)」「ランダム化比較試験:Randomized Controlled Trials(RCT)」「比較臨床試験:Controlled Clinical Trials(CCT)」「比較研究:ComparativeStudy(CS)(2003年作成データより付与)」の4種類のタグ付けをしています。2004年6月16日現在のタグ付与総件数は、次
頁の表1をご覧下さい。(2003年以降とそれ以前では、該当文献を見出す方法が異なっていますので、詳細は注3を参照してください)。
研究デザインのタグ付与に至る紆余曲折は別なところで紹介しています(注4)ので、興味ある方は参照していただくとして、ここでは特に紛らわしいと思われる「比較臨床試験」と「比較研究」についてご説明します。

【比較臨床試験】
「比較臨床試験」は、臨床試験の対象者を複数のグループに分ける時の方法が正確なランダム割り付けではないけれども、それにかなり近い方法で行われている場合にタグ付けしています。したがって非常に狭い定義で付与していると言えます。この定義からすれば、「準ランダム化比較試験」とした方が良いのではないか、というご意見もありますので、次回シソーラス改訂の際に検討したいと考えています。

【比較研究】
「比較研究」は、診療ガイドラインを作成する際などに有益なデータを収集しやすいようにとの配慮から設けられ、臨床文献のうち、比較分析を行っている研究に付与しています。次の2つの方法で研究されている場合が代表的なものです。一つは、対象者を複数のグループに分けて比較している場合。もう一つは、治療や診断などの方法が複数あり、それを比較している場合です。たとえば、花粉症の患者にある薬物を投与し
て効果をみている場合、その薬物を投与する患者群と投与しない患者群をつくり、結果を比較している場合が前者です。後者は、花粉症の治療方法として、薬物療法とレーザー治療のどちらが有効かを、実際に患者に行って結果を比較したり、あるいは過去のデータを収集して比較検討している場合などです。
さらに、疾患のリスクを調べる「コホート研究」や、健常者と患者とを比較する「症例対照研究」にも付与されています。 「比較研究」は、2003年以降の作成データのみに付与されていますが、2004年7月1日現在の付与データ数は、13,311件。他の3つの研究デザインは1999年まで遡って付与されているにも関わらず、付与総数は2,427件ですので、それを大きく上回っています。しかし、疾患ごとに検索して「比較研究」で絞り込
むとそれほど多くはありません。前述の花粉症の比較研究は60件です。ちなみにRCTは12件。「比較研究」は膨大なデータを絞り込むツールとして一つの有効な方法ではないでしょうか。

■おわりに
医中誌DBの作成概要と「用語管理」の仕事、EBMへの取り組みについて紹介しました。
DBの作成は文献を加工してデータとして仕上げるプロセスです。正確なデータ作成を心がけてはいますが、「医中誌Web」を検索した際に、間違い等を発見される場合もあるかと思います。その時はぜひお知らせいただければ幸いです。

(注1) 医学用語シソーラス
用語同士を階層構造で関連づけたキーワード集。インデクシングや検索に用います。1983年に第1版が発行され、2003年に発行された第5版が最新版です。

(注2) 医中誌フリーキーワード
医学中央雑誌刊行会で管理しているキーワードには、「シソーラス用語」と「医中誌フリーキーワード」があります。前者は「医学用語シソーラス」に登録されたキーワードで、これは次の改訂までは固定されています。一方、医中誌フリーキーワードは、インデクシングの必要に応じて登録されるキーワードで、カテゴリーを持たない点がシソーラス用語と異なっています。

(注3) 2002年以前のデータのタグ付け
2003年以降は医学中央雑誌刊行会でインデクシングの際に研究デザインのタグ付与を行っていますが、2002年以前の文献については以下の方法でタグを追加付与しています。
その時はぜひお知らせいただければ幸いです。

1)JHES(日本ハンドサーチ・エレクトロニックサーチ研究会、Japan HandSearch & Electronic Search Society、主任研究者:津谷喜一郎)がハン
ドサーチにより見出した「メタアナリシス」、「ランダム化比較試験」、「比較臨床試験」文献の情報を、原著論文についてのみですが、JHESの了
解を得て、医学中央雑誌データベースに追加しました。これらは2001年~2002年作成データに反映されています。(2)医中誌Webによるエレクトロニック・サーチにより、1999年作成データまで遡及し、「メタアナリシス」、「ランダム化比較試験」、「比較臨床試験」のタグを追加付与しました。

(注4)
佐久間せつ子「医学中央雑誌データベースにおけるEBMへの取り組み」「薬学図書館」48(2),107-110,2003

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医中誌とインターネット
(図1)医中誌利用の媒体別内訳の推移■「医中誌Web」の急速な普及
2000年4月のサービス開始以来、「医中誌Web」は予想を上回る速さで普及しました。「医中誌CD」からの移行が急ピッチで進んだのに加え(現在、WebとCDの契約数は約9:1となっています-(図1)、新たなご利用も頂くようにりました。その結果、検索サーバへのアクセスはスタート以来増加の一途を辿り、今も増え続けています。現在一日(平日)のログイン回数は約1万回、検索実行数は約5万回、アクセス数は約10万回に達しています


このように急速に普及が進んだ一番の理由は、CD-ROMに比べ、検索サービスとしての利便性が画期的に向上したこと、と言えるでしょう。この利便性の向上は、その多くをインターネット自体の威力に負っています。一方で、現時点の「医中誌Web」は、インターネットが持つ可能性を100%生かし切っているとは言えず、今後の展開の余地は多くあります。 そのような観点から「医中誌Web」の「これまで」についてまとめ、最後に今後の
課題について述べたいと思います。


■ 「医中誌Web」の「これまで」
(1)ネットワーク化
かつて 医中誌CD に対する最も大きな要望は「ネットワーク化」でした。一部の機関ではローカルネットワーク上でCD-ROMを共有するシステムが構築されましたが、相当の開発・運用面での費用負担を要すものであり、普及には至りませんでした。「医中誌Web」でこのネットワーク化がいとも簡単に実現したのは、まさにインターネットの威力を象徴する出来事です。

(2)作り手が自ら情報を発信-そのメリット

インターネット、特にWWWが革命的なのは、それが「誰でもが気軽に利用できる世界に開かれたネットワーク」であるにと
どまらず、そこでは「誰もが世界に向け簡単に情報を発信できる」という点にあると言われます。その例としてよく挙げられる
のは、個人の日記や趣味のHPですが、「医中誌Web」もまさにその典型と言えます。 インターネット出現以前に同様のことを行うには、大型コンピュータと通信システムを保有する必要があり、医中誌自体がそれを持つことは現実問題として不可能でした。これが可能となっ
たことによるメリットと可能性の拡がりには、予想以上のものがありました。

【データ、辞書、プログラムの更新が容易に行える】
データ自体の更新は勿論のこと、大・小規模のプログラムのバージョンアップ、あるいは検索に用いられるシソーラス等の辞書の更新がCD-ROMに比べ格段に容易に行えるようになりました。
CD-ROMの場合、例えばシソーラスの切り替え時に過去分のデータを修正するには、すべてのディスクを再作成し、配布しなければなりません。また、バージョンアップの際は、同様にプログラムの配布と、利用者の端末における再インストール作業が必要です。WEBの場合はそれらの手間はすべて不要です。今現在、データについては、最新分のデータは月に2回、過去分のデータは数ヶ月に1回更新しています。また、前ページで
説明されている用語管理のプロセスで日々新たに登録される医中誌フリーキーワードや同義語は、医中誌Webサーバ内のマッピング用の辞書に月に一度追加されています(詳しくはこのニュースレターの最終ページをご覧下さい)。今後、運用体制を整えさらに更新頻度を多くすることは十分に可能と考えています。

【よりきめの細かいサービスを提供できる】
医中誌データベースの最大の特徴は、医学専門のシソーラス「医学用語シソーラス」に基づいて人手による索引が行われている点にあります。「医中誌Web」で的確な検索結果を得るには、この作業により付与されたキーワード、副標目、チェックタグ等の情報を活用することが重要ですが、それを簡単に(出来れば意識さえすることなく)行えるようにする、というのが「医中誌Web」開発における大きな課題です(P.5で説明されている「マッピング機能」は代表的な工夫といえます)。
この課題を達成すべく、索引を担当する編成課(作成サイド)と、Web版やCD-ROM版の作成を担当する電子出版課(検索サイド)との間では、作成サイドでの変更事項を検索サイドに伝える、あるいは逆に検索サイドからの要望事項を作成サイドに伝える、といったコミュニケーションが随時持たれています(医学中央雑誌刊行会は、右の写真のような2階建ての社屋なのですが、その2階の一番大きな部屋に「編成課」と「電子出版課」が同居しています。作成サイドの変更事項については、いち早く検索サイドに反映する必要がありますが、「医中誌Web」ではそのフィードバックが従来より格段に迅速に行えるようになりました。
例えば、「Ver.3」から「研究デザイン」による検索が行えるようになりましたが、この実現と運用にあたっては仕様決めからHELPでの説明文の内容にいたる各点について事前に細かい話し合いが持たれるとともに、新たにスタートした作業であるがゆえに避けられないリリース後の方向性の微修正(タグ付けのルール改訂など)も随時検索に反映されています。

(2)検索システムとしての可能性が広がった
「医中誌Web」では、索引を生かしたキーワード検索とともに、入力した言葉による全文検索も行われます。これにより、ヒット率とともに、「データ中にある言葉ならば必ずヒットする」という意味で検索の信頼性も向上しました。この全文検索を高速に行うために、医中誌Webの検索サーバには相当のボリュームのインデックスが蓄積されています。容量に限界があるCD-ROM版では実現出来なかったことです。
この全文検索にとどまらず、検索システムとしての可能性は多く残されています。例えば、今現在の「医中誌Web」では、読みきれないほど多くの文献がヒットしたときには、他のキーワードや絞り込み条件を掛け合わせて絞り込んでいくわけですが、違った発想としては「意味的に重要度が高い順に結果を並べる」という手法もあります。エンドユーザー志向の検索手法としてはむしろこちらが正道とも言え、今後の大きな検討課題の一つです。


医学中央雑誌刊行会社屋(4)利用者がより近い存在となった
「医中誌Web」サービスを開始し、利用者の存在が従来よりずっと近く感じられるようになりました。例えば、医中誌Webのサーバの監視用画面にアクセスすると、まさにその瞬間に実行された検索のログが眼前を流れて行きます。
そして一日の最後にはそれらが「一日のログイン回数」として自動的に集計され、その日に実際に何人の方が医中誌にアクセスしたのかが明らかになります。このように利用者の存在をリアルに実感する、ということ自体がサービスを運営し、また改善していく上で有益なことと思えます。


■ これから実現すること-「リンク」
現在の「医中誌Web」はWWW上のサービスでありながら、WWWの最大の特色である他のサイトへの、あるいは他のサイトからのリンクがありません。海外のサービス、特にPubMedを常日頃利用している方ならば、大いに不満をお持ちのことと思います。
書誌データベースである医中誌に最も期待されているのは、当然のことながら全文(論文自体)へのリンク付けです。その実現を考えるとき、医中誌Web立ち上げ当時の2000年と今とでは環境が大きく変化しています。学術雑誌の電子化は、日本でも、まだ欧米と比べれば大きく遅れているとはいえ、着実に進んでいますし、リンクの仕組みに関する技術や標準化も、大きく進歩しています。この環境の中で、「医中誌Web」次期バージョンでは第一歩を踏み 出すべく具体的プランを検討しています。「医中誌News」次号では、具体的にお知らせする予定です。


■ おわりに
WWWの普及により、「検索」は以前とは比較にならないほど日常的な行為となりました。今や小学生でさえ、社会科の宿題ともなれば真っ先にWWWの検索エンジンにアクセスします。彼らにとって、いいえ、予備知識を持たない人すべてにとって、「医中誌Web」と「Google」は、有料か無料かという違いを除けば、全く並列的なサービスに見えることでしょう。
「Google」が全世界のWWWサーバに散在する40億ページ(2004年7月現在のGoogleトップページより)ものWEBページを検索対象としているのに対し、「医中誌Web」は編集・加工されたデータベースを検索するシステムである、という根本的な相違があるにも関わらず、全く並列的に見えてしまうということ自体が、いわゆる情報革命の一つの顕れと言えます。
この変革の渦の中で、サービスの安定的な供給を大前提とした上で、より質の高いサービスを目指すのは簡単なことではありませんが、利用者の皆様の声に耳を傾けながら一歩一歩進めていきたいと考えています。
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医中誌FAQ
★「医中誌パーソナルWeb」のIDとパスワードを忘れてしまったのですが?
「医中誌パーソナルWeb」は、So-netの医療従事者向けサイトm3.comの有料コンテンツとしてご提供しております。ユーザーIDやパスワードのご確認は、So-netまでお願いいたします。

【お問合せ先及び方法】
<IDはお分かりの場合>

以下の画面で必要事項を記入の上「再通知申請」をクリックします。
https://www.sec.so-net.ne.jp/cc/passwd/
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<IDもお忘れの場合>
下記アドレス宛に、「お名前、電話番号、メールアドレス」及び「医中誌パーソナルWebのID/パスワード確認希望」の旨
E-mailにてお問合せください。
info@so-net.ne.jp

★"BASIC MODE""ADVANCED MODE"どちらを使うべき?また勧めるべき?
医中誌Web(Ver.3)には、ふたつの検索モードがあります。
「BASIC MODE」は検索機能も画面自体もシンプルに、検索の経験の無い方でもわかりやすくデザインされています。
実際に、現在約7割の方が「BASIC MODE」を利用しています。「ADVANCED MODE」は履歴が表示される、あるいはシソーラスの参照が可能など、もともとは検索の専門家の利用を念頭に置いて開発したものですが、「いったん覚えてしまえば「ADVANCED MODE」のほうが使いやすいと思います。講習会では始めから「ADVANCED MODE」を教えています」との声を良くお聞きしますので、説明に一定の時間をかけられる場合などは、「ADVANCED MODE」を利用者にお勧め下さい。

★「ADVANCED MODE」で前の履歴を呼び出すにはどうすればよいのですか?
最新の履歴のチェックをはずし、呼び出したい履歴をチェックして「履歴検索実行」ボタンをクリックして下さい。なお、絞込み検索は、チェックされた履歴に対して行われます。

★「医中誌Web」と「医中誌パーソナルWeb」の違いは?
大学や病院等でご契約いただいている「医中誌Web」と、個人で申し込む「医中誌パーソナルWeb」は、料金体系や契約形態は異なりますが、利用できるデータベースの年や内容、また検索機能は全く同一です。

★図書館を一般に開放しています。「医中誌Web」の検索は?

従来は、契約機関に所属する方のみ利用が許諾されていましたが、利用規定を改訂し、一定の条件のもとで外部からの来館者の利用も認める方向で検討中です。正式に決まった段階で、ホームページ等でご案内いたします。
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医中誌の歴史について 浴風会病院 院長 大友英一(NPO 医学中央雑誌刊行会 理事)

医学中央雑誌刊行会は、昨年創立100周年を迎え、現在、年間30万を越える文献の集積とその情報の提供を行っている。一世紀にわたり、わが国の医学、歯学、薬学、看護学などの分野で大きな貢献をして来ている。このように、この種の仕事の歴史の古さでは、世界でも1、2位を競うものである。
創刊された尼子四郎先生、後を継がれたご子息で私の恩師である尼子富士郎先生、つづく村上元孝先生、現理事長の篠原恒樹先生及び、各時代の職員の皆様のご努力に心からの敬意と慶賀を表するものである。
私は、約40年程前、浴風会病院に勤務して間もなく文献の抄録作成の仕事をさせていただいた。専門外の学術雑誌を読んだり、また学術論文の結論、あるいは要約の書き方などについて多くの勉強させていただいて感謝している次第である。
恩師尼子富士郎先生は、病院には昼近くに出勤なされた。午前中は、ご自宅で医学中央雑誌の原稿校正に多くの時間を割かれ、また海外の新しい文献の勉強もされていたと聞いている。先生は医局などでわれわれの顔を見られるとすぐにも、それぞれの専門の分野について、私達のような若僧に対して、勉強中あるいは校正中不明の事柄について質問されるのが常であった。先生のこの疑問個所に関する謙虚な態度には、本当に感嘆したものである。
医学中央雑誌はIT化時代と共に冊子(月刊誌)はなくなり、CDに、そしてWebへと変化した。また刊行会の組織はNPOに変更され、法律的にも業務移管の面でもスムーズに行われた。医中誌Webは「エンドユーザーからサーチャーまでの幅広いニーズに対応する」ことを目標にしてバージョンアップが重ねられて来ており、指一本で瞬時に必要な文献情報が眼前に出現する。図書館で文献をカメラで撮影し読んだのに、最近はコピーは作るがさっぱり読まなくなった私には、「あんまり便利になって、いつでも読めるのでつい読まない」のではないかとの老婆心がちょっぴり顔を出す程の画期的進歩である。益々のご発展を祈念するものである。

浴風会病院 院長 大友英一(NPO 医学中央雑誌刊行会 理事)

いちゅうしって何?  佐藤淑子(東京女子医科大学図書館)

「いちゅうし」とつぶやいたわたしに老母は「なに、それ。虫下しの薬?」とのたまいました。便秘で苦しむ母らしい受け答えです。かの有名な医学中央雑誌にむかって何たることかと顔をしかめてしまった私です。知る人ぞ知る医中誌も素人にかかるとこのように情けない状態になります。
図書館のカウンターで日常かわされるこの手の会話で「がんき」「がんりん」「りんがん」「にちがん」???まったくバイト泣かせです。これを業界用語というのでしょうか。 皆さんはとっくに「眼紀」「眼臨」「臨眼」「日眼」と頭のなかで翻訳されましたでしょう。もっと正確には「日本眼科紀要」「眼科臨床医報」「臨床眼科」「日本眼科学会雑誌」ですね。
現在、医中誌Webでは雑誌名も正確にフルタイトルで書かれています。これを私はとても気に入っています。PubMed は雑誌名は略されています。これは Medline、Index Medicus と全然変わっていません。まだ英語の誌名は略されてもいいんですよ。耳から入ってくる時には大抵はフルタイトルで表わされますから。
むかし、本当に昔になってしまいましたが、参考係の仕事は手作業による文献検索が大部分でした。その冊子体の医中誌には誌名は全て医中誌特製の略名が付与されており、フルタイトルは何だっけと思わせるものが結構有ったものです。一生懸命時間をかけて文献カードに書き写し、その結果を先生にお渡ししてヤレヤレと思っていると、胸部外科の某先生がニコニコいやニタニタしながらやってきました。不吉な予感が走る。「無くしたんだよ~。もう一回やってくれる?」とこともなげに言われてしまってただ唖然。今では、便利に違いないのですが、このマニュアル検索の過程を通過しないでインターネット、Web検索にいってしまいますが、何か重大な弊害はないのでしょうか。
とは言え、あの「医中誌」検索中の私はなんて暗~い姿だったでしょう。いかにも大変な仕事をしているというオーラは十分発散されていましたが。
最後にテストです。「じびりん」「じびてん」「じとりん」とってもリズミカルなこの響きに感心してしまいます。皆さん、正しい誌名を考えてみて下さい。
佐藤淑子(東京女子医科大学図書館)

【正解はP.12をご覧下さい。 (編集委員)】

医中誌中央雑誌<創刊号>のご案内

医中誌中央雑誌<創刊号>のご案内医学中央雑誌創刊号は、明治36年(1903年)に発行されました。巻頭には「物件索引(現在の件名索引に相当)」「著者索引」さらに「目次」が掲載され、本文は科目分類順に配列されています。創刊にあたっての「謹告」に「一旦之を閲読すれば又汎く多数の雑誌を閲読する必要なく」と述べられている通り、抄録は例えば薬物療法については具体的な処方が述べられているなど非常に詳細で、必要に応じ図版も掲載されています。更に海外の情報、 あるいは単行本の新刊案内など、医師が必要とする情報が集約されています。 ここではその一部をご紹介します。近々この「創刊号」の全ページを医中誌のホームページ上で公開する予定です。 どうぞお楽しみ にお待ち下さい。

36 「眼科」の文献。「網膜剥離の薬治」という論文の抄録には、実際の処方が記載されている。新刊書籍案内。
南江堂、南山堂などの書籍や、辞典が紹介されている。

1903年1月に開催された、ベルリン内科学会に関する記事

 
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